ブルガリアの現代史(4):第2次ボリーソフ政権(14年11月--16年11月)

1.第43次普通国会のための総選挙結果
  2014年10月9日(木)午後のMediapool紙(ブル語web紙)で、中央選管の票計算最終結果が発表されているので、下記の通り10月5日(日)実施された第43次国会の総選挙結果を記録しておくこととする。

(1)各党の獲得議席数
  GERB=84議席、BSP=39議席、DPS=38議席、
  改革ブロック(RB)=23議席、愛国戦線(PF)=19議席、検閲無きブル(BBC)=15議席、
  Ataka=11議席、ABV=11議席。

(2)投票者数など
  投票者総数=350万1000名、ただし、有効投票数=328万3000票。
  非有効投票数=21万8125票とこれまでの総選挙(自由化後)で最多の無効票が出た・・・・中央選管としても理由は分らない。・・・全くの白紙状態(政党名にチェックが入れられていない)、或は2政党以上にチェックが入れられている、などの過ちで、無効となった投票用紙が多いという。

(3)得票数
  GERB(ゲルプ)=有効票数107万2491票=32.67%、
  BSP(ベセペ、正式名はBSP Lyava Bqlgariya=左派ブルガリアのブル社会党)=50万5527票=15.4%、
  DPS(デペセ)=48万7134票=14.84%、
  改革ブロック(RB)=29万1806票=8.89%、
  愛国戦線(PF=Patrioticheski front)=23万9101票=7.28%、
  検閲無きブル(BBC)=18万6938票=5.69%、
  Ataka=14万8262票=4.52%、
  ABV=13万6223票=4.15%。
  なお、今次総選挙では、4%の敷居値を超えるに要した票数は13万1326.6票だった。

(4)今後の政府形成協議の行方
  いずれにせよ、最大議席を獲得したG党を中核として、政党間の連立を組み、連立政権樹立に複数の政党が合意することで、内閣形成用意があることを大統領に報告し、大統領の要請に応える形で新政権が発足できるのだが、今回のように8政党(含む連合)が国会内に議席を保有できたので、却って連立の組み合わせの可能性が複雑となり、政府形成交渉、協議はもつれる可能性が強い。

(ア)GERB + DPS?(少数民族配慮型政権
  とはいえ、小生が考える一番単純な連立形成は、G党+DPS=84+38=122議席。DPSと言うトルコ系政党との連立となるが、少数民族のトルコ系住民を政府に取り込むことで政権が安定するメリットがある。色合いから言うと中道のG党とリベラルのDPSと言う組み合わせとなる。

(イ)GERB+改革ブロック+愛国戦線?(右派系政権となる
  次に、以前からBorisovが公言していた改革ブロック(右派)との連立の場合、84+23=107議席で、過半数の121議席に不足が生じるので、もう1党愛国戦線というナショナリスト政党も連立に加える必要性が生じる。この場合は、107+19=126議席と数の論理では一応安定するが、3党連立というのは普通団結力が弱まり、弱体政権となる惧れが強い。

(ウ)GERB+BSP?(夢の大連立??
  数の論理だけでは、84+39=123議席と十分だが、基本的には、中道右派のG党と左派のBSPの連立は、政治思想的にはあり得ない組み合わせだ。G党少数派政権を、BSPが閣外協力するという、不可思議な、怪しげな形態となる。もっとも、そういう構想も一部では囁かれているらしい。しかし、次の選挙のことも考えると、BSPとしては将来を捨てるような選択となり得るので、このような政権の可能性は低いと思う。

2.第2次Borisov政権の形成
  さて上記の10月10日付報道記事後、かなり長い期間を費やして連立交渉が継続され、最終的には、2党連立を他の2党が支えるという異例の形式(実質的には4党連立と言える)で、11月7日(金)の国会でようやく新政権が誕生した。右新政権成立経緯の概要は以下の通り。

(1)連立交渉の最終段階
  2014年11月5日の段階で、GERB+RB(改革ブロック)+PF(愛国戦線)の3党が、基本的には4年間の共同統治計画書(基本政策)に合意した。
  11月6日になって、上記3党の合意に刺激を受け、ABVもG+RB連立政権を支持する(統治計画に賛同する)旨決定した。

    (小生注:(1)RB(Reformist Block)は、主として元Kostov首相がSDS(右派系)から分裂して結成したDSB党(現在の党首はRadan Kanev)と、元来NDSV(王党派)のMeglena Kunevaの「Kuneva新党」とが合体した連合。国会での会派も、Radan KanevとMeglena Kunevaの両名が共同議長となる。
  (2)PF(Patriotic Front)は、Burgas県の元Ataka活動家が分派したNFSBと、VMROの二つの政党が連合した極右系の連合。
  (3)ABV(選択肢党)は、前大統領のGeorgi Pqrvanovが、BSPから分派して結成した新党。


  その後6日中に、G党とRBが連立協定に署名し、その後G党が、ABV党とも「提携(パートナーシップ)協定」に署名した。

(2)過半数議席を確保
  ①第43次国会議席は次の構成となった:GERB=84名、BSP=39名、DPS=38名、RB=23名、PF=19名、BBC(注:検閲無きブル党、国会会派としては最近BDC=ブル民主センターと名乗り始めた)=15名、ABV=11名、Ataka=11名。

  ②野党:今回の実質4党連立で、野党としては、BSP39名+DPS38名+Ataka11名+BBC15名の合計103名が抵抗軸となる。

  ③与党:今回の連立政権は本体が2党で、G+RB=107名。つまり、連立本体のみでは過半数議席に足りない。そこで、これに協力・支持を表明したのが次の2党:PF+ABV=30名。よって、最終的な連立与党側の国会議席数は、107+PF/ABV30=137名となる。
  ブル国会は240議席なので、過半数は121議席だが、連立本体の2党では107議席で少数派政権となるが、ABVが副党首のKalfin(1名)を新内閣の閣僚に送り込みつつ協力し、PFも支持・協力するので、この2党の30議席を加えると137議席と、かなり安定的多数派を構成できる。

  ちなみに、G+RB連立内閣を、①PFは「統治計画に賛同する」形で支持し、②ABVは「提携する(パートナーとしての)」形(副党首のIvaylo Kalfinが副首相として入閣するが、連立にフルに参加してはいない)で支持することとなった。
  G党(保守系)+RB(右派系)の連立本体は、政策的に矛盾が少ないが、PFは極右、ABVは左派と言う風に、思想基盤がかなり錯綜しており、しかも、4党連立という形は、安定性の面で不安が残る。

(3)新閣僚名簿
  Boyko Borisov・G党党首が11月6日に発表した閣僚名簿は次の通りで、人数的には全体が21名の閣僚、この内G党が13名、RBが7名、ABVが1名を占めることとなった。

首相:Boyko Borisov(G)
副首相:
(1)Rumyana Bqchvarova(G、元世論調査会社マネージャー、前回ボ首相時の首席政務補佐官)連立政策、国家行政担当
(2)Tomislav Donchev(G、元EU資金担当副首相)EU資金の受け入れ(吸収)、経済政策担当
(3)Meglena Kuneva(RB、Kuneva党(DBG)党首、元EUコミッショナー)対EU政策、制度問題担当
(4)Ivaylo Kalfin(ABV、元外相、前欧州議員)人口動態・社会政策担当

閣僚
(1)Vladislav Goranov(G、元大蔵次官)蔵相、
(2)Veselin Vuchkov(G、元内務次官)内相、
(3)Daniel Mitov(RB、Georgi Blizhnashki首班の選管内閣で外相)外相、
(4)Nikolay Nenchev(RB、RBに参加しているBZNS党首)国防相、
(5)Hristo Ivanov(RB、選管内閣法相)法相、

(6)Bozhidar Lukarski(RB、RBに参加しているSDS党首)経済相、
(7)Temenuzhka Petrova(G、元金融監査局長)エネルギー相、
(8)Nikolina Angelkova(G、元地域開発次官、選管内閣運輸相)観光相、
(9)Lilyana Pavlova(G、元地域開発相)地域開発相、
(10)Petqr Moskov(RB、麻酔医、DSB副党首)保健相、

(11)Todor Tanev(RB、ソフィア大学行政学部長)教育・科学相、
(12)Desislava Taneva(G、元Sliven市製粉企業経営者、元国会農政委員会委員長)農相、
(13)Ivaylo Moskovski(G、元運輸相)運輸相、
(14)Ivelina Vasileva(G、元環境次官)環境相、
(15)Krasen Kralev(G、広告代理店経営者、元フットボールクラブ「黒海」オーナー)青年スポーツ相、
(16)Vezhdi Rashidov(G、元文化相、彫刻家、トルコ系市民)文化相。




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