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zoom RSS 米国のアジア回帰と日本の国防決意

<<   作成日時 : 2010/09/12 15:43   >>

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  昨年12月に『ドルと米国は復活する?』(http://79909040.at.webry.info/200912/article_2.html)という記事を書いたのだが、9月1日付け産経紙掲載の「湯浅博の世界読解:米国はアジアに戻り、とどまる」という記事は、オバマ政権もようやく対中包囲網再構築に向けて動き始めた、と思わせる内容を含んでいる。
  要するに太平洋西部地域では、日本、韓国、台湾の中東までのシーレーンに対する中国海軍による脅威が高まりつつあり、このシーレーンを従来確保してきた米国海軍力が相対的に押されてきているのだが、米国ももはやこれ以上座視できないと見て、反撃の意志を明確にしつつある、ということである。

  日本の場合も、最近の尖閣諸島付近での中国漁船による違法操業、これを制止した海上保安庁艦艇に対する「体当たり反撃」という、けしからん所業につき、海保側が船長らを逮捕・拘束したことに関し、これを「自らの領海内における日本側による違法逮捕」などとして公式抗議する中国側の強気一辺倒の対応が注目されている。更にはこれまでの海底油田の一方的開発・・・・などから見ても、中国側が海洋関連の国際法を一切守る意志が無く、一方的に日本国の領土=尖閣諸島を、徐々に侵犯し、最終的に領有権を確立しようという意向、中国海軍力による、実力行使の意志までが透けて見えている。
  日本としては、今後幾度もの尖閣諸島近辺での武力対決、衝突を覚悟しておかねばならない状況である。民主党の対中宥和政策などを重んじて、中国側からは当分何も実力行使はないだろう、などという甘い考えは棄てた方がよいのだ。日本国として、海上自衛隊による警備もより強化して、断固この問題で譲歩しないという覚悟が必要なのである。中国は、竹島問題における経緯を教訓として、一方的に武装上陸して既成事実を作り、自分側の論理で押しまくれば、日本は戦えない、と言う風に甘く見ているのだ。日本国としても、国土防衛、或いは、シーレーン擁護の双方のために、場合によっては武力衝突・交戦をも覚悟した、積極防衛構想で、対抗措置を執らねばならない。

  以下に、2つの産経記事の要旨を引用しておく。南方方面での国防に関し、油断している暇はないのだ。

1.「中国艦ミャンマー寄港:港湾確保へ海軍友好促進」(9月1日付産経紙)
(要旨)
 8月30日、中国海軍第5護衛艦隊所属フリゲート艦「巣湖」、駆逐艦「広州」は、アフリカ・アデン湾で海賊対策任務を終えて帰国途次、ヤンゴン近郊のティラワ港に寄港した。中国海軍艦船のミャンマー寄港は、これが初めて。中国側は、インド洋側において安定的に利用できる港湾の確保を目指している。
 これに先立ち、温家宝中国首相は今年6月、同国首相としては16年ぶりにミャンマーを訪問し、首都ネピドーで、タン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長(軍事政権トップ)と会談し、原油・天然ガスパイプライン建設、水力発電事業など15の経済協力協定に署名した。このパイプラインは、ミャンマー西部の港町シットウェから同国を横断して中国雲南省昆明へと繋がる全長2380kmで、完成後は、原油を年間2200万トン、天然ガスを120億立方メートル輸送できる。

2.米国のアジア回帰に関する湯浅氏記事(同じく9月1日付産経紙)
(要旨)
(1)9・11テロ後、米国はイラク、アフガニスタンにおける戦争、戦後の治安維持に足を縛られてきた。この間に「富国強軍」を掲げる中国が、その海軍力を誇示しつつ、南シナ海、東シナ海で沿岸国に様々な圧力をかけてきた。
(2)米国が「アジア回帰」のキックオフを明言したのは、今年1月のクリントン国務長官によるホノルル演説だった。ところがクリントン長官が「アジアに戻る、そしてとどまる」と宣言したのに、この演説の注目度は低く、日米各紙はほとんど報じなかった。
(3)オバマ政権は、経済重視の姿勢から中国との融和策をとってきた。この故、東南アジア諸国も、米国の宣言には未だに疑心暗鬼だった。ところが、その後、「クリントン・ドクトリン」は徐々に具体化されている。
(ア)インドネシアとは、11年間中断していた陸軍特殊部隊の訓練受け入れを解除した。インドネシアは、言うまでもなく人口2億の大国で、ASEAN内の最有力国だ。ナショナリズムが強い分、反米反中感情もあるが、ユドヨノ大統領の下で近代化へと脱皮しつつある。
(イ)米越両国の軍事接近も際だっている。両国は最近初の合同海上訓練を行ったほか、米軍輸送司令船2隻が、ベトナムの造船所で修理中だ。 
中越間では、過去に南シナ海の領有権を巡り2度も交戦をしているし、今年5月には、西沙(パラセル)諸島で海底探査の中国艦に対し、「主権侵害」として越側が抗議し、一触即発の危機があった。ベトナム側では、米国のプレゼンスが、中国のこれ以上の軍事力拡大を阻止してくれると期待する。
(ウ)米豪間では、日米間で実施している外相+防衛相による「2プラス2」会議を定例化する方針だ。北部のダーウィンに米軍基地を作る議論まである。
 上記(ア−−ウ)を総合すると、米国は、日本、韓国、豪州、タイ、比の伝統的な同盟国(グループA)を基礎に、インド、インドネシア、ベトナム(グループB)と戦略的な関係を結びつつある、と言える。
(エ)更に米国は、インドシナのメコン川下流開発計画の具体化に関わり、沿岸国のカンボジア、ラオス、タイ、ベトナム外相に計1億8700万ドルの支援を約束した。中国の一方的な東南アジアへの進出拡大を阻止し、「中国包囲網」を再構築しようとしているように見える。
  クリントン長官は7月のハノイにおけるASEAN外相会議で、伝統的な「航行の自由」原則を米国の国益であると協調し、(南シナ海)領有権問題を多国間で取り組む(要するに米国も関与して、取り組み、中国を牽制する)という方向に意欲を見せた。中国が近年、チベット、台湾と共に、南シナ海を「核心的利益」と呼び、「武力行使も辞さない」意志を示していることを危惧して、中国の強引な膨張主義には米国主導でないと対処できないことを考慮し、米国の「アジア回帰」を宣言したのである。

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんばんは。
 日本のマスコミは一般的にアメリカのアジア回帰を報道してないのじゃないでしょうか。尖閣諸島の扱いも小さい気がしますね。そして、こんな時に代表戦を続ける与党の姿勢は極めて不可解です。もっとも、尖閣諸島を国有化したりとかもしているのでちぐはぐな印象が残ります。私は自衛隊員が「戦死」した場合に、日本国民や政府はどのような選択をするのか気になります。
スポンジ頭
2010/09/14 01:01
スポンジ頭様、
 中国は昔から大国すぎて、頭の中が国内事情でいっぱいなので、他国、隣国への配慮とか、そういうものを期待できないと言うこともある。今回の漁船については、海上保安庁が頑張って、適切な対応をしているけど、他方民主党政権としてはふがいない反応ぶりです。
 しかし、中国は今経済重視のお国柄ですから、国内世論対策として、偉そうなやり方をしているけど、すぐに軍隊を派遣して来るとは思えない。外交的に、日本のメンツをつぶして、国民の溜飲を下げさせるというショーを演出中です。
 しかし、こういう風に日本をなめた態度を何時までも許しておいてよいのでしょうか?中国国民は、日本をますますなめるようになり、尖閣諸島にも勝手に上陸する行為を繰り返す虞が強いです。やはり、日本側が断固として譲歩しない、戦う姿勢を見せないと、かえってより大がかりな紛争、戦争を阻止できなくなります。
室長
2010/09/14 08:41
室長様
 政府が頼りなさすぎるので却ってなめられると言うお話は賛成です。せめて与那国島に自衛隊を配備して欲しいですね。更に怖いのは民主党の推進する外国人参政権で、地方分権とセットにされたらいくら防備を整えても「民意」でどうしようもなくなります。せめて「戦争」=「絶対悪」と言う観念がなくなって欲しいです。
 ただ、一応尖閣諸島は日米安保の範囲内だとアメリカが明言しているので、時間稼ぎは出来るはずです。
スポンジ頭
2010/09/14 20:22
スポンジ頭様、
 与那国島に自衛隊をまず配備して、日本国としての領土防衛意志を確立、明示すべきと言うことで、意見が一致しますね。
 民主党の党代表選挙に、サポーターとして年間2千円支払えば、外国人も投票権を行使できたことは、日本の総理を選ぶ選挙に「外国籍」の人間も投票できるシステムと言うことで、やはり大問題です。
 もちろん、外国人の地方参政権も、特に沖縄・南西諸島とか、対馬とか、国境地帯では大問題となり得ます。怖い話です!!
室長
2010/09/16 17:28
 以前、私のブログに中国支配者の心理として、「天下を取れぬ場合は王道で夢想・自尊心を癒し、取れるならば覇道で一気に支配する」とコメントした方がいます。元から中華思想で朝貢、使節を叩頭させてきた国ですから、他国への配慮など利益がない限り顧みないでしょう。数年以上前だったか、中国外交白書には「我が国が力をつけるまでは低姿勢でいること…」の文言があり、力を付ければ高姿勢に転じるとなりますね。
 スポンジ頭さんが以前紹介された中国の掲示板にあった書込みを思い出します。先天的に中国人には遵法精神が欠如していますから。
「国家間には強いか弱いかしかない。公平か不公平かなんか関係ねえよ。それは国内の庶民の間でも同じことだろ…」

 そして今年6月、中国の漁業監視船が、中国漁船を拘束したインドネシア海軍の警備艇に武力攻撃を警告することも行っております。かつて西沙諸島も中国海軍が侵攻、ベトナム軍を排除し、諸島全体を占領しました。尖閣諸島に侵入する中国漁船は民間の船ではなく、民兵船だと見ている人もいます。つまり、海の便衣兵ということ。
 本当に日本政府の対応は苛立たしい限りです。再選された現首相、下手すると船長を釈放するのではないでしょうか?
mugi
2010/09/16 22:28
 中国に返還された船の船首には、日本にあった時には開いて居なかった穴が開いています。日本側には証拠の映像がありますからいいのですが、いよいよあの国はなりふり構わず尖閣諸島を取りに来たようです。
http://www.asahi.com/politics/update/0916/TKY201009160225.html
http://www.asahi.com/national/update/0915/TKY201009150452.html
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00184559.html
 それにしても大手マスコミは東南アジアでの中国の無法ぶりや、特にテレビニュースでは尖閣諸島に関する中国側の暴言(船長即時釈放)などを報道しませんね。NHKも報道しない。私が情報を得ていないだけでしょうか。
スポンジ頭
2010/09/17 00:23
mugiさん、スポンジ頭様、
 今朝の産経新聞は、1面で、クローリー米国務次官補(広報担当)がはっきりと、尖閣諸島は日米安保の対象領域、先の漁船事件は、中国政府が意図的に送り込み尖閣諸島領有に向けて引き起こした、領土目的の事件である、と断定した旨報じています。
 菅民主党政権が政局に没頭し、対外警戒感が無く、全く強硬な態度を取らないので、米国政府が危ぶんで、口先介入で中国に「これ以上勝手なことは許さないぞ」と警告したもののようです。ここまで米国に守ってもらわないとならないとは、今の政権は情けないです。
室長
2010/09/17 08:33
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/#
 JA1NUTというお医者さんでアマチュア無線をしているかたのブルガリアのハムで経済学者との交流がかかれている記事がありました。
nadi
2010/09/17 11:29
nadi様、
 ご紹介いただいたブログで、ブルガリアのRumen Gechevと言う方と無線で話したらしいことが分かりました。Rumen Gechevで、少し検索してみたけど、なにやら経済論文見たいのが一つ出てきたのですが、どうもこの人がブルガリアの閣僚だった?とか、そういうことは小生にも分からないです。この論文も、英語としては怪しいところが多く、少し眉唾な感じがしました。今のところ、その程度しか分からない。
室長
2010/09/20 23:22

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