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zoom RSS ブルガリアでは、今ではユダヤ人も生活苦に喘いでいる!

<<   作成日時 : 2012/05/27 18:31   >>

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日本では、ユダヤ人について、非常に極端なイメージがあるらしい。皆が、エリートの天才的頭脳の持ち主で、会社のオーナーで、或いは、富裕な自由業者、例えば俳優とか歌手とか、映画製作者だったり、新聞記者、医師、弁護士、などなど。つまり、経済危機に翻弄され、その日の生活にも困るような人々は、想像すら出来ないらしい。
  しかし、現実には、ユダヤ人とはいえ、大部分のユダヤ人社会の成員達は、普通の凡才で、普通の市民なのだ。

  そして、在ブルガリアのユダヤ人社会は、今回のギリシャ金融危機に発する欧州経済不況のまっただ中で、これまで確かな収入を得ていたIT技術者ですら、首を切られて突如失業者となり、毎月の住宅ローンの返済資金に行き詰まり、銀行によって、家から追い立てられている。そう言う苦境に陥り、「新貧困層」へと転落したと言う。

  本件記事は、そう言った在ブルガリアユダヤ人コミュニティーの困窮に喘ぐ人々に支援金を送ろう、寄付金を出しましょう、という感じの、米国セント・ルイス市にある、ユダヤ人コミュニティー紙の記事の転載である。 (http://www.novinite.com/view_news.php?id=139674、筆者:Dianna Cahn、元のセント・ルイス市新聞名:St. Louis Jewish Light)。

  ともかく、小生としては、社会主義時代に5000名ほどと言われていた、在ブル・ユダヤ人社会は、自由化後に、相当数がイスラエル、或いは米国へ移民したので、今では更に人数が減ったと思っていたのだが、この記事によれば、約7千名が未だにブル在住と知って驚いた。しかも今では首都ソフィアに、ユダヤ人学校すら運営されているらしいのも驚きだ。
この記事は、ある意味寄付を勧誘する意図もあるから、生活苦を強調しすぎで、本当は在ブル・ユダヤ人の皆がこれほど困っているのではないのかも知れないが、それにしても、我々が考える富裕なユダヤ人、と言うイメージを覆してくれることは確実だ。

1.30--50代の働き盛りの中流階級の人々が失業し、生活苦に喘いでいる
Julia Dandalovaは、全米合同配布委員会(the American Joint Distribution Committee)ブルガリア支部長として、ブル国内のユダヤ人社会における弱者たる老年の年金生活者、貧困家庭の子供達への社会福祉事業をしている。しかし、最近は、彼女に対して、同年代(30代)の、本来なら給与が高い職業に就き、立派な家も乗用車も持っている人々から、支援して欲しいとの電話が入るのだ。とても彼女が、生活困窮者などとは想像も出来なかった人々なのだ。
 彼らの話では、住宅ローンの支払いが出来なくなり、銀行が家とか乗用車を没収すると脅してきているという。要するに、恵まれた、全てを所有しているはずの人々が、貧困目前の困難に直面しているのだ。
「これらの人々は、コミュニティーに支援を仰ぐことなどには、不慣れな人々で、実は彼らが我々の所に駆け込んできた頃には、既に支援のしようもない、手遅れの段階に到っているのです」。

3年前には、ソフィア市の中流の上クラスのユダヤ人達は、繁栄のさなかにいた。彼らは大部分が30歳〜40歳代で、自らの収入で暮らしており、更には、子供、年老いた両親なども養っていた。
しかし、世界経済危機が到来したとき、生活の底が壊れてしまったのは、単に貧困家庭ばかりではなかったのだ。多くの西欧の同世代同様に、自分たちの収入以上の生活を、モーゲージ・ローンとか、銀行負債に依存しつつしていた人々の場合も、底割れに苦しむこととなったのだ。ガソリン代、食料費は急騰し、逆に自らは失業してしまったのだ。不動産価格は崩壊した。仕事も失い、生活基盤が成り立たなくなった。

2.「新貧困層」の場合、新たな現実を直視できない傾向
これらのユダヤ社会の「新貧困層」の不遇さは、驚くべきほどだ。これらの一番支援を必要とする人々は、まさに、このことを自ら認め、自覚することが一番難しい人々であった。支援を求めるより、彼らは貯金の全てを使い尽くして、体面を維持したのだ。 中流階級の人々は、「いや、我々よりももっと貧しい人々もいる。彼らの方が我々より、せっぱ詰まっているはずだ。我々は、まだ何とか闘える」という風に考える。
 ところが実際には、「彼らは既に行き詰まっているし、息絶え絶えで、自助は難しいところに追い込まれている」のです。「ブルガリアにおける危機は、ギリシャとほぼ同じほど厳しいのだけど、他方で、世界からはほとんど何らの注目も浴びてはいない。国民平均所得は、毎月?*以下だ。金も権力も、少数の、コネが良く聞くビジネスマン達に握られている。組織犯罪が強力な上に、汚職が蔓延している」と、ブル・ユダヤ組織Shalomの会長であるMaxim Benvenistiは言う。
(注:?の部分は、単に0と言う数字となっている。きちんと調べていない様子。)

3.失業率の急増、小さすぎて支援活動資金を捻出できない在ブル・ユダヤ人社会
09年以来、ブルの失業率は、6.8%〜10%強(2010--2011年)へと急浮上したと合同配布委員会(JDC)は言う。今年も失業率は、あまり下がらないようだ。
この経済危機は、ブルにおいてほんの7千人ほどしかいない、ユダヤ人少数社会の弱点を暴露している。50年間にわたる共産主義時代を堪え忍び、1990年以来、イスラエル、或いは全世界のユダヤ人社会からの支援で、在ブル・ユダヤ人社会は、再浮上したばかりなのだ。
 確かに、在ブル・ユダヤ人組織は活気づいているし、会員数も増えてはいるが、実は在ブルのユダヤ人オーナー達、或いはブル在住ユダヤ人のほとんど誰も、政治的なコネなどを有していないのだ。

4.サラリーマンが大部分の在ブル・ユダヤ人社会
ユダヤ人社会の大部分の会員達は、被雇用者であって、雇用者ではないのだ。「だからユダヤ人社会はこれほど貧しいのだ」と、Alexander Oscar氏(Shalomのソフィア支部長)は言う。
 故に、この団体では、ソフィア市内のユダヤ人学校(全日制)で、起業家コースを開設した。「このユダヤ人社会においては、ユダヤ人の生活と教育の復興が、より独立したい、起業家でありたい、自己責任を取りたい、という若い世代と共に手を取り合って、推進されているのです」と言う。

 Oscar氏は、(海外)コミュニティーからの支援を得て、「誰も飢餓に苦しむことにはならないだろう」と付言した。「冬には、誰もが暖房と、必需品の支援も受けられるだろう。だが、我々が理解するところでは、40代〜50代の若手家族は、単に生き残ることのみではなく、意味のある生活を送りたい、と考えているのです」。
 ユダヤ人社会の指導者らは、今では、コミュニティーの財政状態の改善と言うよりは、その生存そのものが崖っぷちと言うことも理解している。Benvenisti氏は次のように述べた:「彼らがコミュニティーから支援を得られなければ、自分の意見では、彼らはこの国から出て行くだろう。そして、それは、やがてこの国には、ユダヤ人社会が消滅することを意味する」。

5.Levy家の困窮度
 個別ケースで見よう。Yanna Levyと彼女の夫(計理士)は、ここ数年3人の子供と、盲目の母親を世話しつつ奮闘してきた。5人家族だが、アパートの中には、ベッドが3個、タンスが1個しかない。キッチン棚の扉のちょうつがいは、壊れていて、扉は落っこちそうになっている。
  Levyは眼鏡士だが、数年前に失業し、仕事を探し続けている。彼女は現在、JDCで、ケアテーカーというパートタイムの仕事をしているだけだ。コミュニティーから家族が受け取る支援金を加えても、子供用の必需品を何とか賄うだけでも、苦労しているほどだ。

「自分は今、将来は海外での幸運を願って移民してしまう、そう言う子供達を育てている、と言うことを分かっています」と彼女は、悲しげに言う。「自分は3名の子供を育てていても、彼らにこの国では将来がないから、結局自分は一人になってしまう日が来ると、そう覚悟しています」。

6.在ブル・ユダヤ人組織の財源がピンチ
 因みに、今では、Shalomブルガリア組織の金庫も底をつきつつある。なにしろ、この金庫に入る収入の大部分が、自由化後の没収不動産返還で戻ってきた、ユダヤ人達の家屋などを賃貸して得ている収入なのだが、この収入がどんどん細ってきているのだ。だから今では、在ブル・ユダヤ人団体の収入は、完全に国外ユダヤ人組織からの支援に依存しているのだ。

昨年末までに、Shalomと共に運営されているJDCの福祉事業費は、突如35%も増額せねばならなかった。このため、JDCでは、寄付支援者らに、追加の?*百万ドルの支援を要請した。(注:*上記同様に、この?部分は単に0の数字が入っているだけ。)

 この緊急支援計画では、次の必需品が調達される:食糧、衣料品、学用品、家族手当、医療費。
 一番多くが、ユダヤ人達の生命を確保することに費やされる。子供達で、ユダヤ人サマー・キャンプに参加したい者のための基金、コミュニティー会員で、ユダヤ教の祝日・イベントへの参加を希望する者のための基金もある。ギリシャのユダヤ人社会がホストとなる、年次3日間の国際ユダヤ人集会Limmud(教習)参加費用なども、寄付を募っている。

7.欧州支局の職業訓練コース重視
 Alberto Senderey・JDC欧州支局長は、職業訓練コース(新技能、建築技能、PC技能、携帯電話技能)で、雇用を促進すると述べた。自助努力を支援し、誇りある人生を選択して欲しいから。
 「第一歩は、人々が、自分達が今トラブルの中にいる、と自覚することだ」とNevenistiは言う。多くの「新貧困層」、特に宣伝・広告業界でマネージャー階級だった人々は、新しい現実と向き合うことに付き、支援が必要なのだ。

  Dandalovaの一人の同僚は、最近次のように、彼女の娘について語ったという:「娘とその夫は、共に電子通信企業(IT産業)の稼ぎの良い仕事を、同時に失い、結局病院の『精神科』のお世話になっている」と。
  Benvenisti氏は、「このような人々は、どうやって別の人生を切り開いていくかを教わる必要性がある」のだ、と言う。「彼らは、今更未熟練労働力の仕事に就くには、資格を持ちすぎている。我々は、彼らに対して、精神的な支援を行い、現在の市場動向にあった職業へと、再教育を支援したい」。

ブルにおける経済情勢がいかに深刻かは、つぎの例で明白だ:JDCプログラムの中で、「ホロコースト生き残り老人のための介護の仕事がある」との噂が広まったため、700名もの人々が列をなしてしまったのだ。「幾つもの大学で学位を取った人々が、老人の介護をしたり、老人の家を掃除したりする、と言う職業に応募してきたのだ」と、JDCブルガリア組織の会計担当者Tzvety Friedmanは言う。「彼らは、必死でした」。

8.再びLevy家
さて、上記のLevyは、この介護の仕事の一つを得た。しかし、それでも、彼女と夫は、日々の財布の帳尻を合わせるのに苦労している。5月初め、彼女は子供達に水泳の授業を受けさせた。この結果月末には、日々の食事にも困るはずだが、彼女の選択肢としてはしょうがなかった。
 彼女は言う「水泳を知らないまま、サマー・キャンプに参加させるのは、危険すぎます」。「私にとって、怖いのは、あの人達が、これはまだ危機の始まりに過ぎない、と言うことです」と彼女は言う。「私たちの場合、ユダヤ人コミュニティーによる支援がないと、どうなるのか、想像すら出来ません」。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 私も含め一般にユダヤ人といえば優秀な民族で、金持ちや知識人が多いというイメージが浮かびますが、そのようなエリートはユダヤ人の中でも至って少数なのでしょうね。

 今回の貧困化するブルのユダヤ人のお話も興味深いです。ブル全土でユダヤ人は約7千名いるのですか?バルカン諸国の中でユダヤ人の一番多いのはどの国なのでしょうね。
 ただ、全世界のユダヤ人社会からの支援があるというのはさすがです。このような結束があるからこそ、全世界でユダヤ人が生きていけるのでしょう。

 蛇足ですがインドにもユダヤ人はおり、結構活躍しているようです。意外に知られていないのは、日本ではキリスト教伝道者として尊敬されているフランシスコ・ザビエル、インドのゴアで異端審問を始め、彼らを火あぶりにしました。
mugi
2012/05/29 21:54
こんにちは、
 ブルにおけるユダヤ人社会に関しては、小生の場合も、数名しか知っている人がおらず、なかなか全貌はつかみにくい。
 今現在の人口(全土)が、7千名ほどというのは、ユダヤ人コミュニティ0に登録している数字と思う。
 社会主義時代も、40年代に多くがイスラエルに移民して、残っていたのは5千名と言われていた。

 社会主義時代のユダヤ人で小生が直接知ったのは、ソフィア大学ブルガリア語学科1年生として、約50名ほどいた同級生の中で、一人だけEmirと言う学生がいた。経済学の授業で、教師がこの学生に「ユダヤ人は商売上手だからなー」と嫌味を言ったこと、同級生の一部が、「ああいう決めつけは良くない、しかも今は商売など出来ない(社会主義だから)し」と同情していたこと、が注目されました。やはり、差別があるらしく、Emirは何時も慎重に行動していた。
 もう一人は、医師で、西側大使館員らとの交際も派手だった家族。この男は、小生の見るところ、完全な体制側のスパイでしたが、こちらも色々利用できた。
 他には、小生の家主がユダヤ人の下級党官僚(元来は獣医)だったので、そのホームパーティーの客筋から見て、多くのユダヤ人は、裁判官、検察官、弁護士、などの法曹関係者とか、外国貿易関係者(家主の娘婿)、或いは医師が多かったように思う。名前なども、彼らの多くが、ユダヤ人と分からないように、普通のブル人の名前を付けていた。
室長
2012/05/30 12:07
その他には、ブルの要人、特に政治局員には、必ずユダヤ人顧問が付き添っていた。ユダヤ人顧問は知恵袋で、色々アドバイスする他、演説の原稿書きとかもするようでした。彼らの任務は、他に、政治局員を監視して、毎日Milko Balevという党書記で、ジフコフの「耳と目」と渾名されていた人物に、その動静を詳しく報告すること。もちろんBalevは、更にジフコフ本人に報告するのです。結局、共産主義には、ソ連共産党が決めた、細かい規則、タブー、などもあるので、いわ
ば平安時代の有職故実的な知識を熟知したユダヤ人の知恵袋に相談しつつ行動しないと、地雷を踏んでしまう虞もあるのです。あの、重厚な共産党本部の中で、政治局員、書記局員らのエリートに必ず個人秘書乃至は顧問という形で配置されていたユダヤ人達が、裏方として機能していた。とはいえ、彼ら自身は、決して上に出世することはあり得ない、影の存在でした。恐らく、ソ連のクレムリンでも、ユダヤ人顧問達が活躍していたのだと思う。

 ところが自由化後には、これら少数の秀才ユダヤ人(もっとも裏の存在で、出世は出来ない)は、どこかに消えて、今では、本当に普通の中流、下流のユダヤ人が多いらしい。

 そういえば、我が家主の友人らであったユダヤ人社会は、いつの間にかブル人として「同化」の道を歩んで、今はブル人の普通の市民として、埋没しているのかもしれません。そう言う意味では、実は、7千人という人数は、過小評価かも知れません。名乗らないけど、本当はブル人になりきっている人々もいるように思える。
 
室長
2012/05/30 12:12
(続2)
アルメニア人も、少数民族で5--6千名と言われていたけど、ユダヤ人ほどではなくとも、結構小生の目に付いたから、実はもっと多いのかも知れません。ア人の方が、ユダヤ人よりは、その素性を隠さないように思えました。

 何れにせよ、小生が見たユダヤ人、アルメニア人は、ある程度中流、或いはインテリに属する人が多かったので、この記事はなかなか興味深いです。やはり、現在の政治家達とのコネが少ないとか、自由化後には却って、より不利な条件も出てきているのかもしれません。
室長
2012/05/30 12:12
訂正、
 上記の級友の名前の綴りは、おそらくEmilです。ブル人にも良くある名前です。ただし、姓の方から、経済学教授には、すぐにユダヤ人と見抜けた模様。
 小生の学友グループには、入れてもらえなかった(他のグループは、コムソモールが小生に付けた監視役で、Emilを入れたがらなかった)のですが、小生はこっそり、日本大使館が開催する劇映画などの催しには、裏チケットを配布してやったので、目立たないように、こっそり入場していました。背が低いこと、目立たないことで、彼は何とか生き延びていた感じです。
 あるアルメニア人の女性も、背が低く目立たないけど、日本語能力が抜群で、やはり頭脳明晰でした。小生は、自分が作った資料(日本語とブル語の対訳が分かるので、特にブル語専門用語に対応する日本語が分かる)などを、彼女に手渡し、参考とさせました。
 ともかく、ブルガリアという国は、我々が気がつかなくとも、結構色々複雑な民族背景を持つものが多く、しかも彼らは、同族たちのためにも頑張るから、凄い才能を持つものもいました。逆境の中でものし上がる、そういう秀才が、特に女性の間に多かったです。
室長
2012/06/02 09:32

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