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zoom RSS 中国の対独札束外交

<<   作成日時 : 2012/09/06 11:18   >>

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  9月2日付産経紙国際欄に、「対中蜜月を欧州憂慮」という記事がある。この記事では、今年8月末(30日、31日)に行われたメルケル首相の訪中が、ある意味中国の札束を狙って行われた「支援要請」の外交であり、確かに、@ユーロ圏諸国国債購入継続約束の取り付け、Aエアバス旅客機50機受注の取り付け(総額60億ユーロ、約5900億円)という成果を得たものの、他のEU諸国の一部からは、中独両国の強すぎる提携関係には、中国が欧州情勢に対して影響力を強めることを警戒する声が出ているという。

 この記事を読んで、小生としては、今年2月に書いた習近平訪米に関連する、中国の札束外交に関する記事(http://79909040.at.webry.info/201202/article_5.html)を思い出した。
 中国外交の伝統である「朝貢制度」では、遠方から来訪し、「臣従」を誓う夷狄の国に対しては、朝貢時に献上する品目の数倍、数十倍という価値のある品目を下賜する、と言う形での、一種の札束外交が行われてきた。これは世界帝国としての中国王朝が、野蛮な遠方からの王国に対して、その権威をひけらかし、自国民に現下の皇帝の威光を誇示するためでもあった。民主化などを欲する自国民を、皇帝時代同様に、大人しくさせるためには、こういう現政権の「国際的な威光の誇示」、という「対内宣伝」が欠かせないのが、中国王朝の宿命ということでもある。

 しかし、中国も、全くの無駄金を使うほどのお人好しではない。欧州における人権意識とか、チベット併合への反感とか、そういう欧州側の世論を抑えるためにこそ、メルケル首相への優遇、札束約束、などの隠れた意図がある。そのことも、この記事では指摘されている。

 とはいえ、「内政面での恥部を覆い隠すために、札束を使われた」のでは、納税者としての中国国民は、無念と言うべきであろう。そう言う視点が、この記事には欠けている。我々日本国民としては、「民主主義と公正さ」を欠く中国式統治の「恥部隠蔽のために、貴重な外貨が使われている」と、はっきりと声を上げられない中国市民のために、代わって指摘しておくのがよいだろう。EUの貨幣統合という、間違った政策を癒すために、中国国民は、旅客機買付だけでも6000億円も差し出したのだ。中国支配階級が好んでBMW、メルセデスなどを買い込んで贅沢していることも、忘れるべきではない。(因みに、ある報道では、日本大使の車を追走して、日本国旗を奪った、BMWに乗った暴漢は、中国共産党高級幹部の「ボンボン」(子弟)だった、とも噂されているらしい。

それでは、産経記事(ベルリン、宮下日出男発)を下記に引用する。

1.メルケル首相訪独の意図
 ドイツが中国との関係を一段と強化している。首相は今年2度目となる8月末の訪中で、欧州債務危機対応への協力を得ただけではなく、大型商談も纏めた。中国重視には、債務危機打開、輸出拡大の狙いがある。

2.欧州における懸念
 他方で、両国の「特別な関係」(独政府高官)の進展で、欧州の対中国政策の歩調に乱れが出かねないとの懸念も浮上している。

3.訪中の成果
 メ首相は、北京で胡錦涛国家主席、温家宝首相と会談。温首相からは、ユーロ圏諸国国債購入による資金調達支援を継続する、との約束を取り付けた。更には、欧州航空機メーカー「エアバス」の旅客機50機納入など、総額60億ユーロ(5900億円)超の取引も成立させた。

4.訪中による「後退」的側面
メ首相は、30日の記者会見で、「中国はアジアの最重要パートナーだ」と明言。他方で、中国で活動するドイツ人記者が抱える「報道の自由」の問題や、シリア情勢など、見解を異にするテーマへの深入りは避けた。
  メ首相の訪中は、05年に同人が首相就任以来、計6回という異例の多さだ。就任当初に、ダライ・ラマ14世と会談するなどして見せた人権問題への厳しい姿勢も、最近は控え気味で、関係強化への取り組みが目立つ。
  今回の訪中は、昨年始まった定期的な政府間協議の一環でもある。7閣僚と20企業の代表が同行した。この協議は来年開催予定だったが、中国側が定着化のため、前倒しを養成し、独側が応じたもの。

5.中独貿易の拡大傾向
  ドイツにとって中国は、EU域外最大の貿易相手国である。EUの対中輸出の約半分、輸入の約1/4をドイツが占めているほどで、独中間貿易総額は、09--11年の期間に1.5倍に急増した。
  ユーロ圏の危機で、域内輸出が伸び悩む中、今年も対中輸出を伸ばすこととなろう。

6.高まる危惧の声
  ドイツが対中重視する背景には、人民元の国際的地位向上を目指す中国が、ドルとの対抗上、ユーロ存続を望んでいる、との計算もある。
  EU側には、中独関係をテコに中国が、影響力を行使するとの危惧がある。実際、メ首相は30日、欧州企業が中国製太陽電池のダンピング調査を求めた問題で、「対話による解決」を促し、中国に配慮する姿勢を見せた。
  シンクタンク欧州外交評議会(ECFR)の分析者ハンス・クンドナニ氏は、現在の独中関係に付き、「ドイツと欧州全体にとって、危険な状況だ」と指摘している。南ドイツ新聞も「独中経済の”共存”には、罠がある」と警鐘を鳴らしている。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 記事に見る中共の外交姿勢も、伝統である「朝貢制度」の延長であり、「国際的な威光の誇示」という「対内宣伝」が欠かせないという説に同意します。もっとも欧州の大国独仏ともに人権は外交の具でしょうし、これまた対内宣伝の一種だと私は見ています。欧州の政治事情はよく分かりませんが、援助されても欧州は言いなりになるとは思えません。

 何年か前、中国に武器を売りたがっている独仏に対し、英米が懸念した出来事がありました。欧米人に限らず人権のようなキレイごとを言う輩は信用できません。
mugi
2012/09/09 21:26
こんばんは、
 キッシンジャー著『外交』(1996年、日経)を読むと、欧州旧大陸の「power politics」に違和感を覚えたのが、新大陸で、宗教的な情熱を抱き、「個人の倫理観と国家の理想・外交」との間に、理念上の相違があってはならない、と考えたのが米国流という。セオドア・ルーズベルトは、欧州流の力の外交の信奉者だったけど、ウィルソンは、宣教師的、道徳的な「理念主義」をそのまま外交理念とし、無私、無欲だからと言う理屈で、第一次大戦参戦へと国民を決断させることにも成功した由。つまり、米国の場合、単なる「力の外交」は、却って国論をまとめられない。ウィルソンのように、本気で理想主義を唱える政治家が成功するようです。
 ドイツは、恐らく金を出させても、中国にさほど感謝はしないと思うけど、また、欧州全体も中国に左右されることは少ないかも知れないけど、しかし、ギリシャなどは、港湾の管轄権をコンセッションとして、中国企業に「売って」居ます。ブルでも、港湾利権とか、空港管理権とか、そういう設備費を国が出せないから、民間(外国企業でも良い)にこれらをコンセッションで売ります。ギリシャの港湾は、中国企業が握り、税関なども、結局は施設など全て中国のものだから、尻抜けされる部分が出てくると思う。ドイツ本国は牛耳れなくとも、EUの小国などは、中国の金と、人数で、いつの間にか腑抜けにされうる。怖いことです。
室長
2012/09/09 22:30

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