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zoom RSS 英国民のEU離脱選択について

<<   作成日時 : 2016/06/26 16:22   >>

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 本当に意外と言うか、驚きの選択がなされました。
 小生も、TVなど、マスコミの報道に頼っていたので・・・・それに株価の動向など経済界の動きを重視していたので、まさかこんな結果になるとは考えてもいませんでした。株屋さんが、ここまで大きく情勢判断を外すとは、それも驚きでした。
 あれよあれよと見つめる内に、24日、金曜日のお昼には、BBCが離脱側勝利との判定を報道しました。ビックリポンですね。
 以下に、小生としても、少し考えるところを書いておきます。

1.元英国在住者は、離脱後の評価として、EU本部を牛耳る欧州のエリートたちが、民主主義の原則を無視して、自分たちの独断による理想論に走りすぎて、民意を無視する体制を作ったことが離反の原因と論評
  この不可思議な現象に関し、2年前まではロンドンで暮らしていたBehemothさんが、至極まともな評論を展開されていて、感心しました:http://behemothsscroll.blog.fc2.com/blog-entry-855.html

2.EU統合の理想主義故に、域内後進国は経済的メリットが大、他方で、域内先進国にとっては、EU法令に基づく数多くの規制の押し付け、主権制限、分担金負担、など、義務ばかりが多く、メリットが見えにくい、と言う風に、EU本部と加盟国の間には、壁が大きくなってきていた

(1)英国民がブラッセルに対して感じた違和感
  上記のBehemosさんの推測通り、やはりブラッセルに象徴される欧州本部のエリート主義、自分たちだけが分る論理で、多くの欧州諸国市民らの民意などは、ほぼ無視して、勝手な政策をやり放題、と言う、非民主的な政策を、「欧州統合」を「お題目(スローガン、目くらまし)」として掲げつつ、庶民には理解不可能な、理想主義を上から目線で押し付けるやり方には、各国の国民、庶民が、秘かにフラストレーションを抱えたことが理解できる気がします。

  国家統合とは、要するに、個々の加盟国の主権の制限だし、主権制限とは、即ち民主主義に反することだし、各国の民意に反するような上から目線での理想論の押し付けであった・・・・これに対し、まともな英国民が、「自分たちの民意に立った、自分たち好みの政策を遂行するのが本当の民主主義でしょ」と反逆した。ある意味分り易い構図と言える。
  つまり、28カ国もを束ねるブラッセルによる統合は、中立的、抽象的、そして無色透明的な価値観となる傾向があって、英国人が好むティーの味とか、Cheddar cheeseの味とかは無視して、欧州大陸式のコーヒーとかゴーダ・チーズの味に統一されていく、と言う感覚に似ているのかも。日本人だって、太平洋戦争の最終局面で、拘ったのは、「国体の維持」と言う点で、中身としては要するに、天皇制と国民主権の維持、或いは味噌汁の味は日本式に、と言うことにあったはずだ(小生注:渡部昇一氏の『読む年表:日本の歴史』(WAC文庫)によれば、戦後GHQは、日本がポツダム宣言受諾時に付した「条件」を全て無視し、勝手な占領政策で、日本の国体を歪めたという。)。

(2)ブル国民には、基本的に「お金を出してくれるブラッセルはイイ鴨」
  小生は、ブルガリアの報道を観察しているので、ブルとEUとの間の関係などについても見ているので、ブル国民のEUに対する感情なども、いくらか分る気がする。

  ブル国民にとっては、EUとは、自分たちの資金不足を補ってくれる、「援助」を提供してくれる、気前のいい「旦那」、或いは「支援機関」、或いは、「移動の自由で行くことが保証されているEU先進諸国」は、給与の高い職場を探せる就職先、と言う感覚で、後進国ゆえにEUへの一定の忠誠心も表明する。ともかく、EU加盟国の特権として、これだけ貧しいのだと訴えれば、お金が出てくる、一定のルールを理解して、陳情書とか、計画書を提出すれば、お金をくれる便利な「旦那」がブラッセルだと言うこと。
 他方では、EU本部というエリートたちの考える勝手な理論で、バルカンと言う遅れた社会には実行不可能な、無理難題・・・・例えば談合はダメ、汚職はダメ、司法界の腐敗もだめ、などと、遅れた国家における潤滑剤、或はコネの必要性を理解せず、理想論を押し付けてくる厄介な側面もある。

  その上、貧しい国にでも、中東、アフリカからの移民を受け入れるべき、などと理想論を押し付けてくる厄介な「おやじ」でもある。ブルの場合は、初めからトルコ系、ジプシー系のイスラム教徒が国内に多数存在する上に、更に中東出身のイスラム教徒たちをも受け入れろと言われても、実はトルコ系のイスラム教徒たちですら、アラブ人、アフガニスタン人などの他国のムスリムに対する同情心は低いのだ。

(3)各国の血税から成る分担金のはずが、ブラッセルの官僚たち、ストラスブールの欧州議員たちの高額すぎる給与に化けていて、腹が立つ
  更に今回の英国離脱派の宣伝で明らかになったように、EU域内の先進国の一般市民にとっても(もちろん、ブルなどの域内後進国市民にとっては想像できないほどの)、ブラッセルの官僚の高給ぶり、欧州議員の高給ぶり、などは、自国の官僚、国会議員との格差が凄すぎて、なぜこんな連中に、これほどの高い賃金を支払わねばならないのか、癪の種でもあったと思う。

  ブル人にとっても、自国内で政治的成功を収めるよりも、実際には欧州議員となって高給を食むほうが、個人的所得としては得なのだ。また、EUでコミッショナー職に就いたり、それ以外でも高級官僚としての職務に就ければ、普通にEU先進国に就職先を見付けて移民・移住するよりは、よほど高い生活水準を手に入れることができるのだ。

3.グローバリズムとナショナリズムの相克
(1)エリート層と一般市民の間の格差増大への恨み
  ブル国内の秀才たちは、まず、ドイツ、英国などの域内先進国で有利な就職口を見付けて去っていくので、国内には優秀な若者は残らない。一番切実な問題は、医師などの専門家は、ほとんどが医大を卒業直後から、域内の先進国の病院に就職していき、ブル国内には残らない。すなわち、国内に残るのは、ダメな2流の人材だけと言うこと。
  そして、国内に残った普通以下の成績しか収められなかった若者たちは、例え国内で就職先を見つけえても、その給与は、域内先進国に出稼ぎ移民した、これまでの高校の同級生、或いは大学の同級生たちに比べて、1/4、1/6・・・1/10の低い給与しか期待できない、と言うこと。
  
  英国の場合でも、City(ロンドンの金融街)に勤務先を得られた秀才たちは高給を得ていても、就職口が少ない大学の学部(文学部、芸術系学部など)を卒業した場合などは、何らの就職口も見つからず、初めから失業状態で、非正規労働(バイトなども)の職場しか見つからない上に、単純労働の職場は、その多くが旧東欧諸国から来た若者たちによって奪われ、失業状態から抜け出しえないことが、癪の種となる。
(小生注:小生の二女とその夫は、英国の芸術系単科大学を卒業したのだが、卒業後、家賃の高いロンドンを避け、西部のBathと言う田舎町で職場を探したが、就職口は夫婦ともに店の売り子程度しかなく、賃金も安くて生活が安定しなかった。10年ほど経て意を決してロンドンに戻り、親(夫の父親+小生も出した)からの借金で頭金を支払ってアパートを買い求め、定住の住所を持ったら、ロンドンでは就職口がなんとか見つかり(夫は父親のコネも効いて職を得た)、生活が安定した。英国生まれの生粋の自国人の夫ですら、コネにまで頼らねば、まともな就職先は見付からないのだ。小生の娘は、育児の必要性から、週末夫が子供を見てくれる土日のみ、売り子として以前からの職場で勤務しているが、職場の同僚はモルドバ人だ。娘のアパートが存在するロンドン市内西部でも、商店街にはポーランド系食品店などがあるほか、タイ系、ギリシャ系、トルコ系、ペルシャ系などのレストランが目白押しで、他方で英国系のパブは倒産して、跡地は普通のアパート建設に利用されていく。

  この故に、EU統合による「利益」などは、彼らには全く見えず、むしろ、大英帝国時代のように、自国の産業は自国民のみが取り仕切って行けばうまくいくはずと考えることになる。EU統合と言う、小規模なグローバリズムが、移民数を想定以上に増やしてしまい、英国内の就職事情を悪化させているのだ。
  実を言えば、東欧からの移民が増える以前から、旧大英帝国市民であった西アジア(インド、パキスタン)からの移民とか、或いはカリブ海地域の旧植民地からの黒人移民たちが多数英国に移民として押し寄せ、その段階ですら、多くの職場が奪われて、一般市民は苦々しく思っていたのだ。それなのに、英国内の農場労働者、建築業における作業員、清掃夫など、数々の職場が、東欧移民によって奪われていくのでは、英国庶民が将来を悲観することは、不思議ではない。

(2)モノづくり産業の衰退による焦り
  元来、英国は産業革命の先進国として、国内に多くの工業労働者を抱えた、そういう意味で産業化による国造りの先進国であった。

  ところが、第二次大戦で戦勝国となったにもかかわらず、勝利の報酬は少なく、工業国としての成功は、戦後再びドイツによって奪われてしまった。
  英国自体の自動車産業は、やがて日本資本、或はドイツ資本、米国資本による自動車産業として、何とか生き残ってはいるが、造船業、航空機工業などの分野では、徐々に競争力が低まり、雇用は少なくなっていった。
  
  そもそも、欧州全体としても、ドイツを例外として、韓国、中国などの低賃金国による工業分野の簒奪によって、どんどんモノづくり企業が衰退し、雇用は激減していったのだ。Dysonを除けば、英国に力強い工業企業などは、ほとんど生き残っていないとも言える。
  つまりは、グローバルな競争そのものが、良いシステムとは思えなくなって当然とも言える。同じように、モノづくり工業が衰退傾向の米国でも、トランプ候補などが、グローバリズムの弊害を唱え、ナショナリズムに立脚しての、関税障壁に期待している。

(3)黄色人種への反感
  すなわち、グローバルな競争においては、低賃金、子だくさん、その他の不公平な条件と言うからくりがあるのだから、これら不公平な競争相手には、関税障壁でバリアーを築き、国内の労働者を守るべきだ、と言う声となる。

  別の言葉で言えば、従来の「貿易自由化」という原則を後退せしめても、貧困化した白人たちに有利な条件を再構築して、雇用を確保し、経済的な繁栄を取り戻すべきだ・・・・黄色人種に勝手に世界貿易を独占されてたまるか・・・という人種差別的な、第二次大戦直前(排日移民法が成立した)のような、格差解消のための独善的な方策を絡み合わせた人種差別主義が、再度台頭してきていると考えられる。

  トランプ氏が、中国を批判するのではなく、日本や韓国をやり玉に挙げる事例が多いのは、同人の意識が1980年代で止まっているせいばかりではなく、根本的な思考が、黄色人種対白人と言う対立軸にあるからかもしれない。ただし、不動産屋が本業のトランプ氏にとっては中国人が顧客だから、今のところ中国人は批判しないのだ。また、トランプ氏が、まず最初にメキシカンとかムスリムを攻撃したのは、その方がまず目立つ攻撃ターゲットだったからであり、本当は黄色人種への攻撃、差別こそが、米国における工業分野の再生には必要な施策であると考えている可能性も危惧される。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 英国のEU離脱は本当に驚きました。僅差で残留派が勝利すると思いきや、完全な番狂わせでしたね。日本としては英国がEUに残った方が経済的にトクですが、離脱を選んだ英国人の気持ちは理解できます。パナマ文書で名が出ていたため、いくら残留キャンペーンを垂れ流しても、キャメロンは不利だったと思います。
 この件で質問した日本人に、面白いことを言った英国人がいました。「日本の最高裁がソウルにあり、国会が中国にあったら嫌でしょう」。正にその通り。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1887046.html

 日本のメディアでは盛んに残留支持者の声を中心に紹介していますが、既にロンドンでは英国人の方が過半数以下になっているそうですね。市長はパキスタン系移民2世だし、東京の近未来がそうならないことを祈りたい。
 グローバリズムが行き詰まると、台頭するのはナショナリズムなのは確実でしょう。トランプの真意に有色人種、殊に叩きやすい日本人のような黄色人種へのレイシズムというのは私も薄々感じています。メキシカンとかムスリムを攻撃するのも、叩きやすいターゲットだからです。
mugi
2016/06/27 21:41
こんにちは、
 本文でも紹介した渡部昇一氏の「日本の歴史」によれば、Smoot-Hawley Tariff Act=スムート・ホーリー法という、米国が自国企業を守るため関税障壁をやたらに高くして、自国産業を保護しようという法令が、米国議会で1929年(昭和4年)に上程され、これに対抗して大英帝国も自由貿易制度を捨て、ブロック経済構築へと走ったことが、世界恐慌を引き起こし、持たざる国であるドイツ、日本を追い込んだという。確かに、日本も日満ブロック経済体制を構築して、米英など「持てる国」による巨大ブロックに対抗して、自らが生き延びるための経済圏を持つ必要性と言うことを考えざるを得なくなったし、生き残りのためにも軍事力の行使をためらわなくなった・・・軍隊にに依存せざるを得ないとの意識が生じた。

 いま世界的現象として起きていることを、宮家邦彦氏は「ダークサイドの覚醒」と呼んでおられる(http://www.sankei.com/column/news/160627/clm1606270005-n1.html)けど、要するに、自国の利益の短期的な最大化しか視野にない、偏狭なナショナリズムで、異邦人、外国に対する敵意が拡大、強化され、全ての考え方が「内向き」へと傾いていることを指す。つまりは、第二次大戦にドイツ、日本を追い込んだのと同様の現象が欧米で生れつつある、と言うことが懸念されるようだ。

  我々の視点から言えば、現状破壊勢力である中国、ロシアは危険極まりない新興勢力のはずだが、英国も、ドイツも、短期的利益の視点から、政府を挙げて取り入り、中国と提携し、中国からの投資とか、中国への輸出などに懸命の努力をしている。
 
室長
2016/06/28 10:21
(続)
 今回小生は、東欧からの英国への移民の増大を最大の英国民への脅威として描きましたが、日本での議論では、若者と中高年の意識差を強調する論調が多いように思う。
 この点小生は、優秀で、意欲的な若者は、欧州に出て行って成功のチャンスをつかもうという意識が強いとの論評に、違和感を持っています。若者であれ、中高年であれ、英国を飛び出して、欧州大陸で、或は米国、カナダで成功できるほどのエリートであれば、確かに「英国内に閉じこもろう」と言う感覚は少ないかもしれないけど、そういう勝ち組は実際には少数派だと思う。

  今回の離脱派の勝利は、やはり、かつての英国植民地からの移民の波以上に、やたらに東欧からの移民たちが目立ち過ぎ、周囲の住宅、職場を次々に奪っていくことへの反感が非エリート層の若者にも強かったし、そういう非エリートの若者を親として日々経済的にも支援しなければならない中高年層が、このままでは子供たちだけではなく、孫たちの将来は無い・・・・と悲観して、本来の英国市民としての利害を守ろうと動いた・・・・と言う視点が重要だと思う。小生が、自分の二女家族の置かれた状況にも言及したのは、あまりにも急速にグローバリズムが進展することの危険性を理解してほしかったから。

  単なる空論ではなく、実際的な脅威が日々感じられる英国社会の実情を知るべきだし、その危機感は、未だに大国としての余裕のある米国とは比べ物にならないと思う。
室長
2016/06/28 10:36
内閣官房内閣審議官の谷口智彦氏の『通貨燃ゆ』に、
『英国型民主主義において、政治の行政に対する優位には圧倒的なものがある。これに対し欧州では、選挙民の統制が十分及ばない密室の中、「ビューロクラット(官僚)」ならぬ「ユーロクラット」が細かい規則をつくりつづけていると英国民の多くはとらえている。その結果として、英国の代議制民主主義が空洞化しかねないとする不信が英国にはある。いわゆる狂牛病を生んだ英国産牛肉を、欧州が買うかどうか。刑事犯に対する扱いは英国において他の欧州諸国より概して厳しいがこの差をどうするのか。政治的・感情的に欧州と英国を分かつ溝は、いまだに深くて広い。』
という一節がありました。

10年以上前の本ですが、Behemothさんの評論と同じであり、安倍内閣はイギリスの EU離脱の可能性をかなり見込んでいた可能性がありますね。

今後ですが、安全保障の面でイギリスと EU の綱引きがあるかもしれません。
『米軍高官、バルト3国「守りきれず」=ロシア、36時間で首都制圧も』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062201009&g=int
『リトアニア外相英離脱選択で足並み乱れ懸念』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160626/k10010572221000.html
イギリスが腹黒なら EU との交渉中にロシアをけしかけてもおかしくない。
motton
2016/06/28 23:45

また、20世紀との類似は感じますが、特にリベラル派が理解していないかもしれない非常に重要な違いがあります。
それは、20世紀は良くも悪くも国家・国民の世紀だったということです。
国民は国家(社会)が最大の利益を得られるように行動しました。それが自らを幸せにすると信じて。戦争にしろ環境問題にしろ、自己犠牲や利他行為も行い社会のために妥協しました。これが日本や欧米先進国における(実は特殊なのかもしれない)伝統社会です。

しかし、移民や中国人には国民意識(市民意識というべきか)がありません。彼らは社会のために妥協しません。社会を守りません。彼らと民主主義を運営するのは不可能です。
彼らを排除したいという市民の欲求(私は正当だと思う)を、20世紀型のナショナリズムやレイシズムと混同すると間違えると思います。

トランプ氏は(というか欧米先進国の指導層は)、梅棹忠夫著『文明の生態史観』を読むべき。彼らが異質な強敵だと思って相手にしてきた日本が、非常に物分かりのいい楽な相手だったのだと理解すべき。
motton
2016/06/29 00:37
mottonさん、こんにちは、
  Behemothさん、そして谷口氏は、欧州ブラッセルの高級官僚たちが、民意を離れて自分たちの理想に走り、民意の低いレベルとは関係なく、細かい規則などを次々に生み出していって、英国市民の感覚とずれが出た・・・と言う側面を強調されている・・・その分析は、その通りとも思えるけど、実は英国庶民がそこまでEUの本質を理解していたのかどうか?と言う疑問もある。離脱派勝利後に、「EU離脱の意味は?」などにネット検索が集中したというのも、彼らの投票動機が「反移民」という「感情」問題にあったことを証明する事実でしょう。

 今回の離脱派優勢への流れを決定づけた情報は、小生の見るところでは、2015年度の主として東欧から英国内への移民数が、予想の10倍ほどの30万人と言う大きな数字だったことだ、と言われています。その前、2013年頃から、英国内では、ブルガリア人、ルーマニア人の英国への移民が「解禁」されるということで、「解禁反対」世論が盛り上がっていました。しかし、2014年のル・ブルからの移民数は、それほど多くは無かったので、ひとまず英国世論は沈静化していたのです。
  それが、ほとぼりが少し冷めた2015年の数字では(今年春に報道)、ル・ブル以外の旧ソ連圏(バルト3国を含む)からの移民数も再び増大し、東欧合計で、予想外の「30万人」という大きな数字だったことで、世論がパニックとなり、激高した。「移動の自由」と言う、欧州統合の原則、理念そのものが、英国人たちの「失業率増大」への脅威となっていることが明白になったのです。

 
室長
2016/06/29 09:24
(続)
 本文でも書いたように、周囲を見ても、農場の労働力は東欧系移民ばかりだし、街に新しくできる商店は、ポーランド系食品専門店だったりする。
 ロンドンの高級住宅は、東欧系富裕層、中国人たちが買いあさるので、値段が上がりすぎて英国人は買えなくなってきた。

 他方で、職場はロンドン中心部にしかないが、英国の制度では、会社は通勤手当を出さない。郊外からの高い運賃を自腹で支払っていては、市中心部に職場が見付かっても、賃金の過半が通勤費用に奪われて、手元に残らないのです。移民のせいで郊外にしか住めない、するとロンドン中心部では働けない・・・・失業するということになる。

 移民のせいで、田舎の賃金の安い職場が奪われ、また、ロンドン中心部での職場も、狭いアパートで共同生活してでも頑張る東欧系の新移民に奪われる、と言う失業への根本的な構造は、不変と言える。
室長
2016/06/29 09:28

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英国民のEU離脱選択について ブルガリア研究室/BIGLOBEウェブリブログ
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