中・韓両国の卑怯な対日世論工作、反日政策

前回に引き続き、産経紙に掲載された、秀逸な論文をご紹介したい。

1.中国対日世論工作の裏の仕掛け6月11日付産経紙「正論」欄、村井友秀(トモヒデ)東京国際大学教授筆
  中国の対日戦略の重点は、日本国民への世論戦(心理戦)である。中国の対日世論戦が効果的に機能する(小生としては?だが)構造を分析する。

(1)新たに生まれた擬似階級闘争
  民族主義と階級闘争と言う視点から日中を比較すると、中国は民族主義が強く、階級闘争が弱く、他方、日本は、民族主義が弱く、階級闘争が強い国だ、という中国側の構造分析が、対日世論戦を支えている。
  なぜかと言うと、中国ではすでに資本家階級は打倒され、労働者が権力を持つ国家となったので、階級闘争は存在しないこととなっているからだ。つまり現在の中国では、体制を打倒する「革命」と言う言葉は禁句だ。

  元来、共産党の目標は、世界の労働者を結集して世界革命を達成することであったはずだが、現在の中国共産党の目標は世界革命ではなく、「中華民族の偉大な復興」を実現することなのだ。つまり、現在の中国は民族主義を鼓吹する国家なのだ。
  他方で、日本国では、第二次大戦後国民が一致団結して行動する民族主義を軍国主義の一種と見做して、嫌悪する傾向がマスコミと教育界にあった。

  ソ連が崩壊し、共産主義の正統性が地に落ちた後、階級闘争史観から抜け出られない日本の左派は、新しい階級闘争を創りだした。古典的な労働者階級による階級闘争とは異なる形態の、階級になぞらえた「リベラルな市民」が、「反動的な政府」と戦うという、擬似階級闘争である。とはいえ、戦前からの意識的な継続として、軍国主義的な右派が復活し、左派に対してその生存に脅威を与え得るという主張は、戦前・戦中における左派弾圧の歴史に鑑み、左派にとっては分り易いスローガンとなる。つまり、戦後の日本の左派にとって第一の敵は、日本の軍国主義であり、中国の軍国主義ではない、と言うことになってしまった。

(2)進められる左派との共闘
  他方中国では、歴史的に「一つの山に二匹の虎はいない」と言う思考がある。東アジアと言う一つの山にいる日本は、中国が生き延びるためには、屈服されるべきもう一匹の虎なのだ。特に中国に屈服することを拒む日本の右派は、打倒すべき敵なのだ。すなわち、日本軍国主義と右派を重ねることができれば、中国共産党が主張するように、「日本軍国主義は中日人民の敵」となる。

  本来ならば、共産主義者にとっては、味方となるべきは各国の労働者階級で、敵は自国を含む各国の資本家であった。しかし、「中華民族の偉大な復興」と言う民族主義をスローガンとする現在の中国共産党政権は、民族体民族と言う構図で国際関係を捕らえている。

  日本の左派も日本人であり、本来屈服すべき日本の一部なのだが、敵の敵は味方だ。日本の左派と中国と言う国家は、左派の敵である過去の日本軍国主義と、中国の敵である現在の日本を重ねることで共闘できるという側面がある。つまり中国は、日本の左派を利用して、日本と言う国家との競争を有利にしようとしている。

(3)米国には機能しない日本主敵論
  中国は米国に対しても同じ論法を取り、中米には日本軍国主義と言う共通の敵が存在し、中米は共闘できると説いている。
  しかし、現在の米国にとっては、主敵は米国の覇権を脅かす中国であり、過去の日本軍国主義ではない。中国の日本軍国主義主敵論は、日本国内の左派、或は韓国世論向けには一定の効果を挙げてはいるが、米国に対しては機能しない。

(4)実は階級闘争の圧力が国内に生まれている中国
  日中関係では、中国政府が自国を階級闘争から卒業した国家であると見做し、国民と政府が一体化した民族主義国家として行動するのに対し、日本の左派は日本国を「市民対政府」と言う擬似階級闘争が進行中の国家であると見做し、行動している。一体化した中国と分裂した日本の対立と言う構造であると、中国側は理解しているのだ・・・これが中国の対日世論戦(心理戦)が有効に機能すると見るポイントなのだ。

  つまり表面的に見れば、階級闘争が無く民族主義国家である中国が、階級闘争があり民族主義が弱い日本に、世論戦を仕掛けていて、中国優位に見えるのだが、本当はそうでもない。

  つまり、日本国は中流意識を持つ国民が多く、階級矛盾が少ない国家であり、自然災害その他で社会が不安定になっても、低所得層による暴動など発生せず、逆に一致団結する民族主義を内に秘めた国家である。
  一方中国では、富裕化した共産党員と貧しい労働者の格差が拡大し、階級闘争の圧力が高くなっている。漢民族と少数民族間の矛盾も拡大している。よって、大漢民族主義は不安定だ。
  表面的な日中間の前提が、突然逆転する可能性も視野に入れて置くべきだ。

  (小生注:階級闘争と民族主義の関係性に関する面白い分析論文だ。若干小生には分りにくい文章だったので、かなり文章を勝手に変更させていただいたが、趣旨は変化していないはずだ。
  村井氏の原題は「日本に浸透する中国の世論戦」というものだが、小生にしてみれば、今の中国の国内に生じている矛盾の巨大さを考えれば、日本国内への中国の世論戦の脅威は、さほど大きいとは思わない。日本人の心理の中には、お隣の韓国については日韓併合以来の「同族意識」と言うのが多少はあって、対韓国では同情心もあったが、対中国では、常に眉唾という心理であり、中国の対日心理戦、などが有効であるとは思えない。
  ましてや、共産主義、社会主義の欠陥ぶり、似非経済理論ぶりを長年観察し、これらに対して全く否定的意見を有している小生としては、一党独裁の都合上共産主義という看板は下ろさないが、経済政策のみは資本主義に宗旨替えした、「転向」中国の、怪しげな「民族主義」などが本当に機能するとも思えない。結局は、どこかで、国民が民主主義を要求して反乱を起こすであろう。
  とはいえ、小生が危惧するのは、社会主義の一番の欠陥部分であった経済面での欠陥を克服した、「資本主義を部分採用した共産党独裁国家」と言う試みが、東アジアでは意外と長持ちしていることだ(中国とベトナム、及びラオス、カンボジア)。国民の間で格差が拡大しているとはいえ、北朝鮮のように飢餓で国民が死亡するような根本的な矛盾は、少なくとも経済面では起きていない・・・欠陥がそれなりに修正された、改良社会主義政権が誕生しているのだ。これが何時まで持つのか??・・・これこそは、現在皆が不思議な感覚とともに注目している現象であろう
。)

2.地理的に不利な環境(行き止まりの半島国家)で培われた、粘着性の自律行動と現実無視の空想史観、歪曲史観に救いを求める韓国市民の心理の根底に潜む尚古主義
2-1.韓国の歴史認識に潜む尚古主義6月29日付産経紙「正論」欄、古田博司(ヒロシ)筑波大学大学院教授筆
(1)過激化する「衛正斥邪」
  反日の国家的扇動により、戦後最悪の日韓関係を醸成した朴槿恵(パク・クネ)大統領は、6月21日に尹炳世外相を日本に派遣し、日韓外相会談を持ち、ユネスコに対する世界遺産登録につき、日本側「明治日本の産業革命遺産」と韓国側「百済の歴史地区」の双方の申請を抱き合わせることで、対日妥協を潜り込ませた。

  さらに、日韓の国交正常化から50年となる6月22日、東京とソウルで各々開催された行事について、東京の行事には安倍晋三首相が、ソウルの行事には朴槿恵(パク・クネ)大統領それぞれ出席した。
  すなわち韓国は、とうとう唯一の「自律」の表現であった「反日」のトーンを下げざるを得なかったのだ。

  北朝鮮のような外国無視の「自律」を正当性の表現と見る韓国内の従北勢力は、3月にリッパート駐韓米国大使襲撃事件を起こした。外資占有率が50%を超える企業が毎年4月になると、外国投資家に対し行う配当が、韓国経済の国内消費力を殺いでいる。彼らにとっては、経済植民地と化した「南朝鮮」は、他律そのもので、韓国を自律へと導くべく行動はさらに過激化するであろう。民族の行動パターンとしては、これを「衛正斥邪」(エイセイセキジャ、正道を衛(マモ)り、邪道を撃退する。日本で言えば攘夷主義のようなもの)と呼ぶ。

(2)憤怒が向けられる可能性
  彼らの自律と他律を巡る悲哀は、行き止まりの「廊下国家」(半島国家)と言う不運にある。自律を採れば、李朝朝鮮や北朝鮮のように、国境を閉ざし、防衛経済に転ずるしかない。その代り国内経済は貧窮化する*。国を開き、外資を呼び込めば、やがては飲みこまれ、他律的となる。

    (*小生注:黄文雄著『韓国は日本人がつくった』(WAC出版、05年)によれば、李氏朝鮮時代、韓国は鎖国と悪しき中央集権制によって、経済的には貧窮化が著しかったという。幕末期に朝鮮と日本の双方を旅した西欧人の記録によれば、首都ソウルでさえ、日本の地方都市に比べても、あまりにも貧相で、何も無い有様であったという。300もの藩という地方分権の日本では、蘭学を通じて国際情勢すら勉強して、江戸時代の一部雄藩が富国強兵に励み、外国からの侵略に備えていた。他方で、李氏朝鮮では、中央政府が清国への隷従に戦々恐々とするのみで、首都ソウル市内ですら、市街地は糞尿まみれで、まともに歩けないほど衛生状態も悪かったし、さびれた町であったという。)

  だが同情してはならない。今回の世界遺産申請抱き合わせでも分るように、その自律行動は、ゴネ、イチャモン、タカリと言う至極低劣な「民族の最終独立兵器」によってまっとうされるのが常だ。だから、この点に関しての彼らの「恥」意識は存在しないのだ。むしろ今後、様々な要求を抱き合わせてくる可能性がある。我が国が注意すべきはむしろこの点で、他律的にされたとして嫉妬と憤怒を向けてくるかもしれないのだ。

(3)尚古主義という前近代エトスとの戦い
  現在世界政治を俯瞰すると、「尚古主義」が華やかだ。中国の「中華の夢」、ロシアの「ソ連復興」、ムスリムの「カリフ制再興」・・・これらは単なる戦略ではなく、本当に昔は良かったと思い込んで行動に移されているのだ。「漢代には、南シナ海も、東シナ海も、中国のモノだった」と本当に思い込んでスプラトリー諸島に人工島や軍事拠点を造っている。ロシアも同じ尚古主義で、ウクライナからクリミア半島を奪った。
  「イスラム国(IS)」に至っては、悲願の「カリフ制再興」を実践に移し、イラク・シリア国境を廃棄させ、国境画定のサイクス・ピコ協定を無化しようとしている。

  尚古主義とは、例えば、江戸時代末期を生きた祖父が、明治生まれの孫に「昔は食べ物がもっとうまかった」といい、孫から「ライスカレーも?」と問われると、「そうだ、オムレツもだ」とさらに過激化していくような主義のことだ。
  孫はそう思い込んで、仮想の復興に邁進する。日本で「歴史認識問題」とか「歴史戦」と呼ばれている国際問題の根底にあるのは、実は前近代エトスたちの持つ「尚古主義」との戦いなのだ。
  現在では、これが主権国家の領域を破壊するほど危険になっていることを、我々は中国・ロシア・ISの現在から透視しなければならない。

(4)示された人権意識の停滞、尚古主義に立った反日攻撃の継続
  さて、韓国だ。日本統治時代の対日協力者子孫の財産没収を求める法案の国会成立から、加藤達也産経新聞前ソウル支局長の在宅起訴に至るまでの、法治主義の崩壊、更にはセウォル号沈没やMERS感染拡大は、自然災害ではなく、人為的な事件であり、韓国人の人権意識の停滞を明示している。
  近代化に失敗した韓国には、大国のごとき危険な尚古主義は果たせないまでも、歴史認識に名を借りた卑劣な尚古主義による攻撃がこれからも繰り返されることになろう。

2-2.世界遺産でごねた「強制性」の意味7月9日付産経紙「正論」欄、筆者:同上
(1)棚ぼた式の独立→歴史捏造に走った
  米軍進駐により、棚ぼた式に独立を手に入れた韓国には、国家の正統性が無い。少なくとも独立運動で戦った生き残りは北朝鮮の故金日成の方で、こちらに正当性がある。そこで韓国では様々な歴史の捏造を繰り返し、ドロップアウターやテロリストを英雄にせざるを得なかった。

  日韓併合は不法であり、彼らが日本の不法と戦い続けたという物語を作成し、日本人に同化して生き続けた統治時代のコリアンの実態を無化しようとしたのだ。だが、朴槿恵(パク・クネ)大統領の父親朴正熙氏が満洲国軍の将校高木正雄だったことや、結局世界を魅了し得なかった韓国近代文学の祖、李光珠(最後の文字「珠」は本当はサンズイ+朱)が香山光郎と名乗ったことを否定することはできなかった。

(2)「強制性」が言い訳には必要
  否定するには、強制されてやむなくそうしたのだという口実が必要なのだ。「強制性」さえあれば、不法だったと言い訳ができる。

  日韓併合自体が不法だったとする主張は、既に2001年11月に、ハーバード大学アジアセンター主催の日・米・英・韓の学者による国際学術会議で退けられた。今回の世界遺産申請に際するどさくさを利用して、「強制性」から不法を導くというのは、いわば搦め手(からめて)である。
  慰安婦、徴用工も、「強制性」を剥奪されれば、タダの同化日本人に過ぎない。朝日新聞が「従軍慰安婦」の誤報を認めたことで、「強制性」の大半は剥奪された。残るは「徴用工」で、韓国は必死に挑んでくることだろう。

(3)韓国の問題は、初期のボタンの掛け違いに発している
  問題はそもそも国初(小生注:日本統治から独立した初期のことらしい)におけるボタンの掛け違いにあった。例え棚ぼたであったとしても、民主主義、法治主義、基本的人権の尊重などが満たされれば、韓国は立派な近代国家としての正当性を得ることができた。北朝鮮のような無法国家を凌駕できたのだ。

  しかし、そうはならなかった。法治主義は、司法の為政者に対する「忠誠競争」により劣化し、崩壊した。人権尊重は、セウォル号事件、MERS感染拡大に見られるように停滞している。
    (小生注:北朝鮮のような完全な独裁国家と、経済的にも繁栄し、一応の民主主義もある韓国では、韓国民はもっと自信を持って良さそうなものだが、どういう訳が近年は、北朝鮮シンパが力を拡大しているという。特に司法界、教育界、反日団体などでは従北勢力が強いらしい。)

(4)反日で、左翼と政権が共闘している
  内政は破綻し、外政で追いつめられる朴槿恵(パク・クネ)大統領は、政治家としては素人だ。既に政権内、軍内にも北朝鮮シンパがたくさんいる。

  外相の尹炳世氏にしてからが、北朝鮮シンパだ。同人は、廬武鉉大統領(03年2月――08年2月)の左翼政権時代に国家安全保障会議(NSC)室長、大統領府外交安保首席秘書官などの重要ポストを歴任し、廬武鉉・金正日南北首脳会談実現の立役者となった。同氏はまた、10年末からは朴槿恵氏のシンクタンク「国家未来研究院」で外交・安保分野を担当した後、朴槿恵政権の外相となった。「国家未来研究院」時代の同僚を洗うと、北朝鮮シンパがゴロゴロと出てくるのだ。

  筆者は、今回の世界遺産登録に際し、会場の外に来ていた反日団体代表と趙兌烈外務第2次官が手を取って激励し合う姿をNHK報道の画像の中で見てしまった。要するに、筆者は、従北勢力市民団体と、政権内部の北朝鮮シンパとの「反日」を巡る危険な共闘を見て、警戒しているのだ。

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