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zoom RSS NHKスペシャルの討論について

<<   作成日時 : 2009/01/02 01:09   >>

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 謹賀新年。今年もこのブログをよろしくお願いします。新年最初のブログを、ブルガリアものではなく、国際政治の議論に割くのは、少し心苦しいけれど、元日夜のNHKスペシャル番組を見終わったところなので、そのことに関して書きたくなったので、ご勘弁願いたい。

1.日本の進路を世界の趨勢に合わせて、思考できない
  相変わらずこの討論会でも、非現実的な非武装・平和主義国家的な発想しかしないジャーナリストと一部の学者対、政府の政策立案にも参画した実務家的発想の出来る本当のインテリとの間の、非生産的な議論が多くの部分を占めていたので、呆れるしかなかった。米軍占領下における偏向教育のせいで、左翼思想が国内に蔓延した後遺症が、相変わらず強すぎて、前向きの、或いは世界の趨勢に対応できるような、生産的議論がなされ得ない、国論がいっこうに纏まらない、という戦後日本国の欠点をまたもや浮き彫りにしていた。

2.グローバリズムの進展が、労賃を引き下げている
  グローバリズムの議論の中で、十分指摘されていなかったことは、昨年小生が何度もこのブログで指摘してきたこと、すなわち、労賃が極端に低い中国、インド、などの工業生産部門への参入で、モノ作り・輸出が得意な日本にとっては、不利な状況が生じており、この故に、国内工業部門労働者の賃金は抑制されるし、特に正社員ではない派遣労働者などの賃金が抑制されたり、また雇用調整により、景気後退期にはすぐに解雇されるという事態になっている、という点がきちんと説明されていなかったと思う(小生は決して、企業側が正社員以外の低賃金を利用しながら、困ったときにポイ捨てしていいという理論に与する気はないが)。
 
  英国、米国などが、モノ作りを捨てて、金融・情報・サービス産業などに重心を移していったのも、低賃金時期の日本製品、最近の中国製の工業製品と対抗できるモノ作りが難しかったからだ。日本は、中国、韓国などの輸出用工業製品の素材、部品、或いは製造装置などをこれら新興工業国に輸出して、間接的に新興工業国の対EU、米国向け輸出利益に便乗することで、モノ作り国の地位を延命させているが、素材、部品産業部分も、台湾、中国などが伸びてきており、いつまで日本がモノ作り国の一角としての地位を保ちうるのか、必ずしも見通しは明るくない。
  今回の世界不況は、新興工業国の勢いを一時頓挫させる効果もあり、日本としてはここでなんとか踏みとどまって、モノ作り国としての地位を再度確立して生き延びうるように頑張るべきなのかもしれない。しかし、その場合にも、低賃金を高賃金に変化させる、などということは夢物語であり、低賃金でも、雇用と、生産高を守れるように踏ん張る工夫をしてみる、ということでしかない。

3.後進国からの所得平準化への挑戦
  残念ながら、グローバリズム的な趨勢は、やはり今後も不可避的だ。これは結局は、前にも強調したように、インターネット社会となって、後進国においても情報が安価に、しかも世界同時的に入手できるので、より貧しい国の国民も頑張って貧困解消のため勤勉に働き、しかも日本に比べて1/20ほどの低賃金でよく働くのであるから、世界全体の生活水準が必然的に、平準化・均衡化の方向へと動くのであり、日本人など先進国国民のみが富を独占すると言うことが困難になるのだ。これまで教育水準で日本より遅れていた中国、インドも較差を縮小させていて、それと同時にその国民の知恵の向上度に平行して、所得水準も上がっていくと言うことである。

4.他国に軍事介入して、人道的な政権を与えると言うことは容易ではない
  アフガニスタン、イラクで生じたことに関する議論でも、このNHK番組では、今ひとつ重要な焦点が欠落していたと感じた。
  それは、いくらインターネット技術が世界に普及しても、イスラム圏のように、宗教的ドグマ、狂信、盲信の根強い社会で、しかも民主主義的な土壌のないところでは、米国のブッシュ政権のように、キリスト教的人道主義の視点から(注:そればかりではなく、他の米国の国益に立った軍事戦略もあったかもしれないが)、おせっかいにも、人権とか、人道主義とか、民主主義とかの米国、西欧などの基準にあった政権を樹立させようと、軍事介入しても、現地の住民達から十分信用も、支持もされず、上手くいかないと言うこと。

  イスラム原理主義的な勢力のテロ、ゲリラ戦法によって、「米国の傀儡」と見なされた政権は弱体化して、いつまでも正当な現地人のための政権として自立できないのだ。そもそも、アフガニスタンも、イラクも複数の民族が国内で対立的な立場にあり、これら諸民族をこれまで統合し得たのは、結構理不尽で、強権的な政権ばかりなのだ。すなわち、人道無視、宗教選択の自由無視、非民主的な政権が、宗教改革などあり得ないイスラム圏では、当たり前のように今後も、幾度も成立しうるし、西欧的視点からはリーズナブルではないような政権であろうと、これらを外部からの力で崩壊させても、結局は再度同じような勢力が復活してきて、元の木阿弥になるということ。結局、米国の「良心的な軍事介入」は、ベトナム戦争における失敗と同じく、中東地域でも成功は難しい。或いは、今後、南米、アフリカ、東南アジアとかにおいても、また同じようなことがあっても、米国、西欧などは、簡単に軍事介入はすべきではないのだろう。例えば、スーダンのダルフール地域とか、ソマリアとかも、そうである。ソマリア沖の海賊退治に海軍を出動させるという欧米、中国の動きは全く正しいが、陸上にまで乗り込んで、リーズナブルな政府の樹立まで面倒を見ると言うことは、なかなか成功の保障が無く、難しい場合が多いと言える。

5.国際社会の「軍事的貢献」にも平等に参加しないと、また大金を奪われる
  他方で、今回のNHKの議論では、湾岸戦争の教訓=軍隊を派遣して、国際的な大義に協力しないと、後で大金を巻き上げられる=を忘れた、相変わらずの米国不信議論(結局は反米主義議論に隠れて、国際社会における軍事的な協力に背を向ける議論)がジャーナリスト、学者らから提示されていた。上記4で述べた、軍事介入が必ずしも成功しないという議論と若干矛盾するように思われるだろうが、やはりあまりに非人道的な大量虐殺とか、人道危機(例えばカンボジアのポルポト政権の例)、その他の事態(ソマリア沖の海賊行為頻発もその一つ)に際して、日本のみが、現行憲法を振りかざして、軍事的な協力には参加しないと拒否してばかりいると、結局は軍隊を派遣する金をけちっているとか、自国軍人の生命のみを大事にして何もしない、という非難を国際社会から受けるだろう。その結果、軍事費を支払えという要求を拒めなくなるのだ。(湾岸戦争直後、小生はアイルランドにいたが、英国人学者が講演会で、「石油確保のための戦争に協力しなかった日本は、最後には、キャッシュで重い負担を押しつけられたのだ」とせせら笑った!小生は反論しようとも考えたが、反論の理論が見つからなかった!!)

6.屁理屈は止めてさっさと憲法を改正せよ
  憲法の改正など、どこの国でも、そう難しいこととは考えないし、国際社会の危機に際して、日本ほど無関心で、何かしようという気概がゼロで、いつも責任から逃げようとしか考えない国も珍しい。自国の軍隊を軍隊とも呼べないし、いかなる場合にも先に発砲してはいけないとか、外国に派兵しても自軍の自衛のための軍事行動もできないので、外国の軍隊に守って貰わねばならない(最近の自衛隊イラク派兵の例)とか、まったく誰にも(小生にも)理解しがたいような法的状況を国内的に勝手にいつまでも放置して、世界と足並みをそろえようとしない、不可思議な国家が日本国なのだ。防衛庁は、防衛省となったのだから、それこそより真剣に憲法改正と、国際貢献(海外派兵)の必要性を訴えて、立法に邁進すべきだ。

  昔の日本人なら、こういう「恥」を、早期に是正しないで、いつまでも空論を続ける、というような非現実的な発想は、決してしなかったものだ。昨年12月、小生が注目した櫻田淳による「正しい戦争」の議論も、国際貢献としての戦争(義兵)と、自衛戦争(応兵)の二つは、当たり前にできる「普通の国」としての国体を、早期に確立しないと、日本国は国際社会から孤立するし、自滅すらしかねないという、危機意識に立ったものだ。こちらの議論は、難しい論理ではなく、誰にでも分かる。正しい戦争・軍事行動には、当たり前のように、冷静に、粛々と参加できる状態を回復するために、進駐軍(米軍)が戦後日本国に強制した憲法を改正すべきなのだ。第9条の改正だけでも、「正しい戦争」ができる、理性的な軍事行動が出来る(すなわち、自衛隊を保持し、大金を投じている意味が生きてくる)国家を取り戻すことが可能であろう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
2日続きで、拙ブログへのコメントを有難うございました!
私はこのNHK特集は未見ですが、その理由は長時間を割いても結局不毛な論議に終始するだろう、と予測したからです。やはり私の予想したとおりになりましたね。他のブログでもこの番組が取り上げられており、平和主義の日本やノルウェーの若者と米国の若者との対話で、後者が「何時までも米国に守ってもらえると思うな」とクギを刺していたと書かれていたのを憶えています。

もはや、日本のメディアで国防について「世界の趨勢に合わせて、思考する」のは絶望と思われます。ネットでも憲法九条教徒が人気ブロガーとなっており、護憲派アマゾネスなどと称するフェミニスト連中もいます。全くお目出度いというか、いざとなって一番しわ寄せが来るのは女だというのに。本当にこの連中、マフィアにでも進呈したい(笑)。

国際政治についても私は全くの素人ですが、それなりの国際貢献は止むを得ないと思います。気持は複雑ですが、鎖国しているのではないのだから、ある程度の「近所付き合い」は必要でしょうね。
mugi
2009/01/22 21:54
mugiさん、我がブログへのコメントありがとう。
ところで、小生は必ずしも、日本のメディア全てが「絶望的」とまでは悲観していません。産経新聞などには、それなりに小生が共感できる評論、記事が多く載っているし、雑誌では、Sapioなども、国際社会の中で発揮すべき理性について客観的な批評を扱う例も多いように思う。とはいえ、日本国民自身が、平和ぼけと「安全神話」、主語抜きの「戦争はダメ」議論(主語は巧妙に抜いているが、本当は主語はいつも「日本」で、中国とか、ソ連(今はロシア?)による戦争はOKという、ひどい議論が左翼の本音だった)によって、洗脳された頭脳と思考回路故に、未だにまともな国防議論が行われていない。また、せっかく光明の感じがあった阿部総理が、ひ弱なぼんぼんすぎて、憲法改正にたどり着くどころか政権を投げ出したので、当面見通しが立たないだけです。我々のブログなどで、正しい議論を普及させていけば、若い世代がいつか何とかしてくれると期待しましょう。
室長
2009/01/23 14:24

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