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zoom RSS 失業と貧困

<<   作成日時 : 2013/02/28 18:38   >>

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  ブルガリアでは、内閣総辞職後、25日(月)午後には、ボリーソフ(Boyko Borisov)首相が「高血圧症」を理由に旧政府病院(現在はLozenets大学病院)に急遽入院していて(27日(水)には、24日に選出されたばかりのNeofit新総主教がボ首相を病院に見舞った)、閣議も開催できないありさまだが、プレヴネリーエフ(Rosen Plevneliev)大統領が、憲法規定通り、院内主要会派と順番に「暫定内閣」の組閣交渉をしている状態だ。
  GERB、BSP、DPSの主要会派は、いずれも「火中の栗」を拾って暫定内閣を組閣し、7月総選挙までの政治リスクを背負うつもりがない模様で、この故に、結局は大統領が「選挙管理内閣」、「技術的内閣」を任命することとなる模様。選管内閣任命時には、同時に早期総選挙期日も明記した勅令を発出する必要がある。恐らくは、5月前半ころの総選挙実施となる模様。

  なお、今回の「電気代抗議デモ」に端を発する倒閣運動の盛り上がりに関しては、汚職の蔓延、マフィア支配に対する国民の不満、などの要因もあるが、やはり「経済成長率の弱さ」に起因する「失業問題の深刻化」と、「EU最貧国」から抜け出せる見通しが、何ら立たないことへの不満という、失業と貧困問題が2大要因だと思う。
そこで、これに関する最近のnovinite.comサイト記事で、小生が注目した記事を二つほどご紹介したい。

1.貧困リスクhttp://www.novinite.com/view_news.php?id=148230
(1)ブルガリアでは、貧困リスクにある児童比率が5割を上回る
  2011年、「貧困と社会疎外のリスク」を有する18歳以下の児童の割合が最も高かったのは、EU域内ではブルガリアだった:52%(Eurostat統計による)。ブルに次ぐのは次の諸国:
     ルーマニア=49%、ラトビア=44%、ハンガリー40%、アイルランド38%(ただしアイルランドについては10年の統計値)。
  貧困リスクが小さかったのは、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの北欧3カ国=16%で、次いでスロベニア=17%、蘭=18%、墺=19%。

(2)EU平均値としての「貧困リスク」
  2011年、18歳以下の児童の「貧困リスク」は、27%だったが、「大人(18歳〜64歳)」の場合は24%、更には「高齢者(65歳以上)」の場合は21%だった。要するに、EU27カ国で、児童の方がリスクが高いのだ。

(3)両親の教育レベルが影響
  両親の教育レベルで、児童のリスクも左右される:
    中学卒以下の「低い教育レベル」家庭の児童:約半分がリスクに晒されている。
    両親が高卒:リスクは22%。
    両親が大卒:リスクは7%。
  両親の教育レベルでリスクが最大幅を見せているのはルーマニアだ。両親の教育レベルが「低い」家庭では78%がリスクに晒されているのに対し、高い(大卒)場合はたったの2%しかリスクがない。この格差が大きいのが、旧東欧の特徴で、チェコ:76%対5%、スロバキア:77%対7%、ブル:71%対2%、ハンガリー:68%対3%。
  他方で、社会福祉が充実しているデンマークでは17%対5%。フィンランドでも24%対6%と格差は小さい。

(4)片親(または双方)が移民の場合
  EU諸国では、両親の片方(または双方)が移民である家庭は、児童の貧困リスクが約1/3にも上ることが注目される。
  すなわち11年、少なくとも片親が移民の家庭では、児童の32%が貧困リスクにあったが、両親ともに居住国生まれの場合は、このリスクは18%のみだった。

  他方で例外もある。エストニア、ハンガリー、マルタの3国では現地系両親の子弟の方がリスクが高かったし、チェコでは、移民系、現地系両親の間で、児童の貧困リスクには、格差がなかったのだ。
    (小生注:要するに、新規加盟国として、相対的に貧しい上記3国では、移民系両親(または片親)の家庭は、外資系社員として高給取りが多く、現地系両親よりも裕福だからであろう。共産主義時代でも、平均的な生活水準が高かったチェコでは、外資系社員といえども、さほど現地系両親との収入格差はない、ということであろう。

  因みに、少なくとも片親が外国生まれの移民、というケースで、児童のリスクは、各国ごとに、結構違った結果を見せた。11年の数字で、チェコでは15%、エストニアで17%、マルタでは18%。他方で、スペインでは46%、ギリシャでは43%、フランスでは39%だった。(注:要するに、スペイン、ギリシャ、フランスなどの農業季節労働移民が多い国では、移民系市民が貧しい、低賃金労働者が多い、という傾向を反映すると思われる。)
  また、現地系両親でリスクが最小なのは、デンマーク、墺両国(ともに8%)で、逆にその方がリスクが最も高かったのはルーマニア(33%)だ。(注:ルーマニアは、ロマ系比率がブルよりも高いからであろう。)

2.深刻な失業問題http://www.novinite.com/view_news.php?id=147953
(1)ブルでは、08年以来36万人分の職場が失われた!
  ブル経団連(BIA)会長のBozhidar Danevによれば、ブル国では、08年以来36.3万人分の職場が失われた。そして、約40万人のブル人が、慢性的に失業者となったという。

(2)公式データは過小評価している
  公式に登録された失業率は08年の5.2%→12年の12.5%へと上昇したが、BIAデータによる本当の失業率は08年の9.4%→12年の18.8%へと上昇したのだ。

(3)青年失業率は28.5%へと、2.5倍も増えているのだ!
  更には、青年層の失業率は、08年の11.4%→09年の28.5%へと、2.5倍増となったと推計されるのだ。(注:青年失業率が、ブルでも30%弱もの高さ、という数値は、小生も初めて見た気がする。これは深刻な数値と言える。)

(4)賃金上昇率は結構高すぎるのだ!
  なお、ブルの私企業部門の給与は、年率7--8%で上昇しており、とっくに生産性の伸び率を上回っている。
    (注:下記の記述と関連して考えれば、企業が雇用するのは、技術を持った人材であり、彼らの場合は、EU諸国への移民という手があるから、低すぎる賃金では雇用できないのであろう。)

(5)教育の現状と、経済界が必要とする人材の間にミスマッチが存在する
  一番問題なのは、使用者側が必要とする労働者の資格と、現実に応募してくる労働者の能力との間のギャップが大きすぎることだ。使用者の64%は技師、或は技術者を必要としているのだ。ところが、企業が必要とするそれぞれの専門分野に関しては、大卒者の27%しか対応していない。
  BIAとしては、ブル政府が教育費用を増大することを期待する。ブルの現状ではGDP比3%が教育費だが、EU平均では5.6%なのだ。

(6)貿易赤字縮小という一時的傾向は、ユーロ安のおかげ
  ブルの貿易赤字が減少する傾向にあるのは、実際には、主として国際価格がブルに有利に動いているせい*で、決してブルの輸出用品目の品質改善とか、量的な増大に依存していないことに要注意だ。イノベーションに基づく商品は、ブル輸出品の6%しかなく、これはEU27カ国平均の16%に比べて、あまりにも低い数字だ。
    (注*:ブル貨幣のLv(レフ)は、ユーロにペッグしているから、ユーロの為替レートが低下しているために、輸出に有利な貿易環境があるから。)

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