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zoom RSS ブルガリアの原発事情

<<   作成日時 : 2012/04/23 14:48   >>

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  4月20日付Novinite.com紙(http://www.novinite.com/view_news.php?id=138682)掲載記事は、コズロドゥイ(Kozloduy)原発で現在稼働中のブルガリアの原子炉2基を延命のために改修工事する、というニュースを報じている。

  また、最近の同紙では、度々ベーレネ(Belene)原発建設断念決定への世論の反発、地元自治体、或いは住民らによる、建設中止反対集会について報じている。(つまり、ブルガリアでは、野党の社会党の他、地元自治体、各種NGOが、原発建設中止に反対しているのだ。地域経済振興、雇用、と言う側面から、市民の間にも、原発賛成論が強いのだ。)

  前回、或いはその前にも、日本としてブルガリアのような小国からも、税制面では学ぶべき所があると指摘したが、今回は、原発政策についても、再び日本はブルガリアに学ぶべきところがある、という話をしたい。

1.コズロドゥイ原発5号炉、6号炉の延命工事
  コ原発の第5号炉、6号炉(共にロシア製の100万kw型軽水炉)の寿命を20年延長する改修工事につき、まず検査、評価する作業を行うことが決まったという。
  コ原発CEOのAleksandqr Nikolov氏は、このほど、露のRosenergoatom社と仏EDF社の間のコンソーシアム(正式名はConsortium OAD Concern Rosenegoatom(Russia) --EDF(France)である由)に対し、現在稼働中の5号炉、6号炉の検査、評価につき委嘱する契約を締結したと、ボリーソフ首相、ジャンコフ蔵相に報告した。

  そもそも昨年、政府が、寿命延長改修工事の入札手続きを開始して、稼働しているブルの原子炉としてはたった2基のこの二つの原子炉を2035年まで使用期限を延ばそうと計画したことが発端である。

    (注:Kozuloduy町は、Vratsa県北西部ドナウ川沿岸の町。Belene町は、Pleven県北東部の、同じくドナウ川沿岸にある町。ブル最北部で、ドナウ川沿岸、ということは、北側の隣国ルーマニアにとっては、迷惑な原発立地で、ルーマニア市民からの反対、反発は従来からあるようだが、幸いこれまで一度も大きな事故が記録されていないので、強い危機感は持たれていない模様。)

2.コ原発1--4号炉操業停止の経緯
   コ原発の第6号炉は1991年に完工した。当時のコ原発の発電能力は、合計376万kwだったが、現在は200万kwに低下した。理由は、ブルのEU加盟認可のための条件として、既存のコ原発の1--4号炉(全て、44万kw型軽水炉、合計出力は176万kw)については、その稼働を停止する事が要求されたからだ。
     (注:1--2号炉に関しては、老朽化もあり、ブル政府も廃棄に前向きだったが、3--4号炉については、近代化・安全化改修工事も行われていて、仏人原子力専門家らも、安全だとお墨付きを与えていたので、ブル市民の間で早期の操業停止には反対意見が大きかった。しかし、隣国ギリシャが安全性を問題視して、EU本部に、ギがブルの加盟に賛成するには、このコ原発1--4号炉の完全停止が絶対条件として、強くごり押しした模様。)

3.5号炉、6号炉の寿命
   5号炉は2017年、6号炉は2019年に寿命が来る予定だが、しかし、これら2基の寿命は、適切な改修工事を施せば、更に20年の寿命延長が可能なのだ。
   (注:6号炉は1991年稼働で、2019年が寿命というと、当初設計で28年しか寿命がない、ということになり、初めからかなり短命な、ダメな原子炉に見えるが??確か、日本の原発は、普通当初寿命を40年として建設し、同じように20年の延命工事が可能であったはずだ。今のように、設計時の寿命を無視して全てを停止する、というのは、やり過ぎであろう。)

4.ベーレネ原発用原子炉もコ原発で使用する意向
  先の3月に、ボ政権はベーレネ原発建設を断念する旨決定したので、このコ原発における延命改修工事は、国内電力需給事情に鑑みても、喫緊の課題である。

  なお、ベ原発用として、既にロシアでほぼ完成している1000MW(100万kw)型軽水炉を、このコズロドゥイ原発の第7号炉に転用する、という構想が進行中である。

     (注:ブルのBSP前政権は、ロシアとベ原発建設契約を締結していたし、この契約に沿って、Rosatom社は、既に1基目の原子炉(100万kw型軽水炉)をほぼ工場で完成済みだったらしい。従って、ブルとしては、この原子炉を受領しようが、しまいが、代金を支払わねばならないし、既に前払い分として、契約に基づきかなり多額な金額も支払い済みだから、2基目は、ロシア側で製造ストップしてもらうとしても、1基については、受け取るしかないようだ。
   ベ原発建設には、徐々に建設経費が膨張して、100億ユーロ(1兆円)という巨額が結局は必要と判明したのが、ボ首相が建設断念を決意した理由と説明している。
   むしろ既存原発のコ原発敷地を利用して、ここに第7号炉、或いは場合によっては第8号炉も建設してしまう方が、建設コストが相当安くなるらしい。

   ちなみに、ブルガリアでは、社会主義時代に、国内電力需要の3--4割を原子力で賄い、その上、しばしば、隣国のトルコ、ギリシャ、ユーゴなどにも電力輸出して外貨稼ぎしていた経験があり、他方では、幸いにも、大きな事故などは一度も起きなかったため、国民の間には「安全」面での懸念よりは、高給与、高賃金を稼ぎ出せる、燃料コストが極めて低く儲かる上に、現地への雇用拡大、経済貢献度の高い、良い施設との意識がある。
   また、安全性基準の相違の故か、ブルの原発は、社会主義時代には、年間操業率が95%を超えるほど、ほぼフル稼働の連続で、滅多に原子炉を停止し、点検することはなかった。日本の操業率が60%強程度だったから、小生は何時も不思議に思っていた。)

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原発関連国民投票の結果
 27日(日)に、ブルガリア全土で実施された国民投票(レフェレンダム)は、結局政権党であるGERB党側の種々の戦術、攪乱などが奏功し、何ら有効な束縛を政権側に与える結果とはならなかった。  その概要を下記に、ご紹介する。  なお、ブルガリアの原発事情に関しては、次の記事も参照願いたい:http://79909040.at.webry.info/201204/article_6.html ...続きを見る
ブルガリア研究室
2013/01/28 16:00

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 ブルの原発事情は興味深いですね。ブルでも原発は地域経済振興、雇用などの面からも、市民には原発賛成論が強いのですか。

 ただ、ブルは日本と異なり地震や津波はありませんよね?ここが日本との決定的な違いだし、津波がなければ福島原発もあれほどの損害はなかったと思います。
 最近の日本のメディアでの反原発運動の取り上げ方には心底ウンザリしています。今更ローソク暮らしには戻れないし、活動家は胡散臭そうな者が多い様な…
mugi
2012/04/29 21:24
こんにちは、
 ブルでは、原発反対論は、基本的にありません。社会主義時代に、6基もの原子炉をコ原発で稼働させ、しかも、ソ連式の「安全基準」で、フル稼働させていたので、年間稼働率が95%強という、羨ましい効率を誇りました。市民も原発のおかげで安い電気代だと、そういう視点が多い。

 小生の乏しい知識では、日本の「安全基準」では、必要以上に毎年、「一時停止+点検」という方式のため、原子炉毎の稼働率は60%強がいいところで、これは世界平均が80%を超えていたので、数字のみ見れば、日本の原子力技術力は、低い、と見なされて仕方のない水準でした。韓国なども、90%ほどの稼働率という「技術力」を誇って外国に原発輸出攻勢をかけていました。

  他方、国内の反対論を押さえ込むため、毎年原子炉を操業停止して、念入りに点検していたはずが、実は、技術屋的視点では、国際常識から見ても、効率無視の無駄な点検ということで、現場では「無駄な作業」として、やる気を無くし、形式的な点検に陥る、と言う欠点ともなっていたようです。本当に重要な、補助電源の確実な確保とか、今回の福島事故後にようやく分かったような、他の側面での、肝心の技術的弱点を見抜く努力も欠けていました。

 なお、ブルの原発は、ドナウ川中流で、津波の危険性はないでしょうが、バルカン半島には、ある程度の規模の地震はあり、耐震設計面では、ソ連型は、日本に比べ不十分らしく、我々から見ると、危険性は残る。もっとも、軽水炉の外部格納容器がやたらに頑丈で、分厚い、と言う見方もあります。
室長
2012/04/30 08:46
原発国民投票の取材をしている大芝健太郎ともうします。
こちらの記事。とても参考になります。ありがとうございました。

明日からブルガリアに参ります。
いろいろ分からないことだらけですが、
少し相談させて頂けたら嬉しく思います。

連絡先。

★★★★★
大芝健太郎(しばけん)Kentaro Oshiba
Blog: http://shibaken612.blogspot.com
Twitter: https://twitter.com/shibaken612
Mail: ariqu2001@yahoo.co.jp
しばけん
2013/01/13 21:49

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