ブルガリア研究室

アクセスカウンタ

zoom RSS ロマ、ジプシー問題

<<   作成日時 : 2013/10/26 18:25   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

 最近、日本のフジTVの週刊ニュースでも、ギリシャ、ブルガリア両国を舞台に繰り広げられた「ブロンドの少女」事件が取り上げられたので、欧州におけるジプシー問題に関して、少し書いてみる気になった。

1.Katunitsa村(Plovdiv市東方)事件のキーロ王が出獄した
  10月18日(金)に、悪名高いロマのボス、Kiril Rashkov=通称キーロ王が、出獄した。3年6ヶ月の刑期を宣告されたが、5か月早めに出所した(コミュニティー奉仕作業に参加したため刑期を減免されたという)。
  Kiro王の家族は、2011年9月23日に同家使用人のロマ男性が、19歳のAngel Petrovを車で轢き殺す事件が起き、この結果、Katunitsa村の隣人らに、従来から報復殺害予告していた罪状で、Rashkovo家の当主=Kiril、孫、使用人の3名が起訴され、裁判でそれぞれ罪科を宣告された。殺害犯の運転手(使用人)は、未だ入獄中だが、密造酒製造、販売、その他の事業を経営してきたRashkov家当主のKiril王は、今回無事出獄を許されたもの。この一家が、Katunitsa村に帰ることはないと見られている。

画像


2.ブロンドの天使事件
(1)事件概要
 10月20日(日)頃から、ギリシャ中部のFarsala町付近のロマ集落で発見された「ブロンドの髪と緑の目を持つ美しい4歳ほどの少女」につき、世界中から関心が寄せられた。少女は、ギ警察による麻薬、違法武器所持関連疑惑で、ロマ集落が急襲された際に、白人的容貌の美しい少女であるため、自称両親のロマ夫妻の、本当の子供ではないと警察が疑い、収容され、NGOの施設で保護された。

画像


 この「ブロンドの天使」に対する関心は、欧米諸国で大々的に反響を呼び、自分の誘拐された娘ではないか、養女として引き取りたい、など合計8千件以上の電話がギ警察に殺到したという。

画像


 その後、ギ警察からの依頼で、ブル内務省も捜査に協力し、24日(木)には、ブル中部のStara Zagora県北東部のNikolaevo町のロマ集落(人口約2千人)で、Mariaの母親らしい女性が、自分の娘らしいと名乗りを上げ、両親は警察によりソフィア市に連れていかれてDNAテストを受けて、Mariaの両親と確定された。25日(金)には、ブル内務省が、DNAテスト結果を公表し、誘拐事件ではないこと、貧しい両親が、出稼ぎ先のギから帰国するときに、赤子のMariaをギ人ロマ夫妻に「贈り物」として与え、養育を依頼したことが判明した。

 ブルの母親はSasha Ruseva(35歳)、父親はAtanas Rusev(36歳)といい、ギ系ロマ夫妻は39歳と40歳であった。ギの養父母は、出生届の偽造など、市民登録法上の違反などが指摘されているが、誘拐とか人身売買の罪状は無い模様。
 ちなみに、この少女が美しい白人的容貌を持つことは、Rusevi家の子供たちの一部にいわゆる白子(albino=色素が薄い遺伝子異常)が多いかららしい。8名の子女のうち、Mariaを含む4名が白子で、白人的容貌らしい。

 また、ギにおける報道の中には、Farsala町の資産家がいったん養女にしようと自宅に連れ帰ったが、よく観察すると、目が斜視(cross-eye)だと判明して、Christos Salis( 39歳、養父)と Eleftheria Dimopoulou( 40歳、養母)にMariaを返却していたという報道もある。Eleftheriaが、Mariaを引き取り育てようと考えたのは、赤子のMariaが極めて美しい幼児だったからと言うが、上記の通りその後、金持ちに引き渡そう(売ろう)としたこともあったらしい。すなわち、養育目的は必ずしも「かわいいから」だけではなかったかもしれない。

3.本当の両親が、完全にジプシーの両親と判明し、急激に世界の関心が低下??

 Rusevi一家の写真

画像

 左が母親、右が父親

画像

  兄弟の一部は白子、女子の赤毛は染めているためで、本当はブロンド

 さて、問題となるのは、上記のような本当のブル人ロマの両親の、普通のジプシーとしての姿が欧米でも放映されると、とたんに「美しい、謎のブロンド少女」という、欧米世界での関心に冷水が浴びせられ、当初の関心がすっかり薄らいだようにみられること。

 また、ギのロマ集落に、美しすぎるブロンド少女がいただけで、誘拐事件と疑われたり、NGOが保護したりという騒ぎとなるが、現実に、ブルのジプシー部落で、この一家がいかに貧しい、その日その日の食事にも苦労する毎日を送っているかとか、ジプシーを保護するための施策とか、そういう議論には必ずしもならないことが、やはり問題とも言える。

 偶々、遺伝子異常で生れた「ロマの子弟にしては、美しすぎる少女」として、大きな関心が寄せられ、養女にしたいという希望も多く出たが、その後は上記の両親の写真なども公開されて,関心は薄れ・・・・。

 結局ギから返還されたら、Mariaは、さすがに貧しすぎるRusevi家の、Nikolaevo町の小さすぎる家に帰すわけにもいかず、当面は、ブルにおける児童保護施設に収容されるという。
 「美しければ、世界の関心」、「ネタがばれて、本当は普通のジプシーの少女」となれば、普通なら養護施設にも入れてもらえないのが、養護施設で面倒を見るという結末となった。マスコミが騒いだから、養護施設も提供されたという次第。
 ジプシー問題は、当分解決のめどは立ちそうもない。

 フジTVの映像で、小生が注目したのは、TV画像では、ギのMariaが暮らしていたジプシー集落が、かなりきちんとしたコンクリート建ての家屋(画一的規格だから、政府が供給した建物らしい)が、整然と並んでいて(つまり町が計画的につくられている)、それなりにギリシャ政府が、ジプシー部落としての建物とか、電気、水道設備なども支援しているらしいことが判明したこと。ブルの場合、ジプシー村は、ジプシーたちが勝手に手作りした、自前の狭小な小屋であり、道路なども必ずしもまっすぐではなく、無計画な集落ににすぎないことが多い。

   

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 今回の記事は改めて欧州におけるロマ、ジプシー問題の複雑さを感じさせられました。以前室長さんが取り上げたキーロ王ですが、写真を見る限り、一般日本人には欧州人と変わりない容貌に思えます。

 そして本題の「ブロンドの少女」事件ですが、件の金髪の少女、実はロマだったのですね。両親がロマで、白人的容貌は単に白子が原因と分かるや、すっかり欧州人の関心が薄れてしまう現象も興味深いです。

 2010年11月26日付けのブログ記事「ヨーロッパで、ロマ(ジプシー)が凄まじく嫌われる4つの理由」も、考えさせられる内容でした。スイスでは何と、ロマの子供を両親から引き離し、ロマ民族と文化を殲滅するという政府公認の組織があったそうです。実際にロマの子供たちを誘拐し、強制収容し、ロマの言葉や文化を一切教えず、暴行や性的虐待を繰り返してきたとか。
ttp://www.bllackz.com/2010/11/blog-post_26.html
mugi
2013/10/27 21:24
こんにちは、
 Darknessというブログ記事は、小生は初めて見たけど、なかなか興味深い点も含んでいますね。しかしナチスによるドイツでのロマ虐殺関連の数字は低めすぎるような気もする・・・http://79909040.at.webry.info/201007/article_3.htmlで、小生は、東欧での虐殺数字らしいものを紹介したけど、合計で18万人ほどでした。ドイツ本体でも、墺を含めれば、恐らく2万人よりは多いように想像するのですが。
 それから、嫌われる4つの理由・・・というのも、必ずしも小生には納得できない。異文化、非キリスト教、白人でない、個人主義で地域に同化しない??ジプシーは個人主義というより、部族主義だと思う。だから、地域に必ずしも同化しないだけでしょう。ほとんど、これらの項目は、完璧にユダヤ人にも当てはまると思うけど、次の3点が異なるでしょう:ユダヤ人はより白人的に見えるし、教育程度が高い、裕福である。

 ユル・ブリンナーについては昔、モンゴル系とどこかで読んだ覚えがあるけど、ロマ系だったとは!チャップリンもロマだったとは、意外でした。

 スイスで政府公認のロマ殲滅組織があったというのも、初めて聞いた話です。もっとも、スイスが、欧州の中でも恐らく最も厳しい制度で、他国民のスイス国籍取得を困難極めるようにしているということは、スイス人自身が自認していた。異民族の血液に対し、用心深いというか。直接民主制という特異な政体をとるとか、スイスという国は、かなり極端に走る側面があるのです。小さすぎる、直接民主制の国だからこそ、特殊な政策が試せるということかも。
室長
2013/10/28 17:50

コメントする help

ニックネーム
本 文
ロマ、ジプシー問題 ブルガリア研究室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる