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zoom RSS 逆回転する世界情勢?

<<   作成日時 : 2013/03/19 20:23   >>

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 小生の頭脳では、アベノミクスなどという「奇跡の景気転換」という流行は、まやかしではないかという危惧の念で、それなりに不安感も抱えて見守っているのだが(経済学理論、などというものをあまり信用しないから)、それでも最近の新聞、週刊誌の論調を見ていると、なんとなく面白い雲行きのようにも見える。
 小生が面白いと感じ始めていることを書いてみる。これが正夢なら素晴らしいのだが。

1.日韓の景気が逆転?
  最近のweb紙などの記事を、斜め読みしていると、どうやら韓国経済の「好調」さは、財閥系の一部独占企業を優遇してきた(中小企業、一般国民の損失には、目をつぶって)そういう韓国という「小規模経済」国(人口5千万人で、財閥系企業の輸出に依存する経済)の歴代政権は、その発展の基盤を人為的な「ウォン安」で、財閥系大企業、サムスン、LG、現代自動車、その他の製品輸出を補助することに重点をおいてきた、という。日本のPanasonic社などの計算でも、過去10年ほどの円高、ウォン安という人為的為替差損さえなければ、日本の家電メーカーが、韓国勢にこれほど世界市場で敗北しなかったという。

  然るに、アベノミクスで、「円安傾向」が進んだ結果、ウォン高が進行してしまい、対日経済競争上不利となり、他方で、安価製品(電気製品、自動車など)は中国製品の追い上げを受けて、韓国経済は今ふら付き始めている、という。

2.株価急上昇は、世界的には12年半ばに、米国主導で始まっていた?
  どこかで読んだ記事によれば、実は株価の急激な上昇という現象は、昨年半ばから、すでにまず米国で株式市場が活性化して始まっていたし、EU、中東、新興国では、今の日本以上に株高が進行してきていたという。
  すなわち、アベノミクスで日本株が急に高くなったというよりは、ようやく日本市場も、世界的趨勢の波に乗り始めているだけだという。債券市場が低迷しているが、株価は持ち直し、リーマンショック時をとうに回復し、この水準を上回っている(日本だけはまだだが)のだという。小生株価には、あまり目を光らせていないから、少しも知らなかった。

  世界的に株価が回復し、既に08年水準を上回っているということは、米国政府の過剰なほどにドル札を刷りまくってきた政策が、心配されたほどのインフレ要因ではなく、むしろ景気回復に役立っている、ということかもしれない。
  更には、シェール革命で、米国のエネルギー単価が世界一安くなって、米国製造業が少しは回復する可能性とか、或は、自家用車依存の高い米国では、エネ価格低下で、全般的な生活費節約が可能となって、消費が回復したのかもしれない。
  何しろ、米国の天然ガス価格は日本の1/5と言い、火力発電が現時点でも原発よりコスト安となったので、原発の操業中止が相次いでいると言われるほどだ。日本に比べ、或は欧州に比べて、米国の競争力は向上している側面があるのだ。燃費安は、エネ依存度の高い、米国式の大規模農業にも有利に働くだろう。

  いずれにせよ、世界経済を牽引すべき米国が、軍事的な対外責務を放棄して、国内回帰することで、軍事費を節減して、この故に、米国市場が国内的に活性化して、明るい兆しを生んでいて、対照的に中国がスモッグ、大気汚染、水質汚染などの公害の中で沈んで行っている、というような雰囲気が感じられる。単純すぎる対比であろうか?

3.中国経済崩壊との予想
  3月29日付の「週刊ポスト」誌掲載の大前研一氏の記事によると、要約すると以下のように、中国の成長、発展は頭打ちで、今後は崩壊していくとさえ予想している。この大前氏の予想は、極めて嬉しい予測だが、もちろんその通りに動くと決まってはいない。ただし、小生のような、根本悲観論者には、勇気を与えてくれる予想であるし、最近の各種の記事を総合すれば、そういう予測もあり、と見えてくるから頼もしいというべきか。

(1)忘れられたケ小平遺訓の後半部
  日本が一人当たりGDP1万ドルを達成したのが1981年、他方中国が一人当たりGDP5千ドルを達成したのが2011年だという(日本のこの水準達成は1976年)。しかし、大前氏は、中国が日本同様に、あと5年で一人当たり1万ドル水準を達成し、米国を抜いて世界一の経済大国となることは、ありえないだろう、という。逆に、中国経済は、あと5年持たずに崩壊に向かうと予測している。
  その理由の第1として、同氏は、ケ小平の遺訓が忘れられているからだという。ケ小平氏の遺訓は「先に豊かになれる者から豊かになれ、そして、落伍した者を助けよ」であったが、このフレーズの後半部分がすっかり今では忘れられている、と嘆く。先に豊かになった者たちが、誰も助けることなく、さっさと海外に脱出しているという。

(2)先富の役人、富裕層たちが亡命準備
  汚職が発覚した時に備えて、家族、資産を外国に移し、単身で国内にとどまっている「裸官」と呼ばれる役人が118万人に達している、という。
  また、資産1000万元(約1.5億円)以上の富裕層は、移民手続きを完了している人が14%、移民を考慮している人が46%もいる、という。富裕層はみな、いずれその富を奪われる日が来る、或は、その富の形成過程を問われる時が来ることを恐れているのだ、という。(注:昨年ブルガリアでも、その出所を証明できない、非合法活動で形成されたらしい資産に対する没収法が成立した。ただし、過去10年以上を経過した資産については、証明義務がなかったと思う。
  このため、カネができたら米国、カナダ、豪州などに移住することが当たり前になり、いま中国では「第3次移民ブーム」を迎えている、という。

(3)国内に残るのは、不満層ばかり
(ア)農民層の不満

  農村戸籍の農民が都市戸籍を得られるようになり、今では都市戸籍保有者が50%を超えたというが、これは見せかけだという。農民が都市に移り住んだのではなく、都市に周辺農村を編入しているという。その結果、農民は土地を収奪され、商工業用地として開発されるので、かえって不満が募っているという。農民を豊かにするには、近代的な大農法を導入するしかないが、生産性が上がれば現在7憶いる農民は1割以下で十分だから、大失業問題となるという。農村対策は行き詰るしかないのだ。

(イ)都市住民の不満
  これまで経済成長の恩恵にあずかってきた都市住民だが、今は大気汚染(PM2.5問題など)、水質汚染、スラム化、犯罪化、などのメキシコシティー症候群に悩んでいるという。
  また、中国都市部の不動産物件は、年収の80--100倍(先進国は普通10倍まで)という途方もなく高い価格で売買されてきたが、今では、毎年15%ずつの賃上げ、という過去のような人件費の上昇は、東南アジア諸国の工業競争相手としての台頭で、持続不可能で、この故に、都市住民の多くは、不動産ローンを払えなくなるという不安を抱えている。

(ウ)企業家たちの不満
  毎年15%もの賃金上昇を強制されてきた企業も、最近は中国の賃金水準が高すぎて、東南アジアとの競争に勝てないうえ、デモ、労働争議頻発で、業績が悪化しており、これまでのような海外への輸出を維持することが難しくなってきている、という。

(4)裏で蓄積されていた不良債務・債権の表面化で、社会全体が回らなくなる
  経済成長にブレーキがかかると、これまで隠されてきた地方政府、国営企業、銀行が抱える「隠れ借金」が表面化してくる。その総額は5000兆円以上(注:日本のGDPの10年分ということ)とも言われており、これをカバーする原資はもはやどこにも残っていない!という。

    (注:社会主義経済を長年観察していた小生の勘では、この「隠れ借金」というのは、その多くが、いわゆる「企業間債務」のことだと思う。計画経済と言ってはいたが、社会主義時代のブルガリアの国営企業は、銀行融資制度が未発達だったこともあり、「企業間債務を蓄積する」という方法で資金繰りしていた。お互いに国営企業だから、最後は国が面倒見てくれる、という前提の下、結構ずさんに各々の国営企業は「支払い延期、繰り延べ」という手段に訴えて、相手企業も、そのうちに清算してくれるという前提で、甘く見ているうちに、どの企業も膨大な企業間債務・債権を溜め込んだのだ。A社は、B社に対し、「未払金を10億円」抱え、他方では、C社、D社に対しては、「支払い待ちの債権を10億円」抱えているとしても、どこかで政府指導が入れば、これら錯綜する債権・債務関係はきれいに清算できるはずだ。
  ところが、いつの間にか、膨大な借金ばかりをため込むダメな国営企業が出てくる。これらダメ国営企業も、いつの間にか借金棒引き令が政府から出されて、生き残れる事例も出てくる(例えば、元来儲かるはずがない、大衆向け食品の製造企業などは、政府が市民への食品供給を優先するから、借金棒引きの恩典を期待できる)から、儲けの少ない消費物資系国営企業はみな、ずさん経営となっていく。政治力で、金の決済が終わるのだから、借金をためた方が得、という思考にもなる。
  中国の場合、自由化後には、経営層の幹部給料が、異常なほど毎年吊り上がったし、国営企業は「独占」的企業が多いから、儲けも多く、ますますずさんな経理となっている場合があろう。銀行はほぼ国営系だから、政治的命令で、太子党の企業などが融資を思いのままに引き出せるから、こういう理由でもずさんな融資が焦げ付いていると思われる。ともかく、隠れ借金問題は、市場経済方式が貫徹しない国家では、マスコミの監視もないし、積み上がる病理を抱えている、と言える。)

(5)対応する勇気も、気力もなくなってきている??
  中国の経済成長は、農民、環境などの犠牲の上に成り立ってきたが、今やその歪み、矛盾が大きくなりすぎて、公害から逃れるための首都の移転論(遷都論)とか、移民ブームなどの、「逃げの論理」ばかりがまかり通っている、という。
  (注:そういえば、中国解放軍の兵士たちも、一人っ子政策の歪で、軍人に不向きなお坊ちゃま兵士が増えて、脱落者が多いとか、戦力が落ちているとか、幹部は腐敗将軍たちばかりで、戦闘態勢は整はない、兵器も外観は立派な米国兵器のコピーだが、中身はお粗末な欠陥が多すぎる、などの報道もある。)

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 大前研一氏、少し前までは「チャイナ・シンドローム」などと、日本は中国の十分の一国家になる、韓国に日本は勝てないと言っていたのに、変わり身が早いのが評論家ですね。彼に限らず他のエコノミストも大同小異の意見が主流だったような…

 私自身も根本悲観論者なので、大前氏のような“楽観論”には懐疑的です。当たれば結構ですが、願望的楽観論は止めた方がベターではないでしょうか。煽動的な主張が多く、悲観論の極みですが、日本は戦争に巻き込まれる方向に向かっていると見る者もいます。
http://www.bllackz.com/2013/03/blog-post_17.html
mugi
2013/03/20 22:40
こんにちは、
 まあ、小生も、願望的楽観論には警戒した方がよい、と思っています。安倍政権になってから、円安となり、コントロールされたインフレという形での成長がありうる、というような経済学理論がもてはやされているけど、これも経常収支の赤字が続くようでは、説得力がなくなる。一時的な好調ぶりは、米国株価の上昇とか、アベノミクスに期待しての米国から日本の株式市場への投資などの、全てが明るく見える方向も見えているからですが、長続きできるのかどうか?やはり、日本の場合、原発再開を急いで、エネ輸入資金を節約して、経常収支を黒字化することを急ぐべきだと思う。
 いまのところ、日本の巨大な累積国債の問題は、世界も注目していないけど、財政赤字は当面減らせない(安倍総理の方針で)とすれば、せめて経常黒字を実現すべきでしょう。
 ただ、仏の元ミッテラン大統領の経済顧問だった Jacques Attali氏の論文を最近読んだ(http://www.novinite.com/view_news.php?id=148715)ところ、これによると先進国は、どこの国でも、国債を積み上げつつあり、米国でも、全ての債務を積み上げると、実際にはGDPの400%だという。GDPの200%で悩む日本以上に、「隠れ借金」があるらしい。他方で、13年度の予想では、新興国、南の諸国の成長率は、先進国より低くなり、南北格差はむしろ広がる、という。結局は、新興国、南の経済が伸び、北が不況に苦しむ、というこれまでの傾向は、逆転するらしい。
室長
2013/03/21 10:04
(続)
 つまり、Attali氏の予測でも、GDP対国債の比率は上昇を続けながらも、どういうわけか先進国での景気は、上向き予想なのです。世界の金融界は、Great Rotation(大逆転)というスローガンで突っ走り出しているという。
 小生もよくわからないけど、緊縮財政は、あまり長期には続けられない。ブルの例がまさにそれで、IMFなどが褒め称えた「超均衡主義、超緊縮財政主義」で、金融は安定するけど、景気は沈み、失業は増え、生活苦は貧困化した市民を激怒させて、内閣が崩壊しました。ボリーソフ首相の魂胆では、7月の総選挙を前に、4月頃から「大衆迎合的な施策」をばらまこうと思っていたら、国民の我慢は2月で切れた・・・。
 他方で、少し放漫的に歳出を増やして、国債依存度を高めている先進国は、さほどインフレにもならず、国民も貧困化を免れて、うまくいっている。緊縮を言いながら、実は放漫に国債発行を増やしている国が、破綻していない!!
 やはり、いまのところ、ケーンズ学派流の経済運営の方がうまくいっているように見える。不思議ですね!
室長
2013/03/21 10:16

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