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zoom RSS 大不況、韓国現代史

<<   作成日時 : 2008/10/10 12:55   >>

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米国の金融工学が遂に破綻し、住宅バブル経済が崩壊すると同時に、欧米の金融機関が危機に陥り、次には、実態経済面での大不況予測の下、株価も底値が見えないほどの大暴落を継続している。金融機関、経済におけるバブル便乗度の高かった米欧の通貨価値も暴落して、円高がひどくなってきた。結局はドルの大暴落となりそうだ。これらの現象に関しては、最近小生も時折触れてきたが、基本的には田中宇(タナカ・サカイ)氏が2年以上前から予測してきたシナリオ通りと言える(http://tanakanews.com/)。田中氏の先見の明に脱帽である。
 今回の金融崩壊は、1世紀も前の大恐慌に近い大がかりなものとなりそうな気配があり、日本としては、前回の記事で小生が指摘したように、低成長時代に(というより、もはや大不況下で)どう生きるべきか 、という心構えの問題となりつつある。ここで、最近読んだ韓国の現代史を、若干の参考として、記事を書いてみたい。

1.激動の韓国現代史
 最近読んだ木村 幹(カン)著『韓国現代史』(中公新書、08年8月)によれば、1945.8.15の日本国の敗戦後、独立した韓国が、南北分断、朝鮮戦争、軍事クーデター、軍部独裁政治などの激動の現代史を歩みつつ、しかし何とか高度成長を終えて、経済先進国の仲間入りを果たしたし、政治面でも民主主義国となったのであるが、あまりに短期間に先進民主主義国の仲間入りしたために、国民の意識はこのようなあまりに大きな変化にすぐには対応していない、という。激動の「朝鮮戦争」、「軍部独裁」などの歴史、及び三星、現代財閥を中心とした韓国企業家達による高度成長達成の歴史に関しては、小生は最近、韓国のテレビ・ドラマ『英雄時代』のDVDをレンタルビデオ屋から借りて、長編故にひいひい言いつつ見終えたので、何とかすんなり理解できた。知っているように勘違いしているが、隣国といえども我々の韓国に関する知識は、結構うすっぺらなものだと反省しつつ、DVD鑑賞で多くのことを学べたような気がする。

2.豊かな国家では、もはや更なる奇跡はない
 著者によれば、韓国国民は、先進国となって経済低成長時代に入った以上、これまでのような急激な経済成長はありえないこと、また、いつまでも「改革」によって、現状を打破して、急に世の中が良くなるようなこともあり得ないこと、を中々理解できず、相変わらず政治指導部に期待するところが大きすぎるのだ、という。道理で韓国では、大統領選挙で新大統領が選出されるたびに、新政権が誕生したすぐ後に、大規模デモが発生して、政権が民意を失い、早々と「レイムダック政権化」するという事態が、21世紀に突入後の盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)両政権において発生している。国民が政治に期待するところが大きすぎて、新政権が誕生すればすぐに、多くの幸福がもたらされうると勘違いして、政策効果が出るには時間が必要だという風には考えずに、短期間経過後直ちに、「期待を裏切られた」といって、大規模なデモ、反対運動に突っ走るのだという。
 朴正熙(パク・チョンヒ)という満洲の士官学校出身の(すなわち日本統治下の英才)軍人が、軍事クーデターで民主制を破壊しつつ誕生させた「軍部独裁政権」が、意外に「開発独裁」という新興国における成功モデルを示すほどに成功したことは、上記の『英雄時代』において上手く紹介されているが、独裁手法による強力な指導力が、それなりに成功を収めたことが、国民の「政治に対する過剰期待」を産んだようだ。

3.マスコミは見識ある議論を、単純な世襲批判はおかしい
 民主主義は、下手をすると「凡人政治」の弊害も産むのであり、その故に、真に優秀で、国民に貢献できるような「英才」を選出できるように、TV討論とか、世論調査を通じて、国民が本当に優れた指導者を選んでいけるように、マスコミも賢くなるべきなのだ。単に批判ばかりしていればよいと言う、無責任なマスコミであっては困る。キャスターとか、アナウンサーとかも、無責任に、視聴率を採るためだけに、真摯に努力している政治家とか、総理大臣を批判ばかりしないで欲しいものだ。子供を育てるためには、褒めることが一番だし、良い政治家を社会が育てるには、やはり褒めてやることも必要ではないか。

 かつてはマスコミがもてはやした小泉首相について、子息に地盤を譲るというので、すぐに「世襲批判」の声がマスコミから出ているが、国会議員の地盤を引き継いだり、子息とか孫とかが出馬する例は、欧米でも多い。小生がいた頃のアイルランドでは、中選挙区制で、二世、三世議員が多いという、55年体制時の日本と同じような政治状況があったが、世襲批判はそれほど無かった。歴史の長い、伝統主義の国家で、世襲があるのは当然なのだ。政治家の遺伝子そのものが、世襲の要因とは言わないが、豆腐屋なら世襲が許されるが、政治家は世襲してはいけない、とも小生は考えない。政治家が子供に地盤を譲るのは、それだけ自分自身も、政治を大切だと思っているからだろう。小泉純一郎自身が、祖父から数えて3代目の政治家なのだし、そういう人物が日本の政界に絶望せずに、子供にも政治をやらせようとすると言うことは、すばらしいことではないか!

4.日本国民も、消費税大幅引き上げなどの抜本策には、脅えて拒否反応
 日本人の多くは、少なくとも大正期以来約100年もの「民主主義」を経験しているので(昭和期の一時期、軍部独裁的な、民主制後退期があったとはいえ)、また、第二次大戦後の高度成長期も韓国よりは早めに終了したので、もはや高い経済成長とか、「改革・維新」による世直しが、それほど大きな何かをもたらしてくれるとは、期待していない。せいぜい日本人が期待しているのは、年金制度、医療制度の改善とか、安定とかである。

 また、巨大な財政赤字の累積にも、実は気付いてはいるが、これに関しては、見たくないとか、見てみないふりをするとかして、消費税の引き上げなどの抜本税制改革には反対する、という、幼児じみた拒否反応を示している段階である。

5.日本の政治環境も様変わりした
 今回の世界同時不況という情勢下、もちろん消費税の引き上げなどは今後当分できそうもないだろうが、面白いことに、自民党は麻生政権を茶番劇で誕生させては見たものの、世論調査結果のあまりの悪さに「解散総選挙」の目算ははずれ、場合によっては政権を民主党に奪取されかねないと見て、来年の任期いっぱいまで衆院選挙を回避するという、姑息な方法に逃げようとしているように見える。更に面白いことには、早期解散を期待していた民主党は、選挙を先延ばしされると資金面で持たないので、何とか自民党に早期解散させるために、補正予算法案などの短期可決に協力する有様だ。
 本当は、欧米の成熟した民主主義国のように、野党にも外交・安保政策を国会の駆け引きに利用しないとか、国家として是非必要な施策(国益)に関しては、超党派的に協力するとかの「度量の大きな政治的公正さ」が必要なのに、卑怯にもあらゆる局面において政府の揚げ足取りしか眼中にない「無責任野党」の民主党が、今では早期解散のためならば、「インド洋給油延長法案」の早期可決にすら協力しかねない有様だ。他方、自民党にとっては、世界同時不況で、この国難の中、選挙で政治空白を作ることは許されないとの、総選挙回避、先延ばしのための、都合の良い大義名分すら生まれている。
 要するに、経済危機の中で、与野党の形勢は逆転しつつあるのかもしれない。小生が不要と言っていた「景気対策」も、あまりの不況風の中では、「何か対策を採らないではおれない」という風に、この方面でも形勢が変わりつつある。あまりにも巨大な経済恐慌の出現は、全ての前提条件を変えるのであり、こうなると確かに、総選挙などをしている状況ではない、とも言える。

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