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zoom RSS ブルガリア新政権の発足

<<   作成日時 : 2009/07/28 11:58   >>

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 27日(月)の新召集国会において、ボリーソフ新政権が予定通り選出され、自党派で選んだ閣僚のみの、いわゆる「少数派政権」(注:連立与党と閣僚を共有することで、多数派内閣を形成しない方式)を発足させました。新政権の最重要課題は、目下の世界金融危機に影響された大不況を乗り切ることと、89年末の自由化以来いっこうに改善が見られない社会の汚職・マフィア体質をいかに正常化できるかです。

1.選出投票、新政権発足
27日午前、ボイコ・ボリーソフ新首相を選出する選挙が総選挙後の第41期新国会(ブルガリア国民議会)にて行われ、ボ新政権への賛成票が162票、反対票が77票、棄権が1票にて、ボリーソフ新首相の就任が承認された。正午近く、選出後のボリーソフ氏は、自らが任命した16名の大臣を率いて議会雛壇席(政府閣僚席)に登場した。国会での手続きが終了後、閣僚達は、閣僚評議会建物に移動して、前政権(セルゲイ・スタニーシェフ前首相他、BSP、DSP、NDSV3党連立政権)から政権権力を受け取る儀式(政権移行式典)に出席した。

2.投票内容
(1)賛成票
  GERB党(与党、ボ自身の中道右派政党)=116票、
Ataka党(Volen Siderov率いる極右政党)=21票、
  青連合( Ivan KostovのDSB党とMartin DimitrovのSDS党の連合、中道右派)=15票、
  RZS党(Yane Yanev党首、右派系)=10票。
    Ataka以下の右派系3党は、今回の政権には閣僚職を要求せず、閣外協力の形式を取ることとなった。すなわち、GERB党は、自党独自の獲得議席数が過半数の121には達しないものの、116議席もの圧倒的な議席数を占めたので、「少数派政権=minority Government」として、自分の党のみの閣僚で政権を運営することとなった。右派系の諸政党は、閣外協力とはいえ、自党の立場と合致する場合にのみ支持票を期待できるだけなので、政局運営にはもしかすると脆弱性もあり得ることとなろう。
 
(2)反対票
  ブルガリアのための連合(BSP=社会党中心、左派)=40票、
  DPS党(トルコ系の政党、Ahmed Dogan党首、中道左派)=38票。
上記旧与党合計78票のうち1票が、棄権に回った模様。

3.ボ演説
  ボリーソフは、新政権の発足に当たり次を約束した:
(1)ブル国内の金融情勢を安定化する。
(2)ビジネス環境を改善する。
(3)汚職と戦う(注:ブル国では、自由化後に、政権とマフィアの間の癒着とか、権力に伴う腐敗、汚職の慣行(税関、税務署、その他)が絶えず、EU、米国などからも汚職排除が毎度のごとく勧告されている。ボリーソフ自身、シメオン・サックスブルク政権時に、内務官房長(内務省制服組トップ)として、対マフィア対策、対汚職闘争の先頭に立つという姿勢をマスコミを通じて作り上げ、国民的人気を手に入れた。今回の総選挙における勝利の大半も、そういうボ自身がマフィア・汚職と対決して、この積年の課題を成し遂げてくれるであろうことへの国民の期待に依存している、とも言える。)。
(4)司法制度を改善する(注:ブル国の司法制度は、社会主義時代に作り上げられたシステムのままであり、検察の前段階に、国家予審局という予審制度があるのが特徴。すなわち警察の段階で、ある程度は証拠固めが行われるのだが、更に予審局が再捜査して証拠固めをやり直し、場合によっては無罪を確定して被疑者を解放できるのである(もちろん予審局再捜査においては、検察官も立ち会って、予審局の勝手な判断での無罪放免をなるべく防止することも出来るのだが、現実には、予審判事(予審判事は、警官ではなく、裁判官、検察官。弁護士と同等の、司法官である)と検察官の対立が甚だしく、予審判事の独断での審理打ち切り、犯人解放もありうる)。更に、自由化後は、マフィア側の資金力が大きく、マフィア側は、まず予審判事、次いで検察官に賄賂を贈り、起訴を阻止しようとするし、起訴後には、裁判官にすら贈賄して、判決を有利に導こうとする。従って、マフィアの大物達の裁判は、必ず審理が長引き、判決が遅い。また、1審、2審と長い裁判にも耐えうる資金力があるマフィア達は、審理途中で保釈金に大金を積み、保釈中に逃亡を図ることもある。何れにせよ、警察、司法機関には多くの賄賂が流れ込むので、公正な司法措置を期待できる状況ではない。ちなみに、日本の場合司法試験は極めて難しい試験であるが、ブル国では、大学の法学部を卒業すれば誰もが、予審判事、検察官、弁護士、裁判官、という4つの司法官職種に就職できる。社会主義時代は、司法官も一種の公務員で、共産党は、いかなる裁判であろうと、どの段階でもほぼ自由に口出しできたので、裁判の公正さはなかった。しかし自由化後は3権分立の建前から、司法官達の自由裁量度が増大し、マフィア達が大金を賄賂として接近するので、司法官達は大いに富み栄えている!もちろん、司法官4職種の内弁護士は私営業者であり、彼らがまず大物マフィアの弁護士となり、人脈をたどって予審判事、検察官、裁判官らに賄賂工作の仲立ちをすることが多いようだ)。
(5)インフラの近代化。
(6)EUパートナー諸国からの信用を回復する(注:EU資金を不況から脱出するために確保するためにも、信用の再建が不可欠。ブルは近年、EU補助金の不正流用などで、多くのEU資金を凍結されている)。

4.閣僚名簿
(注:以下の表で「元」と書いているのは、大臣になることでその職場を去ることとなるのでそう記しているが、これまでの現職と考えて貰っても良い。)
(1)Boyko BORISOV=ボイコ・ボリーソフ、首相、GERB党創設者、元ソフィア市長。
(2)Simeon DYANKOV=シメオン・デャンコフ、大蔵大臣兼副首相、元世銀エコノミスト。
(3)Tsvetan TSVETANOV=ツヴェタン・ツヴェターノフ、内務大臣兼副首相、GERB党党首(注:GERB党は、ボの創設した政党で、実質党首もボなのだが、形式的はツが党首となっている。ツはボの側近と言える)。
(4)Yordanka FANDQKOVA=ヨルダンカ・ファンドゥーコヴァ、教育大臣、元ソフィア市副市長。
(5)Traycho TRAYKOV=トライチョ・トライコフ、経済・エネルギー・観光大臣、元EVN配電会社監査役。
(6)Vezhdi RASHIDOV=ヴェジュディ・ラシードフ、文化大臣、彫刻家、注:名前から見てトルコ系市民。
(7)Nikolay MLADENOV=ニコライ・ムラデーノフ、国防大臣、元欧州議会議員(MEP)。
(8)Margarita POPOVA=マルガリータ・ポポーヴァ、法務大臣、元検察官。
(9)Rumyana ZHELEVA=ルミャーナ・ジェーレヴァ、外務大臣(ただし、一時的、秋には欧州コミッショナーに就任する)。
(10)Totyu MLADENOV=トーチュ・ムラデーノフ、労働・社会政策大臣、元ヴラツァ市長。
(11)Bozhidar NANEV=ボジダール・ナーネフ、保健大臣、元GERB国会議員、ヴァルナ大学病院元外科医。
(12)Rosen PLEVNELIEV=ロセン・プレヴネリーエフ、地域開発大臣、元建設業者。
(13)Nona KARADZHOVA=ノナ・カラジョヴァ、環境大臣、元環境問題コンサルタント。
(14)Aleksandqr TSVETKOV= アレクサンダル・ツヴェトコフ、運輸大臣、元ソフィア市副市長。(注:上記ヨルダンカとともに、これまでソフィア副市長として、ボ・ソフィア市長、新首相の側近であった人物だ。)
(15)Miroslav NAYDENOV=ミロスラフ・ナイデノフ、農業大臣、元獣医師。
(16)Svilen NEYKOV=スヴィーレン・ネイコフ、スポーツ大臣(北京オリンピック金メダリストRumyana NEYKOVA(ルミャーナ・ネイコヴァ)の夫、自身はカヌー競技のチャンピオンらしい。)
(17)Bozhidar DIMITROV=ボジダール・ディミートロフ、無任所大臣(在外ブル市民担当)、元ブル歴史博物館館長(注:最近社会主義時代のDS<秘密警察>協力者だったことが判明しており、マスコミなどでは、同人の大臣職への起用に批判・反対意見もある)。

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