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zoom RSS ブルガリアの金鉱山

<<   作成日時 : 2011/11/11 12:08   >>

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 さて、世界が金融危機に揺れている中で、ブルガリアにおける金鉱山の話などいかがだろう。10月12日付Novinite.com紙に掲載された記事(http://www.novinite.com/view_news.php?id=132895)は、バルカン半島における「黄金文明の歴史」と共に考えてみれば、東洋の黄金の国日本との対比という意味でも興味がある話かも知れない。

 ブルガリアでは近年、バルカン半島における「黄金文明」と称すべき考古学上の発見が多く存在しているのだ。まず第一は、紀元前4千年紀に遡る「Varna県の黄金文明」遺跡が発見されている。このヴァルナ県で発掘された黄金文明は、未だ印欧語族のトラキア人がブルガリアの地に到来する以前の、全く正体不明な原住民民族による文明であったが、一定数の相当に高度な金装飾品が発掘され、考古学者らを驚かせた。もちろん、その後の時代、トラキア時代に入ってからの遺跡からは、貴重な数多くの黄金装飾品が、それこそkg単位で、数多く発掘されていて、隣国ギリシャ文明との関わりもあり、高度な金細工技術を示し、日本でも「古代トラキア黄金文明展」などの形で、展示会が開催された。

 今回の話は、カナダの世界的な鉱山企業による、ブル南部カルジャリ県(トルコ系住民が特に多い県、「トラキア地方」)での金鉱山開発に関連する話である。

1.カナダ本社のDundee社の開発計画が難航
カナダのモントリオールに本社があるDundee Precious Metal社は、カルジャリ県南東部Krumovgrad郡のAda Tepe金鉱山で、露天掘りしようと1億ドルの投資を計画している。

しかし、環境省発表によると最近Nona Karadzhova環境相は、同社の環境評価書を不十分な内容であるとして、署名を拒否して、主任環境評議会に再評価すべきとして、差し戻した。
なお、今年2月、ブル内閣は、同社にこの金鉱山につき、30年間の開発許可を与えている。
  ちなみに、金鉱山は、K郡の次の村々にまたがって所在している:Guliya, Dazhdovnik, Zvanarka, Kaklitsa, Malko Kamnyane, Ovchari and Sarnak。

30年間の開発免許に対し、同社は1.14億Lv(ユーロ換算で約0.57億ユーロ)の投資と年間850t(小生注:85万tの誤りか??*)の金鉱石採掘を約束した。K郡は、開発免許権権利料金支払額の3割を受領予定。

  *注:wiki記述では:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E9%89%B1%E7%9F%B3#.E9.87.91.E9.89.B1.E5.BA.8A・・・・
   通常金鉱石は、1-5g/1000kg程度の純度がないと、採算が合わない。通例は3g/1000kg程度である。
   主要な産金国での年間産出量(単位=kg)は、次の通り:
1.南アフリカ共和国 341,485 (14.1 %)
2.オーストラリア 259,000 (10.7 %)
3.アメリカ合衆国 258,000 (10.6 %)
4.中華人民共和国 215,000 (8.8 %)
5.ペルー 173,219 (7.1 %)
6.ロシア 169,273 (7.0 %)
7.カナダ 128,504 (5.3 %)
8.ウズベキスタン 93,000 (3.8 %)
9.インドネシア 92,936 (3.8 %)
10.パプアニューギニア 73,000 (3.0 %)
(参考)日本 8,021 (0.3 %)、世界合計 2,440,000 kg


2.環境評価、金抽出技術に関する問題
9月に、主任環境評議会は、会社側から提出された環境影響評価書を審議して、開発OKと判断した。大臣はしかし、再考察が必要として差し戻した。差し戻しを大臣に要請したのは、K郡長のSebihan Mehmed氏である。

  実は、K郡での金抽出技術を巡っては、これまでにも何度も後退局面、法廷闘争が繰り返されてきた。
例えば、2010年にはカナダ社は、K郡金鉱山でのシアン化合物を使用する抽出技術(cyanide technology)での計画を断念させられている。何故なら、Dundee社子会社が、ブルの他の金山、すなわちソフィア県東部Chelopech郡(Zlatitsa郡の西隣)の金鉱山で、このシアン化物抽出技術を使用していたところ、地元住民、環境保護活動家らによる提訴で、ブルの法廷がこの技術の使用を禁止したのだ。

  この故に、Dundee社は、K郡で採掘した金鉱石をブル国外で処理しようと計画している。2010年年初、同社は、ナミビア国に所在する精錬所を買収したのだ。
  つまり、今回の新計画書では、同社は、K郡で採掘した金鉱石を現地でシアン化物を使って処理して、金を抽出する、という部分の施設建設を含んでいない。よって、K町Ada Tepe鉱床付近での鉱石選鉱施設という小さな敷地のみで事足りることとなる。

  Dundee (Dundee Precious Metals Inc.)社幹部による2010年の公表資料では、本件K郡金鉱山開発計画では、1億ドルの投資(その以前の計画では1.2--1.5億ドル、これにはcyanide施設が含まれていたから、金額が減る結果となった)となっている。
  K郡鉱山からは、年間80万〜100万tの金鉱石を産出する予定である。

    小生注:上記のwiki情報から計算すると、K郡金鉱石80--100万tからは、ナミビアの精錬所で、2〜3t/年の純金が抽出できると見られる。ちなみに、日本の場合は、現在年産8tだという。
  なお、ブルガリアでは、金鉱山などの開発というと、地元、中央政治家、色々なマフィア企業家、などが金の臭いをかぎつけて、集まってくるから、上記のように開発が遅れる、と言う事情もあるように思う。せっかくの金高の市況なのだから、早く開発しないと利益は失われるであろうに。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 ブルは金産出国というイメージはありませんが、古代はトラキア黄金文明が栄えていた処でしたね。現代のブル人は古代トラキア人の末裔とは思えませんし、血を引いているとしてもかなり薄そうです。ブルの歴史教科書で古代トラキアをどう教えているのかは不明ですが、黄金文明の存在を証明する考古学上の発見は、歴史のロマンをかき立てられますね。

 開発できる金鉱山があるのは羨ましいと、一般日本人なら思いますが、開発ひとつとっても地元、中央政治家、色々なマフィア企業家などが集まってくるのがブルですか。手をつけようとしているのがカナダの会社というのも興味深いというか…これも途上国特有の現象に見えます。
mugi
2011/11/11 21:40
mugiさん、こんばんは、
 確かに、金は、昔からブルガリアの土地で、それなりに産出され、「トラキアの黄金文明」が有名になったのですが、その後、トラキア人以前の不明な先住民族の時代に、ヴァルナの黄金文化があったと言うことも判明して、驚きの発見となった。人口比から見れば、今の日本で細々と年間8t、ところがブルでは、このK郡の金山からだけで年間2--3t出ると言うことは、結構大きい産出量とも言える。ほかにも、ロドーピ地方の鉛・亜鉛鉱山の副産物として、相当大量の銀、少量の金も出るし、記事に書いたようにソフィア県チェローピッチ鉱山からも出る訳ですから、銀+金を併せると結構豊かな国です。
 日本では、江戸時代が金+銀の産出量が世界有数だったし、これらの資金で明治維新の文明開化も、自前の金で、堂々と西欧から輸入して、産業革命を成し遂げました。ブルの場合は、年間7百万人ほどの外国人観光客・・・観光というもうひとつの宝もある。輸出可能な小麦生産もあるし、今年は、経常収支が黒字らしい。
 しかし、金鉱山・・・やはりブルのように未だ貧しく、「金の亡者」が多い国では、皆がたかって、利益の分け前を得ようとするから、揉めるのです。
室長
2011/11/11 22:46

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