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zoom RSS 環境問題、温暖化交渉はドイツの目くらまし外交だった

<<   作成日時 : 2017/03/24 16:14   >>

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  3月23日付の産経紙に掲載された下記論文は、小生に国際政治の場における理想主義と言うものの怪しさ、そういう名目に隠された裏の事情を忖度しない、馬鹿正直で騙されやすい日本国・・・・と言う構図を改めて認識させてくれる好論文だ。

  トランプ政権が、CO2削減などは経済成長率を低下させ「強い米国」と言う理想を妨害する馬鹿げた政策だとして、この京都議定書、その他の環境関連国際条約から離脱、撤退すると決めたことは、同政権の主張する暴言、一方的で自国の国益最優先の勝手な政策と見られている。しかし、実は、京都議定書を成立させ、国際社会の議論を誘導したドイツの真意こそが、冷戦後の東西ドイツ統一と言う困難な国策を遂行するための隠れ蓑だったという。冷戦終結を控えて、ドイツ統一を強行したドイツに対しては、仏のみならず、英国さえが反対していた。
  ドイツにとって、東西統一は、第二次大戦時以来の負の歴史遺産を抱えていたために、相当な難問であった・・・それがゆえに、壮大な目くらましが必要で、そのためにドイツは環境保護、地球温暖化、と言う、科学的には必ずしも証明されていなかったが、緑の党、その他の、若者たちに受けの良い議論に乗っかって、国際政治を誘導し、ドイツ統一への反対論を封じ込む手段の一つとして利用した・・・というのが筆者の推論だ(注:小生も同意する)。

  国際政治、外交の世界で、いかに巧妙に、何らかの仕掛けが何らかの外交目標達成のために行われるかを、冷静に考えるための好事例と言える。

  更には、元来が環境保護運動なるものは、米国、英国の失業者・ヒッピー系の若者らが、NPO職員としての給料を稼ぐために、日本を悪者にする捕鯨反対とかを掲げて一定の成功を収めた後、他にも寄付金集めの好い材料は?と探していて見つけたのが、CO2削減による地球温暖化対策と言う環境保護の議論だったのだ(注:小生の次の過去記事も参照:http://79909040.at.webry.info/201003/article_1.htmlhttp://79909040.at.webry.info/200807/article_2.html。)。

  ドイツは、英米中心に支持者が多く、欧州諸国でも緑の党などが躍進していた背景を利用しつつ、環境問題を深刻な問題と提示することで、ドイツ統一の衝撃を隠蔽し、かつ、経済成長が著しいアジア諸国の工業化に歯止めをかける手段としても、温暖化交渉を推進したのであろう。

★論文:トランプ大統領の一撃で温暖化交渉の理想主義は剥落した 京都議定書は日本外交の稀にみる大失敗であった(筆者:東京大学客員教授・思想家:米本昌平(よねもと・しょうへい)、3月23日付産経紙「正論」欄、http://www.sankei.com/column/news/170323/clm1703230007-n1.html

  トランプ米大統領は、持論の地球温暖化の否定に立って、これまでの環境規制を取り払い、石炭やシェール資源の開発認可にのり出した。だが、さらに重要なことはトランプ大統領の一撃によって、国際政治における温暖化の意味が一変してしまうことである。それは温暖化交渉がまとっている理想主義をはぎ取り、1992年に成立した国連気候変動枠組み条約にまでさかのぼって考えることを、われわれに強いるものである。

(1)環境外交の牽引車となった独
  そもそも同条約は、二酸化炭素(CO2)が温暖化をもたらしているか、科学的結論が明確になる前に成立した「予防原則」に立つ史上初の環境条約である。なぜ、そんなことが起こりえたのか。

  それは89年11月にベルリンの壁が突然崩れ、米ソ核戦争の恐れが著しく遠のいたからに他ならない。このとき、国際政治という特殊な空間は、核戦争の脅威に代わる新しい脅威を必須のものとした。そして、この空隙に向かって外交課題の順位表をかけのぼってきたのが地球温暖化問題である。

  しかもこの時、地球温暖化を国際政治の重要課題に格上げしようとする有力な国が現れた。冷戦期に東西に分断され、再統一を目指すドイツである。だが第一次、第二次世界大戦はドイツによる欧州覇権という国家的野望が原因であると考えるサッチャー英首相などは、大ドイツの復活に反対した。
  近隣諸国の疑念を打ち払うために、西ドイツ議会は報告書『地球の保護』をまとめて国力を温暖化対策に振り向けることを決めた。加えて、欧州の共通通貨創出のために最強通貨であったマルクを供出した。冷戦後の欧州に受け入れられるために、ドイツはこれだけの犠牲を払ったのである。以後、新生ドイツは欧州連合(EU)の環境外交の牽引(けんいん)車となった。

(2)議論全体が環境NGO寄りの価値観
  こうして成立した気候変動枠組み条約と京都議定書には、重苦しい冷戦期の雰囲気を反転させた理想主義が貫いている。それは第1に「予防原則」に立っていること。第2に、京都議定書は事実上の産業活動であるCO2の排出削減を国際法によって義務づける、異端の国際合意であったこと。第3に、外交の形態に革命が起こり、交渉過程が全てオープンになって、議論全体が環境NGO寄りの価値観の上に組み立てられていること、である。

  トランプ大統領の発言はこの理想主義をはぎ取ってしまう。そしてその先に見えてくるのは、京都議定書が日本外交の稀(まれ)にみる大失敗であった事実である。

  事の経過は、おおよそ次のようであった。EUの主導で97年に成立した京都議定書は、90年のCO2排出量を基準に2008年からの5年間平均でEU8%、米国7%、日本6%の削減を義務づけるものであった。このとき欧州は、CO2排出が減る方向にあった。ベルリンの壁崩壊後、東欧諸国は極端に効率の悪いエネルギー部門の刷新を迫られ、90年代を通してCO2排出量は30%以上減少した。旧西側諸国も炭鉱を閉鎖して、熱効率の良いロシア産の天然ガスに切り替えた。
    (小生注:EUが8%で、日本が6%だから、損ではない、と言うのは、間違いで、EUには、石炭に過剰依存していた旧東欧諸国が加盟し、この故にCO2削減が、簡単に実現されていたから8%を受け入れても痛くも痒くもなかったのだ。初めから、米日両国にだけ損な取り決めだった。)

  こういう状況の中で、EUは8%削減を受け入れ、さらにEU内で削減義務を再配分した。その際、東ドイツを統合した新生ドイツは21%削減を引き受けた。一方米国は、連邦議会上院がバード=ヘーゲル決議を全会一致で採択し、削減義務のある国際合意は批准しないことを決めた。そのため、01年にブッシュ大統領が就任するとただちに、京都議定書の枠組みから脱退したのである。

(3)美名に酔いしれる状況変わらず
  議定書案はEU色の濃いものであったが、開催地の持ち回りの原則で第3回締約国会議は京都に決まった。
  このとき日本は、議定書に京都の冠がつくのを異様に名誉なことと思い込み、日本が突出して不利な6%削減案を丸のみした。さらに、国益の観点から議定書の意味を精査すべき国会は、形ばかりの審議で批准してしまった。こんな国は日本以外にない。

  政府は削減義務達成が不可能と考え、電力業界とともに発展途上国から排出枠を買い取ったが、総額は5千億円にのぼると推定される。こうして京都議定書の約束期間に入っていれば、日本は削減義務が果たせず大問題になっていたはずである。ところが08年秋にリーマン・ショックが起こり、日本の産業活動は急速に減速し、皮肉なことに京都議定書の目標は楽々達成してしまった。

  京都議定書が外交上の大失策であったことは、政府関係者の間では共通認識である。だがその原因を一つに絞ることはできない。日本人の大半が京都という美名に酔いしれ、議定書は国際政治上の道具でしかないという当たり前の事実が、目に入らなかったのだ。
  20年前のこの異様な政治状況を分析しようとする者すら、まだ現れない。戦前の日本は一丸となって戦争につき進んでいったといわれるが、異論を許さない状況は今も変わらないままなのだ。     

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 やはり環境問題には裏がありましたね。NHKで盛んに流していたフレーズ、「明日のエコでは間に合わない」を憶えておられますか?何となく胡散臭いと感じていましたが、残念なことに私の予感は当たっていた。メディアで訴えられると、特に女性はコロッと騙され易い。かつて米大統領候補だったゴアも、環境ビジネスで儲けていました。ゴアに批判的なことを書いたら、早々にゴア信者の主婦ブロガーから反論が。

 それにしても、ドイツの「目くらまし外交」は実に強かですね。日本の知識人にはドイツへの異様な思い入れがあり、環境先進国やら過去を真摯に反省する等、実態とはかけ離れた持ち上げ方をする者が少なくない。かつてはそれでも通じましたが、ネット時代にはドイツの
反日ぶりが知られるようになり、ドイツ嫌いが増えて来たようです。
mugi
2017/03/28 22:47
こんにちは、
 米本昌平と言う学者については、産経紙でも初めて読んだように思う。ともかく、これまで日本の新聞では一切論じられてこなかった視点だから、小生もびっくりしました。
 しかし、トランプが何故CO2対策などの環境保護に反感を抱いているのか、とか、そう考えてみると、Obama以前のブッシュ政権なども、環境保護に対しては結構白けた反応だったと思う・・・要するにドイツの陰謀だ、と言うことが、盗聴情報などで分かっていたからでしょう。

  盗聴、或いは、ネット情報などの監視は、米英加豪の4カ国で分担しつつ、第二次大戦後ずっとやっていたことです。アングロサクソン系の「世界監視」というか。
  それでもドイツは、したたかに自己主張して、国益外交をしているが、日本は国益外交が弱すぎた。今安倍政権は、初めて一定の国益を主張していると思うけど、対米関係では日本はひ弱いままです。国防体制的に、もっと自立できない限りは、強く出られないと小生も悲観的です。ましてや危険度を増してきた中国、北朝鮮と対峙するには、日本単独の国防など、もはや考えられない。
室長
2017/03/29 15:41

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