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zoom RSS 米国の地球警察官役割放棄宣言と北朝鮮核兵器の脅威

<<   作成日時 : 2017/10/21 14:44  

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 さて、前回の記事から1カ月以上経過してしまった。

 新聞記事切り抜きで世の中を観察していると、やはり米国の「自国ファースト」主義という新思想と、これに対応してのアジア、欧州での、親米陣営からの米国離れの動き・・・・を見ていると、結局日本にとっては、米国による安保面での庇護能力(特に核の傘)をどこまで信用できるのか?と言う話に行きつくようだ。

 そういう意味で、一応抑えておくべき視点を提供してくれるのが、やはりいつものように産経紙の記事である。
 下記1.では、在米編集委員の松浦肇氏が指摘する各国の米国離れの視点、2.では、元駐米大使の加藤良三氏の米国の信用力低下にもかかわらず、日米同盟を信用せよとの視点、をご紹介しておくこととした。

 小生自身の感じでは、もちろんいずれの論評も優れているが、加藤氏の論評は、曖昧さもあるし、本当の結論など示さず、ともかく日米同盟を信用せよ、ということで、神頼みにも見える。と言うか、よく考えてみると不気味な予言・・・真実とも見える。

1.「自国第一」の世界は1930年代に酷似 一種の「終末思想」だ
  (筆者:松浦肇、2017.10.16 付 産経紙:http://www.sankei.com/column/news/171016/clm1710160003-n1.html

 毎年秋口は、米国の東海岸が「世界の首都」となる季節である。参加者が増えれば増えるほど、ネットワークの価値が高まり、参加者の便益が増す−−という「ネットワーク効果理論」の政治版だ。

 ニューヨークでは9月に国連総会が開かれ、街中が各国首脳でごった返す。10月に入ると、ワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催されるので(今年は12、13日)、国際金融筋がワシントンとニューヨークの間を行き来する。

 要人の声を拾っていると、世界の座標軸が毎年のようにシフトしているのが分かる。例を挙げるなら、2013年は「民主化運動」、15年は「地球温暖化問題」だった。
 では、今年の座標軸は? ずばり、「米国と一線を画す」である。

 今月初め、ニューヨークに立ち寄ったフィリピンのカエタノ外相が、外交専門家から詰問されていた。昨年に中国を訪れていたドゥテルテ大統領が「米国と決別する」と発言した真意についてだ。
 親米家で知られるカエタノ外相だが、悪びれずに、こう直答した。「フィリピン第一、ASEAN(東南アジア諸国連合)第一で良いではないか」
 実際、フィリピンは南シナ海問題に関する仲裁裁定を棚上げした。代わりに、中国からインフラ資本への投資を引き出そうとしている。
 「米国とは、もう大人の関係。敬意はあるが、『これをしろ、これをするな』『誰に会うべきだ』とは指示しないでほしい」(カエタノ外相)

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のモスコヴィッシ委員も「米国と一線を画す」論者の一人。ニューヨークでの座談会では「米国が理解できない」と繰り返していた。同氏はフランスの経済・財政相を務めた、開放経済の信者だ。保護主義を掲げてEUとの環大西洋貿易投資協定(TTIP)を凍結させたトランプ米政権を冷めた目で見ている。
 「われわれの価値観を守る」。米国との間でTTIPが成立しなくても、域内のヒトとモノの移動を効率化することでEU経済を立て直す戦略をモスコヴィッシ氏は力説していた。

 「『他国』を完全に頼れる時代は過ぎた。運命を自身の手に委ねなければ」
 ドイツのメルケル首相も5月にこう発言した。「他国」とは米国の暗喩(あんゆ)なのだが、同盟国からこうした「離反」発言が相次ぐのは戦後初の事態ではないか。

 アラブ世界の地域協力機構であるアラブ連盟。そもそもが「米国と一線を画す」組織なのだが、アブルゲイト同事務局長は嘆息していた。「40年ほど参加しているが、こんな光景は初めてです」
 国連総会で初演説を行ったトランプ米大統領に対するコメントである。「米国を第一に考える。各国も自国第一を考えるべきだ」と国連の場で国際協調主義を否定したのには驚いたそうだ。

 「パンドラの箱が開いた」とするアブルゲイト氏の読みは当たっている。9月以降も、欧州ではEU解体を求める極右政党が勢いを増し、スペイン東部カタルーニャ自治州では住民投票で独立支持が多数を占めた。世界中で大衆迎合主義が国際協調主義を追いやっている。

 欧州有数の公共政策大学、独ヘルティ・スクール・オブ・ガバナンスのアンハイアー学長によると、政治学者の間で「1930年代と現代の比較論が流行している」そうだ。30年代には、大恐慌の傷痕が癒えない各国が、「自国第一」とばかりにブロック経済化を進めた。その悲惨な顛末(てんまつ)は、ご存じの通りだ。

 経済危機後の格差拡大が大衆迎合主義を生んだことに注目して、経済界でも「30年代酷似説」が流行している。一種の21世紀版「終末思想」なのだが、震源地の一つが開放経済の最大の享受者だったはずの米国とは皮肉である。( ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇 まつうらはじめ)
    

2.北朝鮮の核保有 「反対」は本物?…中国の本音とは
 (筆者:元駐米大使・加藤良三、2017.10.17付産経紙「正論」欄、 http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170009-n1.html

 中国の北朝鮮政策について、日米の伝統的な考え方は以下の通りだろう。
 中国は日本の核武装を含むアジアでの核拡散につながりうるから北の核保有に反対、北のレジームには本心嫌気がさしている。しかし北崩壊の際には、韓国の下での半島統一が実現して米国のプレゼンスが鴨緑江(中国との国境線)まで拡大する上、大量の難民が中国国内に殺到するだろう。だから現状の急激な変更は望まない。その点、中国は日米と利害をともにするだろう−というものだ。

 この前提は果たして正しいだろうか。それぞれの点に「?」がつけられるが、ここでは北の核保有について問題提起したい。

≪「やむなし」とするメリット≫
 中国の本音は、実は北の核保有について一般に考えられている以上に緩やかなものではないか。朝鮮半島問題は緊急の課題だが、中国にとってはもっと大きな世界戦略上の考慮があるのではないか。
 アメリカのクリントン大統領以降の政権は、北の核保有をめぐって心ならずもアメリカをして中国に「お願い」する立場に立たしめてしまった。朝鮮半島問題について中国は、時は自分の味方と思っているとしても不思議ではない。

 結果として中国は世界のさまざまな場で権威を高め、南シナ海を含む他の領域においても、もっと攻撃的であって構わないのだと考えるようになった。実際、中国が本気で北の核保有を止めるつもりなら、外交的にも舞台裏でもっと打つ手があった筈(はず)ではないか。
 それなら中国が、北の核保有を「やむなし」とするメリットはあるのだろうか。例えば、北の核保有によって、アメリカの日本に対する核の傘の実効性、信頼性が低下することになれば中国の戦略的利益にかなうだろう。

≪戸惑いを生む米国の抑止の実態≫
 日本のみならず、核の傘の提供元であるアメリカでも、オバマ政権時代の安全保障補佐官や、骨っぽいといわれるゲーツ元国防長官が「北の核を容認しても抑止は可能だ」と言い出しているのを見ると、やはりそういうことかという感を禁じ得ない。
 日本ではアメリカの核の傘の実体如何(いかん)を、これまで本当の意味で議論したことがなかった。ヨーロッパや北大西洋条約機構(NATO)との顕著な違いである。

 核兵器の中身には長距離(戦略型)、中距離(戦域型)、短距離(戦術型)の3つあるが、アメリカの短距離核はもはやアジアに存在せず、中距離核はブッシュ大統領(父)からオバマ政権に至る間に海上発射、陸上発射の双方とも生産中止となった。要するに日本への「核持ち込み」をしようにも持ち込むべき核が日本の周りにはない。お願いしても日本への持ち込みは当面、困難だというのが実情ではないかと思う。

 北の核を「抑止可能」とアメリカの識者が言うとき、それは本質的にはミサイル防衛や通常兵器で抑止するということなのではないか。いざという場合、アメリカ大陸・領域に配備した大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機搭載の核ミサイルを用いても日本を守るという基本をアメリカが変えることはなかろう。
 しかし、冷徹な現実は、核によらない抑止の仕組みで日本の安全は確保されるし、そうすべきだと考えているのではないかと思う。

 日米の専門家の立場から見ても、少なくとも現状ではこれが最も合理的で妥当な軍事政策だといえるのであろう。しかし、国民の立場からすれば「アメリカの核の傘は結局何なのか」という当惑が生まれる。

≪「周回遅れ」の日本の安保論議≫
 責任ある立場の人たちは、それで大丈夫なのだという自らの理解と確信を持って国民に説明する必要があるだろう。
 狂牛病であれ原発であれ、日本国民は「安全」だけでは満足せず、「安心」を求めてやまない。安全は客観的なものであるが、安心は主観的である。それが国家の安全保障問題となると、「安全」はともかく「安心」の充足まで求めるのは至難の業だ。

 「安全」の確保だけでも日本の自助努力は必要最小限の条件である。さらに「安心したい」と願うのであれば、日米同盟を含む安全保障政策の枠組みを信じ、それを強化する以外の途(みち)はないだろう。

 中国はこのような日本の状況を踏まえ、自らの行動が日米の総合的抑止力の動向にいかなる影響を及ぼすか、研究、検討に余念がないと思う。日本にとって、中国の戦略的意図を精緻に分析することは安全保障戦略の要諦である。
 中国は北朝鮮の暴挙が日本を覚醒させ、現政権に有利に働くことを憂えているとしても不思議はない。日本の安保防衛論議については、このまま「周回遅れ」であってほしいという気持ちだろう。一方、国民も「周回遅れ」はとうに気付いているかもしれない。為政者にはそこをうまくやってほしいと願っているのではないか。私は今回の選挙プロセスにおいて、その点に強い関心を抱いている。

  【小生注:すなわち、加藤氏が述べるように、既に米国の核兵器としては、少なくとも短時間で日本まで輸送できる範囲内には、短距離核兵器・ミサイル、中距離核兵器・ミサイルは存在しないのだから、米国が万一日本のために核兵器を使用するという段階で、使用可能な兵器としては、長距離核兵器を搭載したICBM、或いは爆撃機による核爆弾投下しかない・・・ということになる。もっとも、原潜には、SBLMが搭載されているが、これも基本的には長距離核兵器であろう。

  北朝鮮が対日攻撃に、血迷って核兵器を、ノドンなどのミサイルでぶち込んできたら、対応できるのは、ある意味グアム所在の爆撃機で核爆弾を北朝鮮に対し、報復投下するしかない、と言うことだ。

  つまり、既に対日核ミサイルが発射された後で、日本自身が保有する中距離ミサイル+核弾頭がない限り、日本自身での報復は不可能で、運命を米国に委ねるしかない、そして米国が本当に日本のために核兵器を使用するか否かは、神に祈るしかない、と言うことなのだ。

   ・・・・もっとも、日本自身の核兵器を開発するしか、本当の防衛などあり得ないということは、かなり昔からわかっていたことで、核武装の必要性に関し、国内で議論することさえもタブーとして許さない・・・・それが長年左派勢力が支配してきた日本の言論空間だったと言える。無責任な話だ。

  しかし、そういう思考停止の言論空間を許容してきた自民党の中の「リベラル派」などの存在も、こういうどうしようもない、今急にはどうしようもないではないか・・・と言う虚無感を誘う。ともかく、手遅れだ!!!と言う気持ちになる。加藤氏と同じように、日米同盟を信じて、神頼みしていくしか、当面手の打ちようがない・・・・・早く真剣に核武装の議論もやってくれ。それでも、どうしても核兵器と言う選択肢を選ばない、と言うのなら、通常兵器での先制攻撃しか道は無い。実は、通常兵器での先制攻撃の手段も、日本は当面十分持っていないのだ!!せめて通常兵器での報復攻撃の手段だけでも開発・生産しておくべきなのだ。



 

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
核兵器を距離で分類するのは誤解の元です。
ざっくり言うと、MAD により相手に核を撃たせないためのものが戦略型で、大陸で陸軍を止めるためのものが戦術型です。距離や威力は最適なものが選ばれるだけで本質ではありません。
ですので、日本防衛には日本自身が持つ場合であっても戦略型(SSBN+SLBM)しか必要ありません。ちなみに英仏も自前では戦略型(SSBN+SLBM)しか持ちません。

NATO には戦術型があります。これはポーランドやバルト三国などへのロシア陸軍の侵攻を止めるためです。使う場合には核の先制使用になりますが、このオプションがないとロシアを抑止できません。
日本を含む西側諸国が無条件での核の先制不使用に反対する理由であり、ロシアや中国の意を受けた"平和主義者"が無条件での核の先制不使用を推進する理由です。

東アジアでは、韓国.vs.中国になった場合には戦術型が必要かもしれませんので、韓国が戦術型の持ち込みに言及することがあります。(ただし、現在の文政権は理解しているか怪しい。)
motton
2017/10/24 19:52

北の核についてですが、日米(韓)のミサイル防衛はその実力は未知数ですが迎撃できるかもしれないという可能性があるだけで抑止力として働きます。
しかし、中国はミサイル防衛能力を持ちません。日米なら一発撃たれても国民は結束しますが、中国はどうでしょうか。朝鮮人に首都を穢されたら中共の権威は地に落ちます。
朝鮮の主敵は古来より中国(より正確には満州)です。陸軍で蹂躙できるからです。だからこそ、北の核の第一ターゲットは北京だと思っています。
(裏にロシアがいる可能性があります。ロシアは北の核から安全であり、日米中の牽制に使えるためです。日米がロシアと取引する可能性もあります。北方領土あたりが生贄になるかも。)

なお、北が血迷った場合には報復は無意味です。もちろん基地と中枢は潰す必要がありますが。
報復が意味を持つのは、相手が中露の場合です。報復しないと侵攻されますから抑止のために報復しないといけません。まあ、そうなったら世界大戦=人類滅亡ですが。
motton
2017/10/24 19:54
米国の地球警察官役割放棄宣言は世界平和への第一歩では。そう思っています。
MORIKANAMORIKANA
2017/11/16 14:41

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