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zoom RSS デフレを克服する必要はない!

<<   作成日時 : 2010/11/23 14:36   >>

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 10月29日付の『週刊ポスト』に掲載された長谷川慶太郎氏の意見(注:同誌の「憂国オピニオンシリーズ:言わずに死ねるか!」コラムでの意見で、題名は「それでもグローバル経済は多角的に発展する;「戦争の消滅」がもたらす「100年続くデフレ」を怖れる必要はない」)は、他に類例を見ない独創的な未来観測として、注目に値するので、勝手ながら、紹介したい。
 長谷川氏は、従来から、全く独創的な視点で現状分析し、未来観測をするが、何時も驚くべき慧眼、異能ぶりを発揮するので、小生は昔から尊敬している(その割に、同氏の著作を系統的に集めて読むという努力をしておらず、恐縮ではあるが)。

1.21世紀はデフレの世紀との予言 
  日本を含め世界経済は、今後100年間デフレが続くだろう。何故デフレが止められないのか?その根拠は、1989年のベルリンの壁崩壊で東西冷戦が終結した後、世界的規模の国家間戦争はなくなったからだ。戦争が、経済的に利益をもたらさないことが明白となったからだ。領土野心が未だに旺盛な中国にしても、米国との間にある圧倒的な軍事力の格差に鑑み、世界を巻き込んだ戦争を仕掛ける可能性は100%無い。
 戦時体制が不要となり、各国とも市場を開放し、自国製品を売り込むことに熱中するから、貿易自由化が進展し、労賃が低く、生産性の高い新興国の製品が世界市場を席巻するようになる。これが世界的デフレの構造である。

2.デフレ時代の前例 
  人類史上最初のデフレ時期は、1873年〜1896年までの24年間だ。英国で始まり、欧州から米国にまで広がった産業革命のせいで、この期間に物価は約半分になった。1870年に70万tに過ぎなかった全世界の粗鋼生産量が、1896年には2800万tと40倍に拡大し、価格は半分になった。同様に、砂糖の生産量は600万t→6400万t(10倍以上)、価格は1/4になり、小麦は生産量が5倍に、価格は1/3となった。
 各国で庶民は、物価下落の恩恵を受け、生活水準が向上した。ドイツ、フランスといった当時の新興国では、経済成長と物価下落が同時に起きるという現象を示した。つまり、デフレは必ずしも、経済の縮小や衰退を意味しないのだ。
 加えて、技術進歩の流れで、医学も発達し、経済成長で生活水準が向上するのと平行して、世界の平均寿命が大きく伸びた。デフレ前の1873年まで、30歳前半だった先進国の寿命は、20世紀初頭には60歳を超えたという。
 明治14年(1881年)時点で30歳前半だった日本人の平均寿命も、昭和にはいると、50歳代に伸びた。
この前例から見れば、今後世界の平均寿命は100歳にまで伸びるかもしれない。これをバラ色の未来といわずして何というのか!

3.企業努力が必要 
  もちろん、デフレは企業にとっては苦難の道でもある。製品や、サービスを提供する企業は、泥をすするような努力をしなければ生き残れない。「買い手に天国、売り手には地獄」がデフレ時代なのだ。そこで、物価の下落と、新興国への労働現場の移転で、先進国では賃金カットが進むという心配の声が出る。しかし、賃金カットには必ず労働争議が起き、物価下落と比べれば、賃金下落は抑制されるので、心配は杞憂だ。むしろ国際競争の結果、新技術が次々と生まれ、経済は多角的に成長するだろう。

4.小さい政府 
 大きな政府は、インフレ時代に機能し得た遺物であり、デフレ時代には、小さい政府を人々が求めるだろう。市民税10%減税を争点とする名古屋の河村市長の試みは、デフレ時代に象徴的な出来事だ。

5.デフレこそ極楽 
  戦争での殺し合いが無くなり、平均寿命が延び、安くて質の良い製品が手に入るデフレの世の中は、人類が理想とする極楽の世界だ。
 我々が成すべきことは、デフレを怖れず、継続するための努力を惜しまないことだろう。

6.小生のコメント 
  以上のような、圧倒的に楽観的で、しかも示唆に富む予言に対し、浅学の小生は、もちろん異論など挟みようがない。
  ただし、ここ2--3年ほど、小生も、@世界経済のグローバル化の進展、中国、東南アジア、南アジアなどの新興国への生産・工場現場の移転、日本を上回るような、韓国、中国における技術革新の進展、など、及びAIT技術による世界的な情報格差の縮小、デジタル時代における新しい技術革新の中で、アナログ時代に頂点を迎えた日本発の先端技術が相対化され、技術優位性を失って行っている現状、などから、B徐々に先進国から新興国へ、あるいは更に貧しい途上国への、職場の移転、所得の移転が行われていること、すなわち、グローバル化は、世界規模の所得の平準化の流れであると、主張してきた。
 ただし、このような流れの中で、日本の国力が相対的に「弱化し、衰退」していくという悲観論にも同意しなければならなかった。

 今回の長谷川説を読んでも、小生としては、結局は、世界規模では、所得も、生活水準も向上し、寿命も延びるのであろうが、他方で、狭い視点ではあるが、先進国側にある日本国としては、徐々に他国に追いつかれ、追い抜かれていくような、一抹の寂しい未来像を想像するしかないのだ。心が狭いと言えば、その通りだが、60年代、70年代と、年々日本が台頭した時代に生きた団塊世代としては、もの悲しい思いが残るのだ。(とはいえ、一番遅れているのは日本国政府の国家戦略であろう。未だに、デフレ克服、成長路線への復帰、などという、余りあり得ないシナリオで経済刺激策などを論じていても仕方ないと言うことが、この長谷川論文で明らかなのだ。デフレは良いことと割り切るなら、小さな政府にするために、減税して、公務員数も減らすべきだし、社会福祉も抑制していくしかない。子供手当などももちろん不要だ。)

 もっとも、大規模戦争はもう無い、世界が平和になる(テロは例外?)、皆が物質的にも豊かになり、寿命も延びる、バラ色の世界だ!と言われると、仏教徒としては信じたい気分になる。競争したり、争ったりして、何時もぎすぎすと神経をとぎすませて、国際関係を警戒心いっぱいに観察し、国防力の強化を訴えてきた小生も、気楽に極楽予言を信じたい、という気分になる。元来は受け身的な仏教徒でしかないのだから(笑い)。

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