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zoom RSS 米国の金融戦略が、新興国経済を破綻へと追い込んでいるらしい

<<   作成日時 : 2015/08/21 09:53   >>

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  最近の国際関係情報を眺めていると、韓国、中国発のネット紙で、意外と面白い記事が見付かった。

  中・韓両国が、「衰退する米国」と米国をバカにして、じゃれあっている様を小生は苦々しく見ていたのだが、その間に、着々と米国の金融戦略が効果を挙げ、両国経済が追い詰められている模様なのだ。もちろん、この米国の戦略には裏で日本国も参加し、中・韓両国の経済的凋落を仕掛けている・・・と言うことかもしれない(日本のアベノミクスと言う戦略の経済的有効性については、日本の経済学者からも疑問視されている側面があるものの、対中国経済壊滅作戦として、米国の仕掛ける金融戦略の一翼を担うという視点で見れば、合理性がある。すなわち、国際競争力と言う視点から見れば、中国、韓国の双方とも、日本に国際市場全般で、敗北を喫しつつあるように見えるから)。

  また、日本国の実力そのものに関しても、不思議と言うか、中国が客観的な視点で、「実は失われた20年、などと日本人が嘆いているのは、ごまかしで、本当は日本国は国内の成長が鈍ったものの、対外投資で成功し、外国所在の資産を含めた国富全体はしっかり成長している」、と報じているのだ。小生としては、この中国報道にはたまげてしまったが、確かに、タイ国に進出し、工場を保有している日本企業の多さとか、他にも、ベトナム、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、などにも続々と日本資本が進出していることが、TV東京の報道などでもよく取り上げられているので、案外在外資産を加えて総合すれば、日本の国富全体は伸びているという分析も当たっている気がする。
  以下に、上記と関連する報道を引用する。

1.新興国からの資金引き揚げ続く…13カ月間に9402億ドル
  (「中央日報」日本語版 8月20日(木)、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150820-00000005-cnippou-kr。なお、下記記事の小見出しは、小生が付けたもので、原文ではありません。)

(1)新興国市場に投資されたドル資金の引き揚げが加速している:13カ月で約1兆j
  「ドル祭り」が終わりつつある。オランダの投資諮問会社NNインベストメントパートナーズ(NNIP)は17日に発表した報告書で、「過去13カ月間に中国などメジャー新興国19カ国から流出した外国人資本は9402億ドルに達する」と明らかにした。

  NNIPの新興市場投資戦略家マルテン・ヤン・バクム氏はこの日報告書で「流動性が豊富な時期に新興国に流れ込んだ資金を考慮すれば約1兆ドルは相当な規模」と説明した。

(2)米国のQEの時期、米国から5年間で約2--2.5兆jが新興国に流れた
  どれくらい流れ込んだのだろうか。ゴールドマンサックスなどは2008年11月〜2014年10月の米国の量的緩和時期に新興市場に流入した資金を2兆〜2兆5000億ドルとみている。NNIPの集計通りならすでに半分近くが抜け出た(逆流した)ことになる。

(3)量的緩和停止と基準金利引き上げを示唆しただけで、新興国からドル資金が逆流
  2種類の力が同時に作用したためだ。最近のドル逆流は米国が量的緩和を中断し、基準金利引き上げを示唆して始まった。同時に新興国の内部要因も作用している。トムソンロイターは18日、専門家の話として「中国は景気鈍化、ブラジルや南アフリカなどは原材料価格暴落で投資魅力を失っている」と指摘した。

(4)メジャー級資本逆流だ
  最近の資金離脱は米カリフォルニア州立大学バークレー校のバリー・アイケングリーン教授(経済学)が話した歴代メジャー級資本逆流として記録されるに値する。彼は1980年代初めの対外債務危機、90年代のメキシコ・アジア金融危機、2008年の米国発金融危機などをメジャー資本逆流に挙げた。
  ところがNNIPは「最近の資金離脱は米国発金融危機の時より深刻だ」とした。実際に2008〜2009年に新興国を離脱した外国資本は5452億ドル程度と推定された。これは過去1年ほどの間に新興国を抜け出た資金の57%にしかならない。

(5)今回の逆流で、中国、ブラジル、ロシア、南アフリカと言った主要新興国経済が直撃されている
  離脱規模が大きいだけに“流動性二日酔い現象”(liquidity binge)があちこちで続出している。中国とブラジル、ロシア、南アフリカなど主要新興国の株式・債券価格が下落した。そのためこれらの国の通貨価値も劣勢を見せた。フィナンシャルタイムズ(FT)は「通貨価値下落がまた資本離脱をあおっている」と伝えた。資本離脱時期の典型的な悪循環だ。新興国経済が成長鈍化と通貨価値下落でぐらついている状況で続く資本離脱は、輸入需要減少と内需萎縮につながる恐れがある。これは世界的な需要鈍化を引き起こし世界経済にも衝撃を与えかねない。

  バクム氏は、「人民元切り下げが当分(新興国からの資本離脱速度を増加させる)触媒役割をするだろう」と説明した。中国は量的緩和時代に巨大な資金貯水池だった。新興国に投資された2兆〜2兆5000億ドルのうち半分が中国に流れ込んだというのがゴールドマンサックスなどの推算だ。ところが最近中国の外貨準備高が明確に減っている。貯水池の堤防に隙間ができている格好だ。

  歴史的に見れば新興国に流れ込んだ資金が全額抜け出ることはなかった。ある瞬間に止まるほかない引き潮現象と似た形だった。その日はいつだろうか。金融専門グローバルファイナンスは「最近のドル移動は米国の基準金利引き上げ幅と速度が不確実なことから起きているというのが専門家らの分析」と伝えた。米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を上げ始めればむしろドル逆流が落ち着くだろうという分析だ。

  (小生注:ちなみに、7月26日付朝日新聞記事は、「減速する新興国」と題する記事で、原油などの資源安、中国成長の停滞、及び従来金融緩和で新興国へ大量の資金の流れを後押ししてきた米国も、今では景気回復で利上げを睨んでいる、として、苦境に陥っている新興国経済について概観している(中国、ロシアについては論じていない)。
  同記事によれば、新興国の通貨の力とか、資源輸出国と、輸入国の差などを図示して、異なる影響があることを説いている。概して、資源輸入国が相対的によく情勢に対応しているが、輸出国は資源価格の下落で苦境に陥っているという。(注:通貨の数字は、対米ドルの下落率で、2012年6月1日と15年6月1日の通貨レートの比較による。
  資源輸出国:経常黒字国:マレイシア(リンギ:▽15%)、経常赤字国:ブラジル(レアル:▽56%)、南アフリカ(ランド:▽43%)、インドネシア(ルピア:▽42%)。
  資源輸入国:経常黒字国:シンガポール(ドル、▽5%)、経常赤字国:トルコ(リラ:▽44%)、インド(ルピー、▽14%)。
  ちなみに、上記の経常赤字国のうち、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、トルコ、インドの5カ国は、従来から「フラジャイル・ファイヴ(Fragile Five=虚弱な5カ国)」と呼ばれてきたが、その中でインドのみは「耐性」を付けてきている。インドの場合は、原油消費量の8割を輸入に依存しているので、原油安のおかげで物価高が一服した、と言う。

  ドルの量的緩和で、大量に国際社会にドル資金がばらまかれ、一時的に新興国経済が急成長を遂げたものの、中国経済が減速して、資源の中国による「爆買い」が収束すると、世界経済全体が停滞し、特に資源価格の高騰が収束して、資源輸出国経済が低迷を始めたのだ。かくして、新興国経済の停滞、他方で、先進国経済の相対的な復活、と言う現象が起きているとも言える。
  ちなみに、2012年末の円レートは、1ドル=83.6円だったが、今は124円ほどだから、円もおおよそ▽48%と大きく通貨価値を下げているので、トルコ、南アフリカ、インドネシア並とも言えるので、威張れたものではないのだが、ただし、日本の場合、何とか経常収支が黒字に回復しているので、上記諸国に比べれば、何とか耐えているし、ましと言える
。)


2.日本に「ステルス資産」・・・忍者のごとく隠す実力=中国国営メディア
   (サーチナ :7月11日(土)、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150711-00000048-scn-bus_all。上記と同じく、小見出しは小生が付けたもの。)

(1)空白の20年は、日本の煙幕
  中国国営通信社・新華社は7月7日「隠された日本の実力」と題する分析記事を掲載した。日本の「外から見えにくい真の力」には、海外における膨大な資産もあると主張した。

  記事は、戦後になり日本が手に入れた「国力向上の土台」として、平和主義や法治主義、「所得倍増」などでまず国民を豊かにしたことを挙げた。国民については物質的に豊かになったことで、「精神的な豊かさ」も向上したとして、「日本人の高い民度」にもつながった、との考えを示した。

  日本経済については「停滞」と言われてはいるが、実際には着実に成長してきたと主張。いわる「空白の20年」も、日本の「煙幕」と主張した。

(2)日本の海外資産総額は、本国資産の1.5倍もある
  日本の「目に見えにくい」実力を示す例として「海外資産の総額は本国資産の1.5倍以上」を挙げた。日本の企業・組織・個人が保有する外国の証券や債券、海外への直接投資、政府の外貨準備の合計は2012年末には前年同期比13.8%増の662兆円に達したと指摘。

  2013年以降は円安により、海外資産額が円建てでは押し上げられてしまうことになったが、記事は2014年末にも日本が保有する海外資産は前年同期比19%増の約945兆円、純資産額では13%増の約367兆円であり「日本は24年間連続で世界最大の債権国」と紹介。
    (小生注:単純に考えれば、日本国政府負債総額が1000兆円を超えるというが、海外資産でほぼ担保されている、と言う風に見ることもできる。)

(3)対外負債増も、対日外国投資が増えているという意味でプラスの兆候
  一方では、日本の対外負債は前年同期比23%増の約578兆円と指摘し、外国から日本への投資が増えているなど、日本を巡る資金の動きが極めて活発であることを強調した。

(4)海外に確保した資源供給地は、本土面積の10倍もある
  記事は、日本の海外投資としては「資源の確保」も重視。戦前の日本は領土や勢力圏の拡大を目指したが、「方法の根本的変換」を迫られた戦後の日本は、経済援助や技術援助を組み合わせる方式で資源国との関係を改善したと指摘。
  日本が確保した海外の資源供給地が、本土の面積の10倍にも達したと「驚嘆」し、政府と企業、事業体が力を合わせて全世界規模で、かつ安定した「資源供給システム」を構築したとの見方を示した。

  記事は中国人について、「世界第2の経済体(国)になった」ことなどで、「うぬぼれ喜んでいる」と、自国民の“能天気さ”を強調すると同時に、日本は「忍者のごとく」自らを隠していると主張。十数年前から「経済が没落した」と泣き嘆いているのは「陰謀」であり、日本は自らが必要と判断した際には「相手の不意を打つ奇襲」をする国と決めつけた。

  (小生注:中国の政府系通信社が、このように日本国の経済力を礼讃していることは驚くほかないが、小生自身、日本が多くの資本を東南アジア、その他に投資して築き上げた在外資産が本国の1.5倍に上るとか、在外に保有する資源供給地が、本土面積の10倍もあるとか言われると、眉唾な気にもなる。とはいえ、最近習近平(Xi Jinping)政権が、徐々に対日融和へと戦略を変えつつあるのは、恐らくこの記事のように、日本の実力に気付き、対日敵対、攻勢の時期を先送りしたからかもしれない。

  そう言えば、最近見たTV東京の番組(8月16日夜、「未来世紀ジパング」、池上彰の解説)で「エチオピア」に巨大インフラ投資している中国が、近年は、高速道路建設現場などでも、中国資本は現地人を雇用していて(以前は、多数の労働者は全て中国本国から送り込み、地元の雇用に繋がらないことから、現地の反発があった)、地元からも感謝されていると報道していた。中国も、投資に際しては、現地政府幹部に賄賂を贈るばかりではなく、一般大衆にも利益をもたらす必要性があるということを理解し始めたという。そういう意味では、中国は、対外政策の分野で、以前よりも進化してきていて、日本としても、警戒すべきようだ。

  また、この番組で、今ではエチオピアが「チャイナ+ワン」として、世界の製造拠点となってきていて、成長率が10%を超えて今や世界一というので、小生も驚いた。中国の世界への進出も、徐々に洗練さを加えてきているとすれば、益々警戒すべきであり、この記事のように、奇妙に日本を称賛しているように見える場合も、実際には、自国の将来への指針として、日本に学ぶ点はきちんと踏まえていると見るべきかもしれない。

  とはいえ、バブルが崩壊した1990年頃からGDPが500兆円からちっとも増えない、平均給与もむしろ減っていき、増えない、と憂いてきた小生にとっては、その間日本企業は海外投資して、海外に巨大な資産を築いてきた、総合的な国富は、着実に増えている、と言われると、少しは安心する気にもなる。他方で、それを中国人がきちんと把握しているが、日本国内の報道では、あまりこれを知ることは無かった、と言うところが、どうも癪だ。日本の新聞も、このような分析をきちんとすべきであろう
。)

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内 容 ニックネーム/日時
政府の負債は(国内での「円」の貸し借りなので)国内の家計資産などで相殺されていて、他に対外純資産が約367兆円(3兆ドル)あるということです。

この対外純資産からの利子などの所得収支があるために、貿易収支が赤字でも経常収支が黒字になっています。もはや日本は貿易立国ではなくて投資立国とも言えます。

ただ、先進国が先進国であるのは、教育やインフラといった差別化要因に支えられた圧倒的な製造業の生産性です。投資は資金さえあればどの国でもできるわけで、投資立国で今後ずっと行けるかというと疑問です。

もう少し世界が豊かになれば、日本的な細やかな配慮のある製品が売れると思うんですけどね。米国や中韓はそういうの無理だから。
motton
2015/08/21 18:04
こんにちは、
 経済学というのは、小生本当は苦手で、きちんと勉強はしていないけど、ブルガリアで経済統計を分析したことが、少しは役立っています。
 日本の場合、やたらに政府債務を増やし過ぎで、この点は相変わらずどこでどういう風にケリをつけるのか、不思議ですが、国内の貯蓄でバランスされていて、対外債務と言う形での負担は少ないのが救いらしい。

 英国、アイルランドなどでは、富裕層は南アフリカの鉱山とか、米国企業などの株式を資産として持っているなど、銀行預金一本しか管理できない小生とは違うなーと思いました。他方で、労働者階級は、そういう株式投資とは縁がないのですが、それでも、南欧などには旅行に行ける。英国でも60年代とかに技師として活躍した娘の義父などは、それなりに余裕のある貯蓄があるらしく、子息、娘たちの低賃金を補う形で、年に2度ほどは南欧を中心に海外旅行する(子息、娘の家族の旅費も支払う)。ある意味で、欧州先進国の人々は、近場のギリシャ、スペインなどの南欧諸国とかは、日本の国内旅行並みの感覚でレジャーを採れるのが凄いです。しかも、旅行期間が2週間とか、長い事例も多い。ツアー代金が相対的には安いこともその理由の一つですが。
室長
2015/08/22 17:52

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