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zoom RSS 日本の「経済政策」失敗への反省

<<   作成日時 : 2008/04/16 12:12   >>

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  今回は、小生としては必ずしも専門分野ではない「経済」に関して、考えてみた。動機は、大前研一氏の指摘に刺激され、最近20年ほどの世界情勢全般を、経済中心に考察し直してみようという、大それた考え方に至ったから。「歴史オタク」の小生としては、近年の急激な日本の衰退に我慢ならない思いがあり、何が間違っていたのか、どこが問題だったのか、と疑問が蓄積していたところに、大前氏から、タイミングの良い「知恵」を授かった思いがしたからだ。経済専門家とか、政治家、官僚の皆様にも、少しはヒントとなるかもしれない・・・と期待は勝手に肥大してしまったのだ。

1.政府諮問会議の失敗:「集団」ではなく、「個人の野心」を尊敬する社会にしよう!
  『週刊ポスト』(08.04.25号)に掲載されている大前研一氏の記事(「ビジネス新大陸」)によれば、1986年前川春雄元日銀総裁が座長を務める研究会がまとめた「前川リポート」が全くの間違った提言をしていたので、日本経済は迷走したという。一番の間違いは、日米の統計の基準が違うこと(生命保険を貯蓄に分類するか、消費に分類するか)と、米国では単なる貯蓄より投資を重視する、というような市民の金の使い方の差異を無視して、日本は「貯蓄性向が高い」、米国は「消費型」と単純に決めつけたことであったようだ。

  米国では、住宅は必ず将来値上がりする「動産」(いつでも売れる)と考えられている(あるいは「いた」)ので、投資の意味で住宅ローンを借りてでも若いときから住宅を買うのであるから、住宅購入とか、貯蓄を上回るローンを抱えることは、必ずしもやたらに消費するとか、消費性向が高いと誤解すべきではない、将来を考えた投資(ある意味では、日本人の感覚における貯蓄と同じ)のために住宅を買うということなのだ。・・・結局、米国人は、日本人より脳天気・楽天的だから、ばんばん買いまくる、と言うふうに考えてきたことは、全くの誤解と言うことなのだ。全くの誤解に基づき、日本国内の個人消費を拡大させようと試みたり(注:低金利にして、市民に貯蓄を止めさせ、消費を増やそうとしたが、そうならず、むしろ低金利を利用して企業が不動産投機に走りバブルとなった)、それが実現しないので、公共事業費を闇雲に増大(政府消費を拡大)して、財政赤字を累積してしまったと言うことであるらしい。

  日銀総裁までやった賢人が、これほど単純な過ちを犯したとは、日本の経済界にはまともな知恵が存在しないのか、と嘆かわしいが、大前氏は、前川研究会のみならず、日本の各種の政府委嘱委員会・調査会などは、そもそも意見が違いすぎる委員を多く集め、これら多種多様な意見を「足し算」してまとめ、更にこれらを官僚が自分たちに都合良く部分的に書き換えて実行に移すので、政府諮問委員会の類は、ほぼ常に失敗する、という。

  明治時代は、後藤新平などの、自分自身が賢人である大物官僚が輩出して、彼ら自身が大臣として登用されたり、日本の近代化のためにばんばんと新企画を実現した、と思う。教育制度、郵便制度、司法制度などを、西欧などに凡例を取りつつも、独創的な改良を施して、日本の社会で定着できるように考案して、実現していったのだ。ところが、戦後の日本では「官僚をバカ扱いしすぎて」、官僚には何も任せられないから、政府の諮問委員会で「賢人」の意見を集約して政策を採用する、と言う風潮になった。小生自身、会議などでまともな政策とか、意見が通らない、と言う現実を結構経験しているので、「会議方式」には疑問を持っている。

  政府諮問委員会は、役人自身のイニシャチブ、責任感への動機を弱めるし、その上、多種多様な意見を「改竄」して、都合の良い政策へと部分的に書き換えるようでは、益々何の取り柄もないではないか。官僚は要するに、本当に自分が正しいと思う政策ではないのに、「賢人の意見」で自分の意見ではないからと、初めから責任を回避しつつ、新しい政策を採用し、それでもこの政策に、省益などを密かに潜り込ませて、せこいやり方で官僚自身の利益にもなるような政策を実行するという、卑小な結果となっているのではないだろうか。75歳以上を差別し、高負担を強いる「後期高齢者医療制度」なども、2年前に法律が成立しているのに、マスコミも、政治家も、国民も、今まで何ら注意を払っていなかった、ということらしい(小生自身はその頃外国にいたので、気付かなかったと自分で言い訳できるので、気楽だが)。役人を信用していない国家で、そんなに簡単に、官僚達が悪さをできるものなのか?本当に不思議だ。小泉政権下、自民党が強すぎて、国会をこのような悪法が、易々と通過したと言うことなのか??

  高級官僚の人事を一本化して、「省益」とかに囚われない大物官僚を再生しようという渡辺大臣の改革に、福田政権は何らの理解も、後方支援もしないらしい。総理自身、何でも「賢人会議」などに委ねて自己の責任で「改革」をやるという強い意志もないようだし・・・・それならばなぜ総理にまで出世しようと思ったのか?小生には不可解だ。役人から、政治家まで、「自分自身が何かをやりたい」ではなしに、単に親や周囲の影響で、「出世してみせる」必要があるから、高級官僚になったり、政治家になったりしているだけだから、卑小な社会に成り下がるのではないか?皆が、何かを成し遂げる、理想を掲げ、正義を掲げて、あらゆる困難に打ち勝って、自分の考え方を貫徹する、という野心を失ってしまっているのではないか??

2.外国追随の「軽率な経済政策」への戒め
  経済の専門家達が、上記のように、日本は「消費が弱く、内需が小さいから、輸出主導で外国に迷惑をかける」と考え(実際には、米国からの内需拡大要求に応えるために、何かしなければならなかった、と言うのが根本的な動機だったかもしれないが)、赤字国債のむやみな発行、公共事業の大規模実行を招き、結局バブルも生み、日本経済にとんでもない大規模な損害をもたらしたのである。

  英米がコンピュータ新技術を駆使して投機する「金融工学」という手法を開発し、成功しすぎた日本、及び日本主導で発展軌道に乗っていた韓国・東南アジアの経済をまとめて攻撃したことも、バブルの被害を拡大し、膨大なものとした。これが日本の、あるいは韓国・東南アジアの「経済敗戦」の実態らしい。前川リポートが目指した「経済政策」は、「金融工学」の格好の餌食を提供しただけだ。

3.日本の銀行を世界一にしよう
  小生は、このような日本の経済政策の失敗に鑑み、また最近は米国が「金融工学」への過信から、いかにコンピュータ・ソフトが優秀でも、所詮金融には「ギャンブル的性格」があることを忘れて、遂に墓穴を掘ったことに鑑み、我々日本人としては、かつての「護送船団方式」の良きところも再確認しつつ、ギャンブル性の低い、しかし着実にある程度の比率で利子を生むような、堅実な「日本式金融工学」を確立して、日本の銀行が世界の金融を主導するような方向に持って行くべきと考える。
  一度の失敗で萎縮して、「金融には日本人は才能がない」などと諦めては、せっかくの世界に冠たる多額の銀行預金が、何ら国民に利益をもたらさないだろう。今のような低金利は、「楽しても稼げる商業銀行という、全く悪いモデル」であり、銀行経営者としては失格で、預金者に申し訳ないと懺悔してもらいたいくらいだ。普通預金でも2%くらいの利子を生まないようでは、銀行の使命を果たしていないと思う。

  小生が以前言及したように、「まじめに、正確に口座管理をできる」(また、万一間違いがあれば、日本人は誠心誠意謝罪すると言う美徳も有している)というだけでも、日本の銀行には、他国にはない「信用」という資産がある。日本の銀行員は、投機は下手でも、まじめに、正確に仕事をするという「良心」も、それなりの高学歴・教養と、やる気もあるはずで、それらの才能を新興国などで現地経済の振興のために開花させるべきなのだ。
  欧米流の「ギャンブル的金融技術」とは異質の、きまじめな「信用第一」という日本式の「顧客重視、腰の低い対応」をするだけで、日本の銀行は西欧でも、新興国でも、どこでも成功できる、と小生は考えている。中小企業、起業家を支援して、新興国、途上国における産業開発を支援することは、日本の戦後金融の知恵を総動員すれば、意外に成功の可能性が高いように思う。日本人の老人達(小生を含めて)の銀行預金口座に、正当な程度の普通預金利子を支払って、報いる、という社会的使命も果たせる、と考える。

  なぜ小生がこれほど日本の銀行に期待するかというと、90年代半ばのバルカン半島における惨状を知っているからだ。例えばマケドニア、ブルガリアでは、あまりのインフレで「1ヶ月の預金利子が10%強というようなレート」を見て、ぶったまげたものだ。高い利子につられて商業銀行に預金すると、半年後には銀行自体が倒産して預金が全てパーになることも多かった。人々は、「ネズミ講」に投資したりして、有り金を全て失ったりもした。インフレがすごくて、長年の貯金を現金で持っていることも、意味がなかった(本当は、真っ当な信用できる銀行が存在し、「外貨預金」にしていれば安全だったはずだ)。しかし、銀行預金しても、リターンの多い投資をしても、結局はマフィア達の懐が分厚くなっていくだけ、という、「強盗金融」の時代であったのだ。

  こういう経済の現状を見て、早くまともな資本主義国から、まともな銀行が進出して、経済を正常化して欲しいと思ったものだ。今では東欧でも、ドイツ、オーストリー、イタリア、ギリシャなどの大手の銀行資本が進出して、経済は正常化しているが、それでも日本の銀行はいっこうに進出しようとしない。情けないと思った。東欧では、日本は「信用」の高い国である。庶民が安心して預金口座を開設したいと思う銀行として、日本資本の銀行を選ぶ可能性は今でも高いはずだ。

4.世界経済の潮流変化に対応する「戦略」を
  米国が「金融工学」に基づく「経済好調」を過信しすぎて、また、イラクの石油資源に目がくらんで、イラク征伐を敢行してしまい、イラクに足をすくわれもがいている間に、世界経済はいつの間にか、中国とか、インド、或いは、ロシア、アラブ産油国、などに乗っ取られてしまった。世界の金の流れが変わり、米国に世界の余剰資金が集まらなくなった。

  日本経済が強くなりすぎたときは、過敏に反応して、内需拡大を強要したり、金融工学を使って日本・アジア経済つぶしの攻撃を仕掛けるまでの、悪辣さを見せた米国が、イラクの泥沼に足をつっこみ、注意散漫となっている間に、中国はアジア経済を牛耳り、欧米市場を席巻し、軍事力さえも急拡大して、太平洋を米国と2分割しようと「打診」したりしているらしい。大陸国家のはずが、海洋にまで進出しようとしており、これは海底資源確保のためだけではなく、軍事覇権をも狙っているとも考えられる。軍事を完全に米国に依存したために、経済政策まで米国に牛耳られ「経済敗戦」した日本の例を見て、軍事覇権もなくては、経済大国にもなれないと中国は悟ったのであろう。

  これからの日本は、中国経済に寄生して一部の利益を確保している現状を根本的に反省し、このままでは長期的な将来はないから、ベトナム、インドネシア、インド、中東、東欧など、中国を取り囲むような周辺部に「戦略的、適切に投資」して、これら諸国の経済をかさ上げすることに貢献し(銀行進出もこの一環)、日本経済の足場を拡大するべきだ。これら周辺国の国力を高めることも、ある意味で中国経済牽制に役立つかもしれない。 

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