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zoom RSS Lukoil Bulgaria社の大型投資

<<   作成日時 : 2012/01/28 12:15   >>

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1月25日(水)付のNovinite.com紙掲載記事( http://www.novinite.com/view_news.php?id=136072)は、Lukoil Bulgaria社とブル政府の間の昨年夏以来の「対決」に終止符が打たれ、Burgas市所在の同社精油所に、新たに15億ドル規模の新装置建設投資がなされる、との記事である。

  この記事によって、昨年夏のブル政府、或いはボリーソフ首相とLukoil Bulgaria社との間の軋轢、対決、などは、全てがボ首相の描いたシナリオによる、10月のW選挙に向けたボリーソフ首相、GERB党という政権側のイメージ向上のための、メディア向けの「大規模広報作戦」であったことが、証明された。昨年9月のブル・メディア業界の内幕に関する記事( http://79909040.at.webry.info/201109/article_3.html )でも指摘したとおり、ブルのメディアは、根本的にはボ首相が牛耳っているようなもので、イメージ作戦はお手の物なのだ。
  本件記事を下記の通り、ご紹介する。

1.ハイドロ・クラッキング装置に巨額投資
Lukoil Bulgaria社のBurgas市にある精油所(Lukoil Neftochim Refinery)は、精油所の精油後に残る廃油を処理して、更に石油製品(ガソリン、軽油など)を抽出する装置である水素化分解法設備(hydrocracking catalyst installation)を建設するために、15億ドルという巨額の投資を決めた。この15億ドルという投資額は、ロシアのLukoil本社による今後10カ年のグローバル投資計画の10%(1割)を占める規模だ。

Lukoil Bulgaria社と伊のTechnip社は1月25日(水)、水素化分解法設備建設費9.5億ユーロの契約にBurgas市で署名した。右署名式には、本社第一副社長のVladimir Nekrasov、Lukoil Bulgaria社CEOのValentin Zlatev、ブル副首相兼蔵相のSimeon Dzankov、ブル経済相(正式には「経済・エネルギー・観光」大臣)のTraicho Traikov、及びBurgas市長のDimitqr Nikolovが参列した。

今回の水素化分解法設備は、同種の設備としては世界で10番目の規模で、東欧では最大規模である。同種のクラッキング分解装置は、世界的には、米、メキシコ、加、ポーランド、日本、クウェイトなどに存在する。
  工期は、37ヶ月間、建設工事のため3千人を雇用することとなる(すなわち、ブル人3千人分の雇用が確保される)。
  装置が完成すれば、現在の古い技術に基づく廃油処理装置が不要となるほか、二酸化炭素などの温暖化ガス排出量が大幅に低減される。

2.ブル政府要人とLukoil社側が、「仲直りの発言」
ジャンコフ蔵相は署名式で次のように発言した:「我が政府の主要な仕事は、良き投資家達を誘致することで、特にこのようなハイテク投資は歓迎すべき事である」。
Traikov経済相は、「ブルにとっては画期的な大規模投資だ」、と高く評価した。

他方で、Neskrov副社長は、同社がブルにおいて「良好なビジネス環境」を得ていることに対し、謝意を表明した。

3.契約署名式直前の問題解決
ちなみに二人の大臣は、最近「Lukoil対ブル税関対決物語」には、決着が付いていたので、今回このように出席して、祝うことが出来た。

すなわち、昨年7月22日に撤回されていたNeftochim精油所、及びRosenets石油ターミナルの両所におけるLukoil Bulgaria社の保税倉庫業者免許が、この1月16日、税関により、「Lukoil Bulgaria社は、その備蓄タンクの電子計測器として、ブルの法令で要求する性能のものを、きちんと整備した(注:ブル側は、法律に基づき、11年6月26日が新型電子計測装置(1基当たり5千万円ほどと高価な装置ではある)の設置期限と通告していたが、L社側が期限を守れなかったので、免許を一時剥奪していた。ただし、法廷闘争の末、L社側は、精油所の操業そのものは裁判所により継続が許可されていて(免許剥奪命令への裁判所による一時停止措置)、この独占企業からブル市場への石油製品の供給が途絶える、という非常事態は回避されていた)ので、保税倉庫免許を再付与する」、旨の命令書を交付されて、問題が解決していたのだ。

4.結局、「対決」はフィクションだった!
多くの識者は、11年夏の「ボ首相対Lukoil社対決」の物語そのものが、単に、ボ首相の人気を高めるための、「演出」に過ぎなかったと今では疑っている。 
なにしろ、Burgas精油所は、ブルGDPの1割を生産するし、国内最大の納税社でもあるのだ。

ちなみに、前回の本件関連記事( http://79909040.at.webry.info/201107/article_7.html)でも触れたように、ボリーソフ首相と、Lukoil Bulgaria社CEOのZlatev氏は、30年来のつきあい、という「友人関係」を持つほか、歴代のブル政権の「後部座席の人」と呼ばれた、政治献金の大物でもあり、今夏の「対決」に関しても、野党BSP党首のStanishev氏がすぐに、「単なる政治ショー」と見抜き、揶揄していた。
  要するに、ボ首相が、10月のW選挙(大統領選+地方選)におけるGERB党の人気取りのために仕掛けた「お芝居」に過ぎなかったことが、今回の巨額投資表明、署名式での「仲直りショー」で、改めて確認されたと言える。

5.Zlatevという大物
  ちなみに、Lukoil Bulgaria社CEOのズラーテフという人物に関して、小生が自ら貯め込んだデータファイルによると、同人には、次のような注目点が指摘しうる。
(1)プラーヴェッツ出身
 同人はソフィア市東方のソフィア県Pravets町出身(1965年12月8日生まれ)で、高校はソフィア市第1英語学校卒、大学はモスクワ国際関係大学国際法学科卒というエリート家系出身者としての典型的なコースを歩んだ人物。もちろん、Pravets町こそは、社会主義時代の独裁者Todor Zhivkov生誕の地で、その意味で、ズも何らかの形でジフコフ家の庇護を受けてきた、そう言う家系の人間なのだ。

(2)ロシアとの関係
  モスクワ市にある東欧のエリート層が留学していた「国際関係大学」に留学して、多くのロシア人エリートとの人脈を持ったと思われるが、ズは自由化後に、Rosneft、LUKoil両社で働いた後に、Lukoil Bulgaria社CEOに就任している。すなわち、ロシアの石油企業の手先として、ブルに帰国したのだ。

(3)米国との関係
  02年10月のブル紙記事によると、ズは、米国シアトル市のCity UniversityのPravets支部校開設に投資しており、記者からの質問に次のように答えている:
 (記者からの問い):貴殿は、City UniversityのPravets支部校の最大投資家であるが、何故か?
  (ズ回答):「ブ」人として教育振興に貢献したいからだ。友人のBill Gatesもシティー大学卒だからでもある。ジフコフが残した貴重なインフラ(小生注:電子時計組立工場という近代的建物が残っていた)もあり、使わないのはもったいない。10月4日にプラーヴェツ校が開校する。「ブ」政府要員の教育コースもプ校に3月1日から開講予定だ。「ゲイツ基金」は右コース支援について政府と交渉している。投資は自分の金と、パートナー、会社などの資金だ。

 なお、03年6月のブル紙記事によると、上記のCity UniversityのPravets支部校開設への支援に対し、SeatleのCity University本校がズに対して「名誉博士号」を授与している。
すなわち、ズは、ロシア企業のCEOとして、潤沢な裏金の管理を任されており、その大部分で、ブルの政権を裏から支えると共に、故郷のPravetsにも貢献したのだ。更には、これらの記事から、City Universityのブル進出を支援することで、ズ自身がBill Gatesマイクロソフト社会長と「友人」という関係を樹立したことも明らか。

 なにしろ、自由化後のブルは、真っ先に米国政府に「すり寄って」、社会主義時代の「ソ連の忠実な僕」というイメージを払拭したくらいだから、ブル政界に関与するズとしても、米国とのパイプは必要と判断したのであろう。要するに、ブル政権の「後部座席」には、ズラーテフ以上に、まず駐ブル米国大使が座っているのであり、ズは、金銭面では大きな支援をしているとはいえ、自分自身は後部座席の「第2番目の席」を占めるに過ぎないのだ。

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