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zoom RSS ブルガリアの経済関連ニュース

<<   作成日時 : 2010/06/15 13:32   >>

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 少しは、ブルガリアに関するニュースを取りあげるべきだろう。南の隣国ギリシャが、経済危機に陥り、ブルガリアの経済に関しても、少し黄信号が出ているらしいので、これらに関する電子英字新聞(Novinite.com)記事に基づき、少しコメントを加えつつご紹介する。
 ちなみに、自由化後、長年、構想だけはロシアと協議してきて、いっこうに進展がなかった二つのプロジェクトにつき、何事も明白に白黒つけるボリーソフ首相が、とうとう「切り捨て」を言明した。自由化後徐々に悪化の度合いを強める対ロシア関係は、ますますボ首相にとっては、どうでもよい、切り捨て御免のマイナーな地位にある、ということであろう。

1.6月10日付Novinite.com報道:EU統計官僚がブルの公的会計を監査
  ブルガリア経済は、リーマン・ショック後のEU経済の停滞、更には最近のギリシャの経済危機などの悪影響を受け、低迷中。
  ギリシャの場合、既にユーロ貨を採用しているので、今回のユーロ危機を引き起こすほどの経済の悪化を記録したのです。
  ブルガリアの場合、未だにユーロ貨幣を採用することは、EUから認可を貰えなかったので、却って自国通貨レフ=Levということで、国際的な注目を浴びず、得をしている側面がある。しかし、ブルガリア政府が、きちんと財政規律を守り、正確な統計をしているか、ということで近くEUの「経済・貨幣コミッショナー」であるOlli RehnがEU統計局(ユーロスタット)の役人達をブルに派遣して、ブルの公的部門会計を監査する由。

2.(同上報道など)巨大な対外債務と不動産価格の崩壊が懸念材料
  ブルガリアの場合、従来からレフ貨の価値を守る(ユーロの1/2という価値に相場を固定している固定相場制)ために「通貨ボード」という、IMFなど外国人も関与する特別の機関を設置し、財政赤字を厳しく監視、制限してきたので、ギリシャのようにゴールドマン・サックス社と組んで公的会計を裏操作し、財政赤字を小さく見せる、というような工作はまずなされてないはずだ。

  今回の記事によると、ブルの単年度財政赤字は10年度GDP比3%以内、これまでの累積政府赤字もGDP比17%と、さほど問題はない由。ただし、不安材料は、巨大な対外債務で、この数字はGDP比108%に上る由。また、レフ貨のユーロ貨へのペッグ制も、実はレフ貨を切り下げて輸出を促進するという普通の通貨のような操作を困難としており、通貨価値の安定という利点と引き替えに、景気対策が困難という欠点を抱えている。

  なお、ブル経済は、9年度GDP比5%の縮小を来たし、09年度第一四半期もマイナス4%と事態は改善されていない。(注:ブルガリアの経済指標:07年度、GDP=288.9億ユーロ、一人当たりGDP=3773ユーロ、という。故に、対外債務総額は、300億ユーロを超えることとなる。)

  ブルガリア経済で、今一番問題なのは、近年のブルガリア経済の成長が、不動産投資に大きく依存してきたが、今回の危機で、不動産価値が大幅に下落し、借金して不動産を購入した多くの企業、投資家、市民などが、大きな痛手を被り、今後不動産ローンの焦げ付き、ローンを提供した欧州銀行の不良債権拡大、という事態が進行すると見られること。

3.6月12日付報道:ロシア関連プロジェクトを相次いで中止、乃至は凍結
 ボリーソフ首相は11日、かねてから進展が見られなかったボスフォラス海峡を迂回する石油パイプライ計画(ブルのブルガス港からギリシャ北東部のアレクサンドルプーリス港に向け、陸上に石油輸送パイプラインを建設する計画)から撤退すると発表した。この計画に関しては、ブルガス市民、その他ブル市民からの環境懸念、反対の声が強く、断念するとの理由。
 また、ボ首相は同日、ドナウ川沿岸ベーレネ町にブルとして第2の原発を建設するとの「ベーレネ第2原発プロジェクト」を、投資環境悪化の故凍結する、と言明した。

 上記の二つのプロジェクトは、何れもロシアが一番関係する案件であり、ロシア側は事前にロシア側と協議もせずに、ブル政府が中止、凍結と一方的に発表したことに激怒している。

 ちなみに、第2原発計画は、社会主義時代にかなり工事が進捗していたし、かなり多くの機材が既にソ連から現地に納品済みであったが、89年の自由化革命後工事は放棄され、機材類も錆びたりして、全てがほぼ一から再スタートの必要性があった。ロシアの他、ドイツの企業も工事受注に関心を示し、競り合ったりしていたが、ブル側はなかなかこの巨大投資には踏み切れないでいた(対外債務を更に膨張させることとなり、金利の上昇を招くから)。

 アレクサンドルプーリス港までの石油パイプライン構想も、ロシア、ギリシャには利益があっても(トルコのボスフォラス海峡を迂回できるので、ロシア、ギリシャ両国にとっては、エネルギー安保という戦略的意義も高い)、ブル自体にはさほど利益が少ない上、万一の事故による環境破壊もあり得ること、またロシア・ギリシャからブルへの土地使用、港湾使用、などに対する賠償的利益供与の「餌」が低すぎること、などから、長年議論してきたが、いっこうに3国の利害が纏まらず、足踏みばかりしてきた案件である。




 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
 ブルのボリーソフ首相が、旨みのないロシア関連プロジェクトをついに「切り捨て」したのですか。
 私はブルとロシアの関係には全く無知ですが、地元宮城県ではロシアとの経済交流に前向きであり、知事がロシア極東部に訪問したほど。果たして大丈夫ですかね。中国進出もトラブルが山ほどありますが、ロシアも問題山積。

 宮城の河北新報は毎度、経済交流の大風呂敷を広げ過ぎる記事ばかり書いており、経済に疎い私さえ怪しく思えます。さらに、未だに友好の文字が使われている。河北に限らず日本の新聞で、海外進出して失敗した企業のことなど、全く書きませんから。
mugi
2010/06/17 21:50
 mugiさん
ブルガリアは、自由化後、NATO、EU双方への加盟を実現し、それ故、軍事面では対米協力、経済面ではEU(中心は、独、仏)依存を高めてきました。必然的に、また、社会主義時代は「忠実なソ連の属国」であったが故に、逆に近年は、対露独立路線を強化しています。ユーゴ解体の過程で、セルビアが米国と敵対し、その反動で対露友好をことさら強調したことも、逆にセルビアと敵対するブルにとっては、対米友好路線を強調する道筋を選ぶこととなり、ロシアとの距離は遠のきました。もちろん、ロシアは、ブルガリアへの天然ガス供給(ウクライナ、ルーマニア領を経由する社会主義時代以来のガスパイプライン)と、黒海を石油タンカーでブルのブルガス市まで運び、かつブルガス市にある精油所(ロシア企業Lukoil社が買収)で、ブル国内向けガソリン供給を握るなど、ブルの石油、ガスを握ってはいるのですが。 
室長
2010/06/17 23:25
(続)
 ロシアと日本の関係を今後どうするか?難しい面もあるのですが、ロシアと中国は隣国同士(仲が悪くなって当然)で、しかも中国がシベリア資源を狙っている、また中国の膨大な人口が極東ロシアに溢れ出しそう、更には、ロシア娘を中国人観光客が買っている(買春)など、ロシアと中国の関係は、長続きしない、と言われており、逆に日本との経済関係は、資本主義思考も出来るようになったロシアとは、うまくいくかも知れない。

 とはいえ、中国人と比べても、ロシア人のビジネスマンの多くは、ある意味マフィアと見てよいし、ビジネスモラル・倫理観が、日本人とはかなり異なるから、用心する必要はある。
 北海道の人は、結構ロシア人と用心深くつきあうことを知っていると思うけど、仙台の皆様はどうかな?小生がベラルーシにいた頃から、ベラルーシ人の男性が東北大学に留学していて、日本人の彼女も居て・・・・、結構仙台の方は、ベラルーシ人(基本的にメンタリティー、思考様式などロシアと同じ)への警戒心が弱そうと思っていました。
 もちろん、昔のソ連とは違うから、ロシアとも経済面でも、うまくやれる可能性はあるけど、90年代にサハリンに進出した日本企業が建てたホテルなどは、ロシアマフィアに占拠、乗っ取られて、無惨にも日本企業は逃げ帰った。ロシアでは、今も司法が、行政府の影響下にあるはずですから、いくら弁護士を雇って告訴したりしても、合弁企業としての相手側(ロシア企業、マフィアであることも少なくない)が、勝手に行動して「乗っ取り」状態になっても、司法で経済権益を回復することは難しいでしょう。ブルガリアでも、未だに司法は、公平とは言えません:裁判官、検事、予審判事という、公的立場に立つべき司法関係者ですら、買収可能ですし、もちろん警察官なども、その多くが買収可能ですから、日本人が裁判で勝利することは、難しいかも!
室長
2010/06/17 23:49
 やはり、ロシア人ビジネスマンの多くはマフィアですか。ロシアン・マフィアは欧州にも進出しているようです。ロシアや東欧のマフィアはかなり荒っぽいそうですね。

 仙台は東北の地方都市のため、ロシア人に限らず外国人に対する警戒感が薄いですよ。数年くらい前、ロシア人窃盗グループが仙台はじめ東北の車用品の店で、スタッドレスタイヤを大量に盗み、売りさばいた事件がありました。白人=アメリカ人と見ている傾向がある。
 未だに外国人を客扱いにする傾向があり、地元紙・河北新報が外国人との交流の類の下らない歓迎モードを煽りたてる。これも異民族のいなかった日本の地方の特徴でしょうが、外国人には警戒感も必要ですね。
mugi
2010/06/18 21:50

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