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zoom RSS ボリーソフ首相の「極妻」が、再度銀行業界に復帰

<<   作成日時 : 2011/10/27 19:13   >>

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  さて、注目された10月23日(日)のブルにおける合同選挙(大統領選+地方選)は、結局めでたく与党GERB党の勝利に終わったようで(詳しい選挙結果に関しては、地方選管の作業手順・手際が悪く、25日(火)中の開票終了、集計結果の中央選管への引き渡しが遅れに遅れて26日中に終わるかどうか、ということになっているようだ)、その意味では、ボイコ・ボリーソフ首相としては、ほっとしているであろう(もっとも、大統領選は、決選投票が30日(日)に残っているし、かなりの市長選でも決選投票が残っているのだが、さほど心配することはないはず)。

 ところで、10月25日(火)付Novinite.com紙報道では、このボ首相の内縁の妻ツヴェテリーナ・ボリスラーヴォヴァ(Tsvetelina Borislavova)女史が、ブル第19位の銀行の株式を取得して、昨年12月に一旦退いたブル銀行業界の場に返り咲いたことが報じられている( http://www.novinite.com/view_news.php?id=133283)。
 このボ女史によるブル銀行の買収劇に関する報道を、下記に要約してご紹介する。先般ご紹介した「極道の妻」とは、少し異なるタイプだが、インテリ系で上品な「極妻」と考えると、益々興味深いのだ。

1.ボ女史がEIBank株式をベルギー銀行に売却、一旦銀行業界から身を引いた
  ベルギーのKBC銀行グループは、当時EIBankと呼ばれて、ボ女史が支配していたこの銀行の株式75%を、07年9月に2.95億ユーロで買い取ることに合意し、右買収に関し、ブル中銀、KZK(反トラスト委員会)の双方から承認を得ていた。

KBC側は、EIBank会長のボ女史が保有していた株式の半分を買い取り、更には、Novator投資基金(アイスランドの大物Thor Bjorgolfssonが運営)所有の全株式を買い取った。

  ちなみに、このベルギー銀行グループは、07年年初には、DZI保険会社株式の7割を買付け、その後85%まで買収した。よって、このベルギー銀にとってはEIBankの株式取得は、対ブル投資の第2弾ということ。
当初、ボ女史は株式の22.3%を自らがキープして、KBCと共同経営の立場になったが、その後、KBC側は、EIBankの少数株主らから、株式を徐々に買収していた。
08年10月、EIBankはCIBankへと改名した。

  ちなみに、KBCが、ボ女史からCIBankの残りの株式を取得した2010年12月時点で、一時ボ女史は、ブルの銀行業界から、足を抜いた、と見られていた。その時、ボ女史は、彼女が持っていた16%の株式を売却して1.41百万Lvを受領した(一株当たり110.49Lvで売った)。

   
2.ボ女史が、ブルガリア・アメリカ・クレジット銀行(BACB)を買収、銀行業界に戻った
 最近Tsvetelina Borislavovaが社長の投資会社Clever Synergies Investment Fund (CSIF)が、ブル米クレジット銀行株式の56.3%を取得して、この銀行の経営権を手中に収めた。
  Boyko Borisov首相の内縁の妻として知られるボ女史は、760万株を価格30.43百万Lvで買付予約したのだ。その後、全額を支払い済み。

 実は、ブル中銀は今年6月中旬に、アイルランド大手銀行 Allied Irish Banksが保有していたBACB株式の49.9%分を、女史の私設投資会社(CSIF)に売却しても良い、旨許可を出していた。
 新株の公式入札は、同銀の7月5日開催された株主総会で決定されていた。
AIB側は、1ヶ月前に、この49.99%分の株式をCSIF側に売却することで合意が出来ていると発表していた。

 この取引により、ボ女史は、ブル銀行業界の大君として戻ってきたと言うことになる。
  なお、BACB銀は、ソフィアに本拠地を置き、中小企業への融資を専門とする。2010年年末時点で、同銀の総資産は3.76億ユーロ、株式簿価総額は0.97億ユーロである。

3.コメント
(1)業界11位の銀行を売って、19位の銀行を買収

 wiki資料( http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_banks_in_Bulgaria)によれば、09年12月時点で、二つの銀行のブル業界における順位、資産総額は次の通り:
 第11位:Economic and Investment Bank →その後CIBankと改称*
資産総額:19.2億Lv=12.1億ドル
    株主:KBC BANK N.V. − 100%
  (*注:元々ブル語でEconomic and Investment BankはStopansko -investitsionen bankで、略称がSIBankシーバンクだった。改称したCIBankがどういう英語とブル語かは、よく分からないものの<Commercial and Investmentかもしれない>、CIBankもやはりシーバンクとブル人なら発音してしまうかも知れない。)

 第19位:Bulgarian American Credit Bank
資産総額:8.15億Lv=5.16億ドル
    株主:Allied Irish Banks p.l.c. − 49.99%, Gramercy Emerging Markets Fund − 30.92%, public: Bulgarian American Enterprise Fund (BAEF), USA
  (注:上記の50%弱のAIB銀行の持ち株全部を、ボ女史所有の投資会社が買収して筆頭株主となったのだ。)

(2)新聞記者を使って対抗馬のTIM財閥を蹴散らした
なお、BACBに関しては、ドイツ人記者Jurgen Rothが、ブル中銀のIvan Iskrov総裁が、AIBに対して、株式の50%を一株1LvでCCB銀(注:TIM財閥所有銀行)に売るようにと圧力を行使した、と報道して、一時スキャンダルとなっていた。後に、Roth記者は、この批判を取り下げた。
  結局、この噂というか、記者の告発記事で、損をしたのがTIM財閥で、漁夫の利を得たのが、ボ女史+ボ首相であるというのも、ブルにおけるメディア業界の怪しさを象徴する事例、とも言えよう。

(3)やはりボ首相には、銀行という「裏の財布」が必要
  いずれにせよ、このボ女史の動きを見ると、彼女の背後には常に「本当の資本家」としてのボリーソフ首相の思惑を察するべきである。つまりは、EIBankについては、7月のこのブログ記事(http://79909040.at.webry.info/201107/article_2.html)でご紹介した、米大公電漏洩で暴露されたように、やはり「腐ったリンゴの一つ」という疑惑が付きまとっていて、米国の監視の目が気になるし、経理操作しにくくなったので、ベルギー資本に売却し、足を洗うと共に、他方で、アイルランドの金融危機でBACBから撤退したがっていたAIBが、安値で株式を売却すると見込んで、買収する、という取引を成立させたものと見られる。
  ボ首相にしてみれば、政治資金の流れを隠す、隠れ蓑として、商銀は今後も必要な道具であるし、何時までも妻のボ女史を遊ばせてはおけないのだ。

  ちなみに、ユーロ圏ではない(注:ブル貨幣のレフ=Lvは、固定相場で1ユーロ=約2Lvだが、一応自国貨幣で、ユーロそのものではない)ブルは、今回のギリシャ金融危機で、ギリシャ、ルーマニア両国の金持ち、企業などが、ギリシャの銀行から引き揚げた資金を、相対的に金利が高く、安全な在ブル銀行に預金したので、最近は、昨年比10億ユーロほどの資金が、ブルの商銀口座に入っているという。非ユーロ圏として、ブルは得をしている側面もあるのだ(他方で、外資の直接投資が激減しているのは、打撃だが)。

4.ブルガリアの大物女性の写真
 ちなみに、今回の記事に添付されていたボ女史の写真(左端)には、奇しくも、ブルが産んだ女性英雄の代表とも言えるファンドゥーコヴァ・ソフィア市長(Fandakova、真ん中)とブルの現職EU Commissioner(人道支援担当)で、現在ブルで政治家人気投票第1位のKristalina Georgieva (右)も映っているので、参考までに掲載する。
  ボ女史は、ブル人女性としては異例なほどのやせ形で、英国貴族風の上品さを感じさせる人物だ。ボ首相自身は、小生が記憶する05年当時と比べて、更に太ってしまったのだが。
    
       
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個性的な新大統領夫人
 1月22日に新大統領として就任式の各種行事をこなし(それに先立ち、19日には、国会で新大統領としての宣誓式典があった)、今はブラッセルのEU本部を往訪して、EU大統領、その他EU高官、NATO総司令部などを歴訪しているRosen Plevnelievの妻に関して、面白いニュースが飛び込んできた(http://www.novinite.com/view_news.php?id=136092)ので、ご紹介する。 ...続きを見る
ブルガリア研究室
2012/01/27 15:32
ブルガリアのトップ・テン
3月27日付Novinite.com紙掲載記事( http://www.novinite.com/view_news.php?id=137942)によると、米誌Forbesのブル語版は、最近創刊1周年を記念して、ブル人有力者の「トップ10名」番付を確定した由。   この名簿は、現在のブルガリアの政治、経済、社会を牛耳っている、主要な顔ぶれが誰か、ということを象徴しているようで、興味深いので、下記にご紹介する。 ...続きを見る
ブルガリア研究室
2012/03/28 20:09
ボリーソフ首相の次期総選挙対策
   ブルガリアでは、来年夏に総選挙が実施される。Boyko Borisov現首相は、自分が立ち上げたGERB党を率いて、2期目の政権維持を狙っているが、ブルの自由化後の歴史では、4年の任期を全うし得れば上等で、2期目の政権を目指す総選挙で再度勝利を収めた人物はいない。 ...続きを見る
ブルガリア研究室
2012/07/01 18:02
− タイトルなし −
 さて、小生は必ずしもゴシップ記事を好むわけではないが、やはり自由化後のブルを代表した、「混乱期のマフィア系実業家Iliya Pavlov(03年に暗殺された) 」、及びその「極道の妻」であったDarina Pavlova(ダリーナ・パヴロヴァ)の動向に関しては、どうしてもある程度の関心を抱かざるを得ない。更には、同じ「極妻」関連で、Tsvetelina Borislavova(ツヴェテリーナ・ボリスラーヴォヴァ、ボリーソフ首相の裏の財布を握る実質婚相手)に関しても、記事があれば、今後も関... ...続きを見る
ブルガリア研究室
2012/10/27 17:36

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 ブルの現首相の内縁の妻のお話は面白いですね。何故“内縁”状態なのか、同性としてはこちらの方がいささか気になりました(笑)。先の記事で紹介されたイタリア現首相の「友人」の「極妻」とは違うタイプのようで、写真を見た限り知的で品の良さを感じさせられます。今の時代では首相夫人となれば、昔と違い、箱入り奥様ではいられないようですね。

 それにしても、首都ソフィア市長も女性だったとは!ブル人女性は Kristalina Georgieva のような太めが多いのでしょうか?ソフィア市長はさほど太めには見えませんが。
mugi
2011/10/29 21:41
mugiさん、こんばんは、
 欧州では最近、どの国でも、正式の結婚をせず、パートナーとして、同棲、同居する場合が多いようです。正式結婚だと、離婚の手続き、訴訟などがややこしくて面倒、と言うこともあるでしょうし、事実婚がどこでも流行していて、そのことは不思議ではなくなっている。教会での結婚、ということに、余り思い入れが無くなった、伝統が弱くなり、むしろ現代風が「事実婚」ということでしょう。野党第1党のBSP党首のスタニーシェフ氏の「ガールフレンド」に、最近子供が誕生しましたが、子供が出来ても結婚はしないようです。また、小生がブルにいた頃の、事実婚の相手は、著名ジャーナリストでしたが、今の彼女は、違う相手です。確かに、「内縁」だと、相手を変えるのも、気楽と言うか。
 とはいえ、ボリーソフの「内縁の妻」ツヴェテリーナは、既に10年以上前から変わっていません。ツはたしか、父親が社会主義時代に駐ルーマニア大使という、外交官家族に育った、ある意味、良家の子女です。恐らく、英語なども堪能のはず。でも、彼女は、新時代における生き方として、内務官僚(警官)というか、内務省の中でも傍流の消防畑出身だけど、柔道道場で才能を発揮し、更には自由化後にすぐに警備業界(=暴力団)に進出し、その上、シメオン元国王にすり寄って内務省制服組トップ(内務官房長、最近は、この職務は、内務コミサールと呼ばれる)になり、更には政界に打って出て首相になった「大物の筋肉系男」を捕まえた。
室長
2011/10/29 23:47
(続)
 そして、ボリーソフは、この秀才の彼女に、自分が稼いだ資金、或いは、恐らくルックオイルなど、ロシア系資本から借りた資金で、銀行株式を買い占めて、この銀行(SIBank)の経営を任せてきた。その理由は、小生の推理では、恐らく「賄賂、その他の裏金、政治資金など」を、この自分の「極妻」の銀行で密かに管理させること、或いは、他の暴力団(マフィア)仲間の灰色資金をこの妻の銀行で資金洗浄してやって、手数料を稼ぐ、などの目的があると思う。
 何か、やばい事情があって、07年からベルギー資本に、すこしずつSIBank株式を売却したが、もう一度ボ女史に別の銀行を経営させ、これまでのように、商銀を自分の裏の財布として、利用しようと言うことだと思う。つまり、この夫婦は、しっかりと「お金」で繋がっているのです。名義は妻、でも本当の資本家は、もちろんボリーソフのはず。財布を管理する、インテリの「極妻」・・・日本でも、田中角栄の陰の女(裏金管理者)が居ましたよ。
室長
2011/10/29 23:59

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