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zoom RSS 虚構の計画経済B

<<   作成日時 : 2010/01/05 11:29   >>

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 昨年末から、継続して書いている社会主義体制の欠陥ぶりを証明するため、小生のブルガリアにおける社会主義時代の体験に基づくシリーズの続き、第3回目です。
 新年早々、重苦しい話題ですが、まあ日本人にとっては、他人事として軽く読みながら、間違っても左翼思想におぼれないで欲しい、そのための知識補強と考えていただければ幸いです。

3.マルクスの予言した資本主義の生産力過剰社会は、冷戦時代を終えた後のグローバリズム時代までお預けで、ソ連型社会主義体制では全く真逆の、生産力過小社会となり、人々は物欲ばかりを膨らませた
(1)社会主義で、金の威力?

 上記のように自動車産業を例として、社会主義経済の長期化>公定価格による物流の不安定性(儲からない価格体系、常に物資不足社会だから、闇でモノの価格は何倍となるので、どうしてもモノが闇市場に流れ出してしまう)が、どうしようもない水準となる>開き直って、闇に物資を横流しして儲ける方が得と観念する>自らも、マフィア組織に参加して、闇市場の担い手となる>どんどん社会主義が腐敗し、崩れて、無法社会化が進展する>結局資本主義の方が合理的なシステムだと悟る!!・・・・という社会主義体制におけるものごとの進展ぶり、結論を示しました。

 まあ、上記の農業・畑作の項でも、かなり詳しくマフィアという裏組織が、どうやって誕生したか、結局警察組織なども、どうしてマフィアと結託するようになっていったか、ということを説明した。今回ここでは、機械産業というところでも、特に自動車産業など、市民の消費に直結するところを取りあげてみれば、いかにしてマフィアが誕生し、発展していったか、しかもその行き着く先が、結局は一種の資本主義社会である、という結論となることをご理解いただけたと思う。

 ソ連でも、東欧でも、ブルガリアでも、物資欠乏社会という社会主義の欠陥は、市民の物欲を異常に刺激し、過激化して、結局は違法も、無法も何でもあり、警察ですら買収対象となり、無力化できると言うことが、社会発展の現象として証明された。金の威力が、どんどん社会主義体制を突き崩していったのだ。

 実は、金の威力ではなく、ゴスプランとか、党官僚とかの「命令・指令」と、違反した際の罰則、逮捕といった脅しのみに供給ルートの確立を依拠した社会主義経済体制は、極めて人間性に悖り、不自然な故に、何れは崩壊せざるを得なかったと言うことでもある。しかも、生産の主力を軍需物資に偏らせて消費物資を軽視したことも、生産力の偏在という形で、矛盾を強化した。また、過剰な消費関連物資不足が、物欲を異常膨張させ、盗みと暴力とそして何よりも金の威力に頼って物資を無理矢理流通させてしまうという、マフィア組織を産んだ。金の威力が本来否定されていた社会で、金の威力を貫通させようという、闇組織が優勢となったというのは、実に皮肉なことだ。
 今日のロシアと、一部の東欧では、未だに、金の威力のみではなく、暴力と脅迫という裏社会の論理まで動員する、怪しげな資本主義経済がまかり通っているように見える。社会主義末期に誕生したマフィア組織が、依然として資本主義経済のかなりの部分を担っているのだ。

(2)資本主義で、やはり金の威力?
 他方で、現下の世界においては、資本主義的で、効率の良い生産企業が、以前の後進国である中国とか、ベトナム、インドなどでも活況を呈するようになり、物資不足は全世界的に解消されつつあり、安価な工業製品が世界市場を席巻し始めている。
 かつて物資不足で物欲に身悶えしていた旧社会主義圏のロシア、中国、インドでは、日本とか、ドイツ、フランス、米、韓国、台湾などの効率的な生産技術が外資の投資により持ち込まれ、急速に物資過剰社会化している。

 自動車なども、日本から中古の自動車を「信じられないような安価な価格」で輸入できるようになって、旧社会主義圏の粗悪で、低性能な自動車など見向きもされなくなった。TV受像器も、サムソンなどの韓国製とか、安価で性能の良い薄型テレビが買えるほか、フィリピンなどでは、日本製の中古ブラウン管テレビを改修して、更に安価な受像器が販売されている。

 かつて、資本主義圏の外貨とは、交換性が無く、金の威力に乏しかったソ連のルーブルとか、ブルガリアのレフといった貨幣も、自由化後は、互換性を保有するようになったので、本当の意味で金の威力を発揮するようになった。ロシア人は、ルーブルで何でも買えるし、ブルガリア人も、レフで何でも買える。物資不足の社会主義時代が、夢のように消えてしまった!今では、ビール工場も、西欧製の技術で、おいしいビール、まともなビールを製造している!!ブルガリア人に不可欠なヒマワリ油(主要食用油=ブル人は世帯当たり1ヶ月に数リッターもの食用油を消費する)も、搾油・精製工場がユニリーバという外資の手に移り、新技術が導入されて、今では社会主義時代のような臭いにおいがしない良質な食用油に一変した。

人間としての才覚が、商売に役立つ時代でもある。ブルガリアの現地事情に関してブログ報告している日本人女性のサイトなどによると、多くの新しいブル人で、多少の資本力があり、料理の才能のある人は、レストランとか、カフェとかのしゃれた店を次々に開店して、自ら商売するようになってきた。
 また、西欧系の外資は、DIY店とか、大規模スーパーなどを続々と開店し、物資過剰社会を現出しつつある。お金さえ稼げば、適正かつ安価に、社会主義時代には夢に見たほど高品質な消費物資が溢れているのだ!!

(3)資本主義では、就職口が足らない!
 ソ連型社会主義では、賃金が異常なほどに低く抑えられていた。国家を寡占統治した共産党高級官僚達は、市民に必要な賃金額を、国家が供給できる食料品と衣料品を最小限買うに必要な金額で事足りるはずと断定し、低賃金体系を市民に押しつけ、国家資金に余力を生み出しつつ、その大金を武器製造、軍需物資製造に優先的に配分し、大米帝国を中心とする資本主義国との冷戦体制における「過剰軍事国家」体制の編成を優先したのだ。
 その上、企業間競争を悪と見なして、独占企業ばかり育成しながら、他方では、独占企業への課税を重視したから、企業側も自社従業員への福祉はある程度心がけたものの、基本的には、独占体制を利用して闇への物資横流しで、企業幹部達が甘い汁を吸うという、悪い体質が蔓延し、腐敗、不正を助長した。物資の横流しで、企業幹部が甘い汁を吸うという、その体質が、マフィア組織の育成にも繋がった。

 何れにせよ、企業としては、増産とか、そういう上からの命令を遂行するためには、新しい機械を買い付けたり、工夫して作業を効率化するよりも、安価な労働力を増やす方を好んだから、労働力はほぼ常に不足気味だった。つまり就職口は、きつい、汚い、危険の「三K労働」を嫌わなければ、いつでも開かれていた。

 然るに、資本主義社会では、企業間競争、或いは輸入品との競争が熾烈であるから、特に中国、インドなどの低賃金国よりも賃金が高めの国(ブルガリアなど東欧、ロシアも、そうである)では、必ずしも中国企業、インド企業、インドネシア企業に対抗できる価格での製造業・工場の設立は得策ではない。倒産してしまうから。
 この故に、ブルガリアなどの新資本主義国への外資の流入は、中国などに比べると、低調であり、就職口は必ずしも増えてはいない。それに、ブル人大学生とか、優秀な人材にとっては、西欧とか米国に移民して、移民労働力として、「出稼ぎ」する方が、賃金は遙かに高いのだ。だから、東欧では、就職口は常に不足しがちだし、見付かっても賃金は低めで、商品の品数、種類も豊富となったスーパーで、欲しいものを何でも買えると言うほど豊かになるのは、容易ではないのだ。そうはいっても、ブル人の大部分の家庭では、白物家電製品も、品質の良い西欧製品に既に買い換えたし、日常的に食べる食品も、おいしくて満足できる品物が、日々増えている。

(4)中国という「世界の工場」出現で、資本主義の過剰生産力という命題が実現しつつあり、最近の日本のデフレも、その影響
 それにしても、今日の日本の資本主義の混迷も、結局は隣国中国が日本を凌駕する巨大な製造業大国に成長し、日本経済は、中国向けの資材とか、電子部品とか、化学製品=中間材料、或いは公害対策機器、建設機械、奢侈品(高級車)などの輸出に依存するという、アジア依存体制となりつつあるのに、その変化への心理的な対応が未だに出来ていないのが原因の一つだ。またもう一つは、民主党の小沢氏などが、叩頭外交まで始めて、我々日本人には、事の善悪とか、今後への展望が描きにくくなっているからではないか?

日本が世界一の製造業大国として、貿易黒字を生み出すのが当然だったという時代が、結構長続きし、この間米国から、輸出依存を止めろとか、保護貿易主義とか責められ、色々と嫌がらせも受けていた「よき時代」は今は昔で、今は社会主義体制の中で長期低迷経済を宿命づけられていたはずの中国、インドなどが、大躍進し始めたのだから、我々としては、一代限りの中で、これほどの激しい世界的変動には、つきあいきれない気持ちともなるというものだ。
 中国の低賃金で、当然安い商品がどしどし輸入されるのだから、何でも百円ショップ(中国、ベトナム製品ばかりだが、安くてそこそこ良い品物が入手可能)で買える時代なのだから、デフレは当たり前だ。デフレ退治のために、赤字国債を乱発せよ、などという暴論には、おつきあいしかねる。百円ショップを禁止でもしない限り、とてもデフレは収まるまい。

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