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zoom RSS 旧共産圏における均一税の採用

<<   作成日時 : 2012/03/17 15:59   >>

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ソ連型社会主義国として、極めて人工的で不合理な体制を経験してきた、旧ソ連圏、或いは旧東欧圏などの諸国では、自由化革命後の一時期に、政体・経済体制の急変により、極端な制度不調(何らの行政機構もうまく機能しないこと)も経験し、ハイパーインフレとか、政府機能不全による徴税率の低下などで、社会混乱、経済混乱も経験した。

  そうした諸国(特に旧東欧、旧ソ連)においては、税収確保、外資投資の促進のために、税率を単純化して均一としたり、消費税(付加価値税=VATと呼ばれる)を導入したりしたが、一部には、先進欧州諸国の例などをも参考としつつ、思い切って単純な税率を採用した場合がある。特にブルガリアがその面での一種の先進国であり、計算しやすいこと、を最大目標に、消費税は20%、法人・個人の所得税は10%にと、極めて単純化している。

  消費税率20%(例外無しで、薬品であれ、食品であれ、学用品であれ、一律に20%)は、ブルの場合恐らく1996年の超インフレ後に成立した保守系SDS党のIvan Kostov政権時(1997年4月〜2001年6月)に導入され、歳入確保に貢献してきた。もっとも、インフレ回避には、まずIMFと話し合い、外国人顧問などが委員として監視するValuten bord(通貨審査委員会制度。1Lv=1DM(旧ドイツ・マルク)という固定レートの設定。更に新券を発行する際には、外貨準備金を国立銀行特定口座に積み上げ、その金額を委員達が確認してからしか、通貨の新規発行を認めないという、極めて厳格な規制を課すことで、財政規律、貨幣発行規律を厳格化した制度)を確立したことが一番市場のブル貨幣への信用を高め、経済を正常化することに貢献した。

  また、社会主義時代には、個人所得税が、給与が全般的に極めて低いせいで、マイナーな役割しか担っていなかったため、また、給与からの天引き制度だったせいで、市民の間に納税意識が低く、このことが自由化後に輩出した一部富裕層による税回避(マフィア資本家らが、欧米のタックス・ヘイブンに所在する銀行口座に送金して、収入を隠匿する)を助長していた。この故に、歳入庁(税金と、社会保障関連納付金の双方を共に所管する官庁。国税庁+社会保険庁と考えれば分かりやすい)としては、法人税も、個人所得税も、一律に10%という、欧州でも最も低いレベルでの税率を採用することで、納税意欲を刺激し、更には、外資のブル国への投資意欲も刺激する、という方針で、08年から、この均一税方式が採用された。

  この税率は、月収3万円程度の低賃金層が多いブル国としては、底辺層から大金持ち層に至るまでの巨大な所得格差にもかかわらず、均一税率の10%ということで、既に個人所得税につき長い歴史を持つ先進国では理解を得られにくい制度であるが、旧ソ連圏のように、自由化後の極端な経済混乱期を経た諸国では、徴税制度の確立とか、納税意識の確立そのものに、困難を抱えてきたので、むしろ分かりやすく単純で、適用が容易な措置でもあるといえる。個人申告制度が、自由化後に急に採用されたのだから、分かりやすく単純な税率が、むしろ適しているとも言えるし、金持ち層に税回避の意欲を減退させる意味でも、また、外国資本家の投資意欲を刺激する意味でも、低くて、単純な均一税率は、「売り」と言えるのだ。ともかくも、均一税が採用された08年は、左派のBSP党(旧共産党)が政権を主導した時代(05年7月〜09年6月)であったことは、米国などで均一税を主張するのが、金持ち達であることと対比して、興味深い事とも言える。

   そう言うブルガリアの単純明快な税率、均一税方式を最近経済誌Forbesの会長が絶賛した、という記事が3月14日付のNovinite.com紙に掲載された(http://www.novinite.com/view_news.php?id=137546)ので、要旨を以下にご紹介する。(ちなみに、Steve Forbes氏は、1996年に、この均一税を看板に掲げて米大統領選・共和党予備選に参入したが、世論の支持確保に失敗したという履歴があるらしい。)

   ちなみに、日本のように民主制度の歴史の長い国では、税制の歴史も長く、簡単に均一税方式に移行する、と言う決断はあり得ないであろうが、ブルのように、歳入と歳出を限りなく均衡に近づけて、赤字を出さない、という緊縮財政方針には見習うべきところが大である。採択する予算で前もってはっきりと、赤字を排除すると同時に、四半期毎に、予算の執行状況を厳しく観察しつつ、赤字が出ないようにすることだ。日本のように国債収入で歳出の半分を賄うなどは、異常すぎて言葉もないし、この異常事態にいっこうに歯止めをかけ得ないというのでは、日本国には正常な神経の政治指導部が存在しない、としか言えまい。嘆かわしいことだ。

★単純明快な均一税・税制の効用:ギリシャは、ブルガリア、アルバニアの例に倣うべきだ
 フォーブス誌会長のSteve Forbes氏(64歳)が、マレーシアのクアラルンプールにおけるグループ企業CEO会議(2011年9月12日)で、次のように述べた由。

ギリシャは、ブル、アルバニアが採用した均一税(flat tax)制度を採用すべきだ。どこの国でも、市民は税金納付は嫌いだ。しかし、数年前*ブルとアルバニアの両国は、10%という均一税率を採用した。これは徴収時に極めて単純で、容易で、合理的だ。両国の経済は、それ以来成長軌道に乗ったのだ。だから、ギリシャも同種の明快な税制を採用すべきなのだ。
  
   (*注:ブルでは、2008年に適用、法人税、個人所得税、共に10%と均一化した。BSP政権成立の05年に最高税率が24%だった所得税を、その後毎年低減していき、08年に10%均一税率を達成した。他方flat税率には、16%、25%など、10%ではない例も数多い。ブルとアルバニアの場合は、一番単純な10%を採用した。収入額の多寡にかかわらず、同率の税金が課されるので、弱者にも厳しい側面はあるが、それ故に逆に政府支出増大には歯止めがかかる、という利点もある。
   Flat taxに関しては、http://en.wikipedia.org/wiki/Flat_taxを参照。
   なお、ブルが均一税を採用した08年秋にリーマンショックが起こり、その影響で09年以降のブル経済の成長率は、必ずしも順調に伸びているとは言えないが、1997年以来一貫してきた、極めて厳格な財政規律(歳入と歳出を限りなく同額に近づけ、赤字を出さないこと)故に、かつ、遅れた経済水準故に、ユーロ圏への加盟がなかなか実現しなかったおかげで、ユーロとの固定相場ながら、自国通貨を有してきたブルでは、レフ貨の動揺もなく、ギリシャのような経済混乱は免れている。)

ギリシャでは、何らの成長に有利な措置も採用されていないし、財政緊縮策も採っていない、これが問題なのだ。
EUは、ギリシャに対する民間融資者の債権を強制カットする一方で、何らの成長促進施策も導入しておらず、結局永続的な回復軌道を構築し得ていない。
対ギリシャ救済基金が、EU経済をある程度延命するとしても、永続的改革措置がないので、ギリシャ危機は再燃するだろうし、ポルトガル、スペイン、伊などでの危機も再燃するだろう。

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