国防意識を持とう


  今回は、あまり纏まった論文にはなり得ないが、色々と現在のマスコミの論調などにも目配りした、老人の愚痴的な、概観としたい。米国大統領選挙の年は、所詮世界情勢は、次の米国新政権待ち、傍観的無為の年だとおもうから、今後の方向を色々と目配りすることが肝要であろう。

1.ヤマト時代の国防意識
  今日読了した新書は、仏教国家、律令国家を形成した女帝・皇后たちに関する歴史書(『平城京遷都--女帝・皇后と「ヤマトの時代」』、中公新書、2008年)である。著者の千田 稔氏は、この「ヤマトの時代」を、東アジアに唐と新羅という強国が出現し、日本(大和政権)が支援した百済が滅亡して、日本国が大陸からの侵攻もありうる、との脅威感を背景に、統一国家として、かつ当時のアジアの文明(仏教)を体現した仏教国家として、かつまた、道教思想もきちんと踏まえた(斉明、天武、持統天皇など)国で、しかし唐とは別種の「もう一つの中華帝国」として、生存を図り、国防を固めた時代として描いている。
 
  もっとも、どうやら唐・新羅からの侵攻に脅えて、本格的な国土防衛意識を持ち、国防体制を敷いたのは、天智天皇のみで、天武系天皇・女帝達の場合は、概ね藤原京を造成して格好を付ける程度で唐、新羅への対応はOKと考えていたようだし、むしろ国政の中心課題を、天武系の皇統維持というような血統主義に専念したようだ。他方、外戚としての権力確保に邁進した藤原氏は、藤原系の天皇の即位にのみ関心を有したようで、その意中の血筋を皇位に就けるための中継ぎとして元明、元正などの女帝が立てられたという。要するに、新興の唐帝国の出現に慌てて、天智天皇期には国防意識を発達させ、防人とか、要塞とかを構築し、都も近江に遷都するほどだったのに、天智後は皇位争いの内乱=壬申の乱に勝利した天武系と藤原氏が、血統意識丸出しの権力確保のみを優先した、ということらしい。

  結局、海という自然の要害に守られている日本国では、高度の軍事力を保持しつつ、外政にも目配りしつつ、国家の独立をキープするということに大陸諸国のような神経を使う必要がないので、日常的には、くだらない国内論争に明け暮れたり、或いはそれすら放棄して太平を謳歌するという、恵まれた国家だと言うことであろう。現代日本とて、そういう風潮は残念ながら同じだ。

2.東アジアで、孤立に向かっている日本
  他方、最近買い求めた、別の新書『新 脱亜論』(文春新書、2008年)では、渡辺利夫氏が、現在の東アジア情勢に関連して、日本だけが平和ぼけで、「ポスト・モダニズム」的思潮に流れているが、中国、北朝鮮、韓国の3国とも、むしろ19世紀の「国民国家時代」を彷彿とさせるナショナリズム思考で反日、反米傾向にあり、日本としては、明治維新期の福沢諭吉が唱えた「脱亜、入欧論」という近代史の時代にまで立ち戻って、自らのナショナリズムを再興し、対隣国政策を再検討し、戦略を練って対応しないと危険であると警告している。

  4月に小生は、韓国と中国の二元論(二枚舌)である「理と気」、或いは「羊と貝」の論理について紹介したが、韓国と中国の両国は、欧州人と同様に、理屈っぽい論争に長けており、勝手に他国の領土を占領したり、自国領土だと主張して経済水域を侵犯したりしても、屁理屈を並べて結局押し通し、平和ぼけの日本人を嘲笑うごとき言動を繰り返している。自分らの理不尽を隠蔽するために、日本国民に対しては、日中戦争・太平洋戦争時の「日本軍の悪行」を宣伝する「記念館」を立てまくっては、歴史認識論、などを振りかざして対日宣伝し、侮日政策を外交レベルでも展開する。そういう東アジアの特殊な外交環境の中で、経済失策で本来とっくに退陣すべき金正日北朝鮮政権は、核兵器を唯一の体制存続の切り札として、居座り、最終的には、日本、韓国を核兵器で恫喝しつつ、援助資金を搾り取ろうという魂胆なのだ。

3.米国は、内向きに転じた
  そういう東アジア情勢を熟知しているはずの米国も、金融工学依存という金融失策に起因する自国経済の破綻、対中東政策の失敗で、当面時間稼ぎが必要だし、アジアにおいては落ち目の日本と提携するより、中国、インドとの提携で、より多くの金儲けが可能とばかりに、対日配慮を捨て去りつつある。

4.日本の若者は、国防意識が薄い
  グロバリぜーションが発達してきた現代社会に生き、インターネットなどを駆使している若者達は、国境とか、国家とか、国益とか、そういった「古くさい」概念は回避して、飛行機に乗ればいつでも、簡単に、欧州でも、米国でも、アジアでも、中国でも、ロシアでも、どこにでも行けるし、もはや軍事的な対峙とか、狭い国益とか、そういう馬鹿げたことにこだわる時代ではない、と思っている。

  他方で、国内有識者の間では、米国経済の衰退、米国の世界覇権体制の衰退、他方で、中国、ロシア、インドなどのBRICs台頭で、多極化する世界情勢を背景として、自前の国防体制、或いは自衛決意を欠いた日本国の将来を不安がる声が増えている。
   そのくせ、断固憲法改正して、自衛隊を戦える軍隊にして、国防体制を固める時期であるにもかかわらず、自民党の有力政治家らは、相変わらずの道路族、厚生族、農水族議員などの利権維持しか眼中にないように見られる。よって、確かに国内改革継続のためには、利権構造をなくすための政官癒着構造破壊も必要ではあるのだが、国家存立の根源は国防であり、有事立法を初め、本当に戦時に使用可能な安価な武器体系の導入(戦争するためではもちろんない、海に囲まれている利点を利用しつつ、国防体制を更に充実せよと言っているだけ)であるとか、やるべきことは山積している。

5.自給体制
  最近のマスコミの主要な関心は、燃料費高騰、食糧不足、などから、国内における自給体制確立が必要だ、という方向にあるように思う。国防の観点からも、食糧自給体制というのは、一つの面白い試みではあろう。

  一番良いのは、自分もそうだが、定年退職者が増える日本で、地方自治体がどしどし農地つきの分譲住宅地を造成して貸し出し、老人を田舎に誘導し、自給のための食糧生産を担当させることであろう。
  他にも、米の増産を図るために、減産措置を止める、国内産の穀物を優遇するために、輸入課税を増額するなど、採るべき措置はいくらでもある。最近書いたように、非常食としてのジャガイモとサツマイモの増産奨励も、良いだろうし、蕎麦、粟、稗、トウモロコシとか、国産小麦、大麦の増産などもよい。地産地消という、燃料負荷の少ない、地域内食糧の増産体系が、もっとも効率的であろう。

6.CHANGEについて
  木村拓哉主演の、小泉元総理を彷彿とさせる、民意最優先・国民迎合政治を題材としたフジテレビのドラマは、日本国民の現在の政治意識の総論的な部分を汲み上げている、良くできたドラマだが、小生のような老人には、やはり少し不満が残る。ドラマとしての完成度は高いが、これが真実の政治だと、皆が思っているとしたら、幼稚だ。
  もう少し、世界情勢の中でも、生き残りを賭けて、「苦闘する国家の姿」という側面にも目配りしたドラマができないものだろうか?「陰の総理」を狙った官房長官が、裏で米国大統領府の傀儡だ、という程度の「外交認識」しか、描かれていないのでは、情けない。


  

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