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zoom RSS 米国の「対敵金融戦争」が既に対中国で発動された?

<<   作成日時 : 2013/12/01 17:29   >>

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  さて、小生の経験というか、ほとんどの日本人が1989年に体験したバブル崩壊は、その後数年たって、裏の真相が判明しました:米国が、第二次大戦後の経済競争で「一人勝ち」の勝利をつかみつつあった日本国に対し、「銀行の担保率を数%引き上げる義務」を課すという、ほんのわずかな国際金融規則の変更(世界の金融界は、英米欧の一部少数の「金融マフィア」が談合して規則、ルールを決めている)を通じて、「護送船団方式」という大蔵省主導の金融指導体制の下、何らの危険性も感ずることなく(日本国内の金融事情だけなら、そう信じられていた)経済規模を順調に膨らませていた日本経済を、あっという間に崩壊させた、というカラクリだった。
    (注:小生の記憶では、護送船団方式の下、日本の銀行は不良債権への担保率を4%とするルール(大蔵省の指令)で、貸し出していたのが、急に国際金融マフィアの会議で、銀行の担保率は8%へと引き上げるようにルールが変更され、日本の銀行はこの4ポイントのギャップを埋めるため、慌てて不動産担保があるならいくらでも金を融資していた方針を変更し、市場からの資金回収を急いだ結果、バブルがはじけた。バブルを崩壊させ、日本経済の優位体制を突き崩したのは、主として米国政府の「陰謀だった」とも言われている。)

  要するに、日本国では、金融に関しては大蔵省主導の「統制経済体制」を、太平洋戦争の戦時中以来戦後も継続していたから、銀行の「担保率(貸倒引当金の貸し出し額に対する比率)」などだれも気にしていなかった。その日本経済に、「国際的金融ルールを変更する」と、勝手に、突如国際ルールの変更を押し付けて、銀行融資に対する担保率を引き上げ、これに対応するために、日本国内の銀行が市場から融資を一斉に引き上げたために、膨らみ切っていた不動産投資が、あっという間にバブルとしてはじけ、一部の銀行さえも倒産したし、日本経済全体が膨らませ続けてきた「資産価値」も、あっという間に消滅して、全米各地に日本企業が「買い占めていた不動産」なども、大損覚悟で「投げ売りする」という事態に追い込まれました。

  この時、日本では、何が起きたか理解できる人は少数でしたが、数年後ようやく真相を理解した評論家たちが、軍事を米国に依存しながら、経済にのみ全力投球して「経済戦争では勝利を納めつつある日本」国を、もう一度米国が、「経済でも敗戦に追い込んだ」のだ、「米国の巧妙な罠にはまり、またしても日本国は敗戦したのだ!」「マネー敗戦だ!」と悔しがりましたが、後の祭りでした。

  同様の仕掛けで、何時か米国は、急激に成長、膨張しすぎた中国を「経済敗戦に追い込むだろう」という予測は、既に09年12月のこのブログでも予測しました(「ドルと米国は復活する?:http://79909040.at.webry.info/200912/article_2.html」)。

  最近の産経新聞記事を注意深く読んでいると、この米国による中国潰しの仕掛けが、そろそろ動き出しているのではないか?という気がしてきたので、以下に小生がはっとした、2件の産経記事をその要旨とともにご紹介したい。二つの記事は、双方とも、在北京産経記者の山本勲氏の記事です。

1.「欧米も富裕層も脱中国」(10月5日付)
  中国経済の先行きに懸念が強まる中、欧米有力銀行、中国富裕層の資金が一斉に「脱中国」の動きを示している。不動産バブル崩壊の兆し、国家債務の急増、習近平(Xi Jinping)政権の左傾化・対外強硬路線などのリスクが、この流れに拍車をかけている。

(1)欧米有力銀行撤退の動き
  @9月初めに、Bank of Americaが中国建設銀行の株式20億株(バンカメの残りの持ち株すべて)を売却した、売却額は約15億ドル。建設銀行は、4大国有銀行の一つで、バンカメは、8年前に株式の約8%を30億ドルで取得し、その後も買い増して一時は120億ドルを投入していた。11年から売却に転じ、今回全てを売り切った。
  A上記に先立ち、ゴールドマン・サックス(米投資銀行)が中国工商銀行株を、クレディ・スイス銀行、英Royal Bank of Scotlandが中国銀行株を、それぞれ全面売却した。
  @Aのように、9月のバンカメの撤退で、欧米大手行は4大国有銀行からほぼ全面撤退を完了した。

(2)国内資金の流出
  共産党中央規律検査委員会の推計:
   中国から不法に外国に流出した資金は、11年に6千億ドル、12年には1兆ドル強、13年には1.5兆ドルとなる模様。中国国内における腐敗撲滅号令を受け、腐敗官僚一族らの富裕層が財産の海外移転を加速しているからだ。現に米国、カナダからの報道では、中国投資家による北米での住宅開発、豪邸購入が話題となっている。

(3)香港資本は欧州シフト
  香港の最大財閥「長江実業グループ」総帥の李嘉誠も、脱中国・欧州シフトの動きを加速している。不動産バブルが頂点に達した中国の資産を売却して、債務危機から回復し始めた欧州に事業を拡大するという動きだ。
  韓国、台湾では、開発独裁の時代から、民主化、法治化という方向に体制変換したが、中国の場合共産党独裁体制からの体制変換はあり得ないから、腐敗、格差、などの矛盾を体制改革で緩和していくという方向は見えないのだ。だから「脱中国」となる。

(4)危ぶまれる中国の経済動向
  内外資本の一斉流出と、今後の米国における金融緩和縮小とが重なれば、人民元の急落とか、不動産バブルの大崩壊などを招き、中国経済が大不況に突入する恐れがあるのだ。

2.「米中通貨戦争、敗者は中国」(11月2日付)
(1)元高誘導を仕掛けた米国、ドル基軸体制への挑戦を仄めかした中国
  人民元切り上げを拒んだ中国に対し、米国はドルの大量増刷で元高へと誘導を仕掛けてきた。
  他方で中国は、「脱米国化、ドル基軸通貨体制からの脱却」を唱えて、新興国との連携、各国通貨による決済体制(ドル決済の排除)などの拡充を意図してきた。
  中国による新機軸通貨創設との野心に対して、米国では「政府が銀行や企業を操り、起業家精神も育たず、独自開発の製品もない中国が、世界経済をリードできるわけがない」(米フォーブス誌ネット版)とか、「3兆6600億ドルの外貨準備を持つ中国は、米国債を買い続けるしかない」(タイム誌ネット版)などと米メディアからの反発も強い。

(2)すでにバブル崩壊へと追いつめられている中国
  実は米国がリーマン・ショック後の08年秋から開始したQEが、既に中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのだ。

(ア)外貨資金の増加が、中国不動産バブルを膨張させた
  中国政府統計によれば、QE開始からこの13年10月までの5年間に増加した外貨資金は、約1兆8千億ドル。FRBがQE1〜2を通じて増刷したドルの約8割に相当する巨額のドルの流入が、中国全土で不動産バブルを膨張させたのだ。

(イ)不動産価値総額がGDPの4倍を超えた
  「全国不動産の総額は、GDPの4倍を超え」(中国著名評論家牛刀氏)、「日本のバブル時を上回った」との日本側推計もある。
  その一方で、「北京、上海の空室マンションは、それぞれ380万戸、400万戸にのぼる」という。

(ウ)地方政府の債務が320兆円を超えた
  リーマン・ショック後の経済失速を恐れた胡錦濤前政権の4兆元(約64兆円)景気対策に悪乗りした地方政府が、無謀な公共事業を強行し、これが不良債務の山を築き、「総額は20兆元(約320兆円)を超えた」(項懐誠元財務相)という。

(エ)企業部門の債務も膨大:1040兆円と、日本のGDPの約2倍
  鉄鋼、アルミ、造船など構造不況部門がひしめくようになった企業部門の総債務は「昨12年に65兆元(約1040兆円)」(モルガン・スタンレー推計)に上るらしい。

(3)最後の引き金は、米国による金利引き上げ
  上記のように中国は、不動産バブル崩壊が、地方財政の破綻、国有企業の破綻へと波及し、更にこれらが4大国有銀行を直撃する・・・との最悪のシナリオを招きかねないところまで追い込まれている。
  その最後の引き金を押すのは、どうやら米国が金融緩和を縮小し、利上げに踏み切ることだろう。これを機に、巨額のドル資金が一斉に本国に還流し始めるのを、誰よりも恐れているのは、習近平政権だろう。

3.小生コメント
(1)日本も巻き込まれる恐れ
  米国が金融緩和を縮小し、利上げに踏み切った時、もしかすると日本もこれまで、低金利故に気軽に放置できていた国債金利が上昇し、国家財政が大ピンチに陥る可能性に晒されるかもしれない。米国にとっては、中国ばかりか、ついでに日本国に対しても、「2度目のマネー敗戦」を味わわせるチャンスとなるのかもしれない。

  89年に日本国は、「汗水たらして働き、ドルをためるだけではダメだ、金融政策という、高度な技術でも油断してはいけない」、と学んだはずだ。来年初頭とか、あるいはそれより少し先に、「米国が満を持した後に、金利引き上げという手段に出たら」、中国経済は吹っ飛び、日本経済も大打撃を受けるのかもしれない。日本としては、金利上昇を警戒して、円高政策へと舵を切るとか、財政均衡を急ぐとか、何らかの早目の対策が必要なのではなかろうか。

(2)中国以上に、他の新興諸国も打撃を受けかねない
  ちなみに、既に新興諸国(BRICS+トルコ、ベトナム、インドネシア)などの経済では、成長率の鈍化で、現地金利が上昇に転じた国が多いと聞く。ブラジル、トルコなども、ドル資金の流入が減り(或は、むしろドル資金は中南米から流出し始めたらしい)、不況側面に入りだしたらしい。米国が金利引き上げを断行すれば、世界中の後進国が、更にひどい不況に突入するのではなかろうか。世界規模の大不況となれば、石油、天然ガス輸出に依存するロシアの経済も危うい。

(3)東アジアに、元と円の経済圏ができる??
  東南アジアなどでは、中国元のより多くの流通で、何とかドル欠乏を補う方向となり、むしろ中国元の経済圏が誕生するのかも??
  日本国も、東アジアを中心に、円経済圏を対抗して樹立していかないと、元の一方的流通拡大で、日本経済がますます影の薄い存在となるのかもしれない。円をもっと流通させて、円資金が外国でももっと流通するようにしておけば、国債の日銀買い入れで膨張した円資金も、急に叩き売られて価値が激減し、超円安、という危機に陥らずに済むかもしれない。もっとも、円決済の増加は、そう短期的には実現しえない目標かもしれないが、東南アジア、東アジアでは、追求していくべき目標であろう。

(4)米民主党の金融政策は??
  いずれにせよ、米国の金融政策については、より慎重に監視していかないと、わが国も、大きな打撃を受けかねない。もっとも、ドル高政策でソ連を追い込んだレーガン政権は、共和党政権で、民主党政権ではなかった。オバマ政権が、レーガンの真似をするのか、小生には分らない。しかし、最近のオバマ政権の行き詰まり状況から言えば、何か大きな仕掛けを博打的に打ってくるのかも、という気がする。ともかく、経済というのは、理論はどうあれ、実は不可思議な作用も多い。

  中国潰しに、どういう金融政策が米国から発動されうるのか、どの方策が米国にとっての起死回生に繋がるのか。金融マフィアたちは、もっと緻密な計算をしていることだろう。

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世界における巨大な政府債務蓄積の現状をどう考えるか?
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ブルガリア研究室
2015/09/17 18:00

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 産経新聞の記事は興味深いですね。それに引き替え河北新報ではこのような分析はないし、読者コーナーでも相も変わらず隣国との友好の声ばかり。今日も安重根を義士と言わんばかりの自称郷土史家の投稿がありました。

 米国が中国に対しても、金融策略を仕掛けるのは当然でしょうね。日本もそれに巻き込まれ、「2度目のマネー敗戦」になるというのは悪夢です。米国が中国の人権蹂躙を無視して投資を続けてきたのも、国際金融マフィアの冷徹な計算があったようですね。
 日本と中国の緊張関係も、米国が糸を引いている…と見るのは何も陰謀論ばかりとは言えないかもしれません。日中が対立してくれた方が米国には有利だし、この両国が経済面で沈んだ方が得です。

 日本政府も金融政策をしっかりやってほしいものですが、この方面にもおそらく米国のスパイがいて監視している…と思うのは陰謀論でしょうか。とかく日本でスパイというと、中朝韓露のイメージがありますが、それに劣らず米もいるはず。
mugi
2013/12/03 21:31
mugiさんこんにちは、
 小生の今回の推論は、産経紙の山本勲氏の記事に触発されたものです。例のごとく、新聞記事の切り抜きを1か月半ほどためて整理しているうちに、この二つの記事に気が付きました。毎日新聞を読んでいるときは、ともかくさっと目を通すだけなので、必ずしもこういう考察には結びつかないけど、整理の時はじっくり切り抜きを熟読して考えてみます。
 そもそも、諜報というのは、最近のスノーデン氏の「暴露」で明らかになった通り、友好国の人間に対しても目を光らせ、何らかの面白い情報がないかと監視するものです。また、国家戦略、政策の発動は、自国の国益を最優先して発動するから、同盟国とて、その利害が必ず尊重されるものと安心していても無駄です。
 米国が中国を狙って発動する金融政策で、日本が巻き添えの敗北を喫しても、それを気にする米国でしょうか?

 金融戦争では、金融、相場というのは動くもの。一本調子に景気が上向いている今のようなアベノミクス理論も、どこかで、何かの仕掛けを受ければ、あっという間に逆回転しうる、ということを常に用心すべきです。一本調子の上向きで皆が株式を買いに走り、円安を想定しているけど、いつの間にかドルが値上がりし、ユーロも値上がりし、円だけが安くなっている。円安で短期的には日本の輸出は好調というけど、その割には貿易収支は赤字続きになってしまった。高価格で原油と天然ガスを買いまくるからです。円高でも貿易黒字を記録し、デフレでも生き残ってきた「我慢強い経済構造」の利点が殺がれているのかも。日銀も、円を刷りまくってばかりで、輸入価格を引き上げているから、貿易赤字が増える。そろそろ円高方向とか、財政規律強化に舵を切り替えないといけないのに、景気ばかり重視して、来年の消費増税と同時に景気対策に何兆円も使うという・・・政府の方針が両張りでは、効果は怪しい。
 
室長
2013/12/04 10:58
(続)
 TPP交渉も、もしかしたら、米国による金融戦争の仕掛けと何らかの関係があるのかもしれない、と小生は疑惑の目で見始めています。中国は潰してほしいけど、日本も巻き添えはごめんです。

 原発全廃論とか、無謀な話が蔓延しています。原発は、既に投資して作ってしまったものについては、ぎりぎり使用期限を延長してまで、使える限り発電して、コスト回収してから、廃炉とすべきです。廃炉には多額の金と、年月と、新技術も必要となる。廃炉までの費用を考えれば、コストが高い…という議論は、今ではわかるけど、建設当時はそう言う見通しではなかった。化石燃料の節約と安い電力で産業競争力をもたらしたし、燃料はプルトニウムを回収してからプルトニウムを使う高速増殖炉で再度燃焼すれば、ほぼ永遠にタダみたいな燃料代で安い電力が賄えると考えられた。高速増殖炉の技術が行き詰った(失敗した)ので、原発はコスト的にも高いものとみなされ始めたのです。
 作った以上は、安い電力を使用期限ぎりぎりまで生産させ、コストを回収してから廃炉にすべきです。コスト回収も何もできていない段階から、廃炉を優先すれば、大損だけが残る。当たり前の話が、いつの間にか、忘れられている。巨大地震、巨大津波(数百年、1千年に一度)を前提にして、不安心ばかり煽る、そういう非論理的な議論は、極左に走った山本太郎だけにしてほしい。
 逆に英国では、地震も津波もないから、安全だとして、とうとう新規の原発建設に踏み切り始めた。仏技術と中国マネーを導入して、新規の原子炉を建設していくという。現実主義の英国らしい好判断だ。
室長
2013/12/04 11:01

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