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zoom RSS 新年の注目記事は、やはりリフレ派の議論だ

<<   作成日時 : 2017/01/09 20:06   >>

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 明けましておめでとうございます。今年も、このブログを読んでいただけると嬉しいです。

 さて、新年以来の新聞記事などを切り抜いて、眺めていると、昨年末に引き続き田村秀男産経紙編集委員(経済担当)が、分り易い解説記事を書いておられるので、ご紹介しておきたい。

 更には、新年になって売り出された『週刊ポスト誌』(1月13日/25日号)でも、「日本国の『バランスシート』大公開」と題して、日本国政府と米国政府のバランスシートの分析を示し、日本政府のバランスシートが米国に比べても極めて健全なこと、財政出動によりデフレ対策をすることに何らの心配もないこと、日本国の借金は全く大きくはないことを論じている。しかも、小生が書いた記事(http://79909040.at.webry.info/201606/article_1.html)と同じく、主として高橋洋一嘉悦大学教授の財政学的視点を紹介して、世界最大の資産保有国日本の財政が余裕たっぷりなことを紹介している。要するに、緊縮財政の必要性を説く日経をはじめとする大新聞、学者たち、或いは、財務官僚などの視点は、最新の経済学から見て、遅れているのだ。

 以下に田村論文と「ポスト誌」記事を小生なりに要約する。

1.田村氏の視点:米国のシムズ理論に学んで、財政出動を恐れるな!
http://www.sankei.com/economy/news/170108/ecn1701080001-n1.html
  1月20日には、トランプ政権が発足し、共和党主流派がこれまで否定してきた拡張型財政政策を導入する(小生注:要するに、トランプ「共和党」政権は、「民主党的な大きな政府」政策を採用する、と言うこと)。

  日本では、日経新聞(小生注:田村氏は、日経紙の経済記者であったが、同社を離職して産経紙に移籍した人物)などの大メディア、或いは学界の多数派は財務官僚に同調し、念仏のように緊縮財政に固執しているが、米国ではすでに、デフレ圧力の下では財政赤字が有効と言う「シムズ理論」が主流だ。(注:田村氏によると、米プリンストン大学のC.シムズ教授は、日本の消費増税後のデフレ圧力を念頭に、金融緩和を生かすには財政支出拡大が必要と論じている由。シムズ教授は、市場原理を重視する「新古典派」(米国では主流派になっている)と呼ばれる学派に所属し、データ分析に基づく実証を重んじる、という。

  財政均衡は、緊縮財政ではなく、経済成長によってこそ達成される。グラフは中央政府+地方政府+公的年金・健康保険などの「社会保障基金」で構成される「一般政府」の資金収支(マイナスが資金不足)の名目GDP比と名目GDPの推移である(小生注:グラフは、上記URLの記事を参照願いたい)。

  一般政府の資金収支は、国家財政の健全度を表すプライマリーバランス(国債関連費を除く財政の基礎的収支)とほぼ一致しており、その不足のGDP比が小さくなるほど財政は健全化すると見做される。H20年(08年)前半にはマイナス1.5%台まで改善したが、同年9月のリーマンショック後はマイナス9.3%台まで悪化した。アベノミクスが本格始動して以来改善速度は目覚ましく、昨年(2016年)9月には、マイナス2.2%台まで上昇した。グラフで一目瞭然、名目GDPの伸びと、一般政府資金不足額の名目GDP比との相関度合いは極めて高い。名目GDPと言う経済のパイが大きくなると、財政が健全化するのだ。
  理由は簡単で、経済成長すれば税収が増えるのだ。異次元金融緩和で円安が進めば、法人税収が増えるし、株高になれば、資産効果で公的年金などの資金収支がよくなる。円高・株安は負の効果と言うリスクが生じるのだ。

2.『週刊ポスト誌』(1月13日/25日号):日本国には多額の見えない資産がある!
(1)マスコミは不勉強だ
  「日本は1000兆円もの借金があるから増税しなければいけない」、「ギリシャのように破綻する可能性がある」・・・・新聞、テレビで何度も繰り返されてきた「警告」だが、日本政府は相変わらず、毎年赤字予算を組んでいるにもかかわらず、日本経済は破綻しない。インフレさえ起きていないし、為替(円)も国債も暴落などしていない。世界の経済大国の地位を失ってもいない。なぜだろうか?

  「借金の総額だけを見ても、国の財政の健全度は分らない。借金が大きくても、それに見合う資産があり、十分な税収があれば破綻の心配はないからだ」・・・そう語るのは、国の資産を管理する財務省理財局の資金企画室長などを歴任した嘉悦大学教授の高橋洋一氏だ。高橋氏は、理財局の官僚時代に、日本国のバランスシートを初めて作成した人物だ。このシートは91年頃から作成されていたが、公表されるようになったのは2000年10月からだ。ところが、このバランスシートは財務省のHPに公表されているにもかかわらず、記者クラブの記者たちは不勉強で、問題意識がないから、内容を吟味することなく、借金の総額だけ見て、相変わらず財政危機だと思い込んでいるのだ、と言う。

(2)日本国は、約680兆円の資産を保有する
  財務省HPに掲載されている最新の資料は、H26年度決算(2014年度末)のバランスシートだ。

  資産の部を見ると、日本政府は約680兆円もの資産を持つ大資産家と言うことだ(内、金融資産だけで約500兆円)。高橋氏:「日本の政府資産は世界一で、金融資産が巨額なのが特徴です。金融資産の内、官僚の天下り先である特殊法人や独立行政法人などに流している貸付金と出資金を併せると200兆円にもなる・・・つまり、天下り先が多いから金融資産が膨れ上がっている」。

  ちなみに、米国の連邦政府のバランスシート(2015会計年度)を見ると、連邦政府の総資産は約377兆円で、内金融資産は200兆円しかない(1ドル117円で換算)。日本は、経済規模(GDP)では米国の1/4だが、政府の保有する金融資産は2倍以上もあるのだ。

(3)米国の負債は2509兆円もあるではないか
  日本国のバランスシートを見ると、確かに負債の部も巨額だ。負債合計は約1172兆円だ。ちなみに、民間企業であれば、資産よりも負債が大きい「債務超過」状態は倒産の危機と見られる。日本国の国家財政は、政府の資産を全部売ったとしても、まだ500兆円近い借金が残り、完全な超過債務状態だ。破綻の危機ではないのか?(小生注:ちなみに、ポストに掲載されている表で、米国の負債合計は日本の2倍以上の2509兆円もある。)

(4)徴税権と言う国の資産:日本国には、表面的には見えないけれど、750兆円以上の資産価値がある
  高橋氏は次のように反論する:「ほとんどの国のバランスシートは債務超過状態です。それでも企業と違って破綻しないのは、政府には徴税権と言う、いわば「見えない資産」があるからです。日本の場合、少なく見積もっても、毎年30兆円の税収(国税)がある(17年度は57.7兆円の見通し)。徴税力のある国家の徴税権を資産として評価する場合、我々専門家は税収の25倍と計算する。税収が年間30兆円なら750兆円、税収が40兆円なら1000兆円の見えない資産があるわけで、それを加味すると、日本は全く債務超過ではない」。

  住宅ローンに例えれば、定年も寿命もないサラリーマン(何年も安定した収入がある国家)は、より大きなローン(負債)を抱えても大丈夫だ、と言うロジックだ。高橋氏の指摘のように、「徴税権」を750兆円の資産として国のバランスシートに計上すれば、資産と負債の差額は260兆円のプラスになる。徴税力の弱いギリシャと徴税力が強い日本の信用力の差が、ギリシャにおける破綻、他方で日本の低金利となっている。

(5)「統合政府」ベースでは、既に借金ゼロに近い
  大企業が子会社を含めた連結決算の財務諸表を作成するように、主要国の場合は、政府単独とは別に、政府と中央銀行の財務諸表を合算した「統合政府」のバランスシートを作成しているが、日本国(財務省)はそれを作成していない。(小生注:財務省が増税したいために、わざと統合政府の数字を隠している、ということらしい。

  経済アナリストの森永卓郎氏が語る:「信じ難いかもしれませんが、政府と日銀を含めた連結バランスシートを考えると、いまや日本の国家財政は世界一健全なんです」。
  アベノミクスの開始以来、日銀は大幅な金融緩和で国債を大量に買い続け、16年10月には日銀の保有国債残高は400兆円を超えた。日銀は、お札を刷って国債を買っている。つまり、日銀のバランスシートには、保有する国債400兆円が「資産」に計上され、「負債」には、市中銀行が日銀に預けている当座預金と日銀券(お札)の発行額が計上される。

  森永氏の解説を簡単に説明すると、政府と日銀のバランスシートを合算(連結)して考えると、政府が発行した900兆円近い国債の内、400兆円は「統合政府」自らが保有しているから相殺され、実質的な国債発行額は500兆円に減るということだ。「負債」として計上されている日銀券と銀行の当座預金の合計400兆円に関して言えば、いくらでも自由に発行できる日銀券には返済の必要性は無く、銀行が当座預金の引き出しを求めた場合にも、日銀はお札を刷って支払うこともできるのだ。

  日銀が、国債を買い入れたことで、国(統合政府)のバランスシート上、資産の裏付けがない借金である純債務は、491兆円から91兆円へと大幅に減ってしまう。普通なら、インフレが昂進してしまう中央銀行による国債買い入れだが、現在の日本経済は日銀が物価を引き上げたいのに、上がらないという状態だ。森永氏も、「インフレを心配しなくてよい・・・こんな国は世界でも日本だけ」と言う。

  高橋氏は、更にこう言っている:「日銀の国債大量買入れによって、統合政府のバランスシートで見ると、日本の借金は大きく減り、財政再建は終わったと考えていい。私が20年前、プリンストン大学に留学中、バーナンキ教授(前FRB議長)が、『中央銀行が量的緩和してもインフレにならなければ、財政再建ができるね』と言ったことがある。それがまさに20年後の今日本で現実になった」。

   (小生注:つまりは、日本国は今や、実質的には借金ゼロで、超健全財政状態にあるのだということ。財政出動を断行しているアベノミクスは、やはりよくできた政策なのだ。とはいえ、田村流に言えば、もう少し大胆、大幅にやるべきだということ。アベノミクスは失敗した、と書きまくっている大新聞などは不見識そのものなのだ。産経紙だけは、まともです!

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明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

>>日本国は今や、実質的には借金ゼロで、超健全財政状態にあるのだということ。 

 日頃、借金1000兆円と聞かされて続けていると、何だか信じられないお話ですね。この結論どおりならば大変結構ですが、やはり少子高齢化は気になります。賃金は伸び悩み気味だし、貯蓄率も低下していると伺っています。将来に希望がなければ、少子化は改善しないでしょう。

 年金支給開始年齢も65歳から引き上げることも検討されており、まるで年金の振込詐欺にも思えます。やはり政府は、国民の貯蓄を当てにしている?、とつい疑ってしまいます。戦後には金融封鎖があったことを母から聞きました。
mugi
2017/01/10 21:31
こんにちは、
 大新聞、主要TV局(NHK+民間5局)では、どういう訳か財務官僚の宣伝である緊縮財政論しか報じていません。だから、1000兆円の借金があるから、お先真っ暗と言う議論しか聞かないのです。
 ところが、少しましな産経新聞の田村編集委員とか、今回の「週刊ポスト」誌などでは、前から、ちょっとずつ、まともな議論をしていました。今回掲載した記事は、その総集編ともいえる議論です。森永氏も有名ですね。
 確かに、年金基金とか、医療保険基金には、高齢者が増えすぎたせいもあって、苦しい局面もあるのですが、それでも世界全体を見れば、経済力に余裕がある日本国(国家全体として、世界一の純債権を保有している)の場合は、無理すれば、医療も、年金もケチらなくとも何とか支払えるはずです。とはいえ、そうやって無理に膨らませていくと、将来が危ないから、徐々に支給率を切り詰めていく、と言うやり方になります。「振り込め詐欺」に近いと、あなたが感じるのは、その通りかもしれませんが、一昔前小泉内閣が、「年金改革」などと称して、できもしない(非現実的な)数字をぶちあげてしまった「嘘」がばれているのです。

  とはいえ、どこの外国に行っても、日本ほどしっかり医療保険が実行され、年金も、それなりに支払われている国は少ない。医療制度は、大学付属病院、民間病院などが極めて効率的だし(待ち時間が少ない)、患者の大部分が自己負担3割で済む、と言う恵まれた状態です。英国などでは、医療費はほぼ無料のはずでも、なかなか専門病院での本格治療にたどり着くことが難しい・・・・予約が取れないのですから。つまり、高額の私立病院でしか、まともな医療ができない。こういう伊医療を受けるには、高額の民間医療保険を支払う必要がある。
 
室長
2017/01/12 17:43
(続き)
 年金に関し、65歳では支給されない可能性・・・将来のことを考えると、徐々に年金支給年齢が引き上げられる・・・と言うのは、西欧でも多い事例らしい。しかし、これは何とかしてもらうべきで、今の中年層などは、うるさく政治家たちに注文を付けていくべきでしょう。小生は61歳で年金受給に駆け込みセーフだったけど、その当時から65歳などと言っていた。
  いつまでも働ける人もいれば、やはり小生のように早目に引退して、最後の勉強をしたい人間もいるはず。
  とはいえ、予算にはいつも限度がある。詐欺みたいに、年金支給額は、小生でも毎年減額されている。年金だけに頼っていては食えません。しっかり貯金するしかないのです。
  もちろん貯金が、インフレで消える危険性もあるから、預金+株式+金塊などに分散するとか・・・小生は預金一本だったけど、工夫してください。とはいえ、一生頼れる職業(小生の友人らでは、動物病院、弁護士、学者、などで、ずっと何らかの仕事がある人がいます。)の場合は、大きな貯蓄は不用らしい。
室長
2017/01/12 17:48

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