「風と共に去りぬ」とアイリッシュ気質

  最近、ハビランドという女優の死亡記事が産経新聞に出ていて、再度自分たちの年代が青春期に熱狂した『風と共に去りぬ』のことを思い出したので、今一度小生のアイルランドに関する思い出を掘り起こして記事にしてみようと思う。

1.「 メラニー」役女優の死亡
 今朝(7月28日)の産経新聞を見ていたら、最後のページにオリビア・デ・ハビランドの死亡記事が出ていました。
 「風と共に去りぬ」の「メラニー」役で知られた女優です。104歳だそうです。
 小生の昔の記憶では、映画を見た頃、メラニーの方が、スカーレットより態度はいいけど、女としての魅力はどちらがいいか?と比べてみたような気がする。ともかく、スカーレットか、それともメラニーか、という選択肢という形で皆が見ていた女優と思うけど、既に104歳となっていたというから驚きです。冥福を祈りたいと思います。

 読売新聞の記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/89376dc9e16a5eb8b99c18d7bf9633c7f8eb32e6
もほぼ同じ記事内容です。
 オリビア・デ・ハビランドについてのWiki 記事は次の通りです:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89  
 ちなみに、このwiki記事によれば、彼女は英、米、仏と3カ国の国籍を持っていたそうです。日本もそろそろ二重、三重国籍を認めた方が、人口減対策としても有効ではなかろうか?。

2.タラという地名のルーツと南部の農園経営者たち
 さて皆さまは、「タラ」の地名のルーツをご存じでしょうか?
 小生は、アイルランド在住が長かったので、「タラの丘」がアイルランド古代の遺跡であること、このあたりが、アイルランド・ナショナリズムとの関連も深い土地であることを知っています:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%81%AE%E4%B8%98

 要するに、スカーレット・オハラの父親を始め、南部に大農場を築き、黒人奴隷を使っての綿花栽培で、英国の綿糸工場を支えていたのが、主としてアイリッシュ系の人々であったというわけです。

 だから、彼らは、英国貴族の真似は出来ても、本当の意味での「ジェントルマン」には成りえない、アイリッシュ系の荒々しさを特徴とする文化が、当時の南部の「金持ち農場主」達です。

 スカーレットは、アイリッシュ系のメンタリティーを代表している性格で、アシュレーとメラニーは、英国的なのです。だからスカーレットは、本物の英国貴族風メンタリティーのアシュレーに恋をしたし、アイリッシュ系の荒々しさを持つバトラーには反感も抱いた!。

 恐らくは、ジャガイモ飢饉で1850年代にアイルランドから移民してきた、貧しい農民たち(1世)とその2世たちが、にわか成金となって繁栄を謳歌していたが、南北戦争の敗戦で没落してしまった・・・・だから、北部のアングロ・サクソンたちが中心のプロテスタント社会にも益々頭に来たはずです。

3.ジャガイモ飢饉に伴う移民ではなかった、訂正
 すみません、小生年代についてのきちんとした検証を忘れていました。アイルランドのジャガイモ飢饉は1840年代で、この時の移民者たちは、南北戦争(1860年代)時期には、未だにNYなどの東部地方で貧しい生活を送っていたと思うから、南部で農場を経営していたアイリッシュ系の人々は、恐らくはジャガイモ飢饉以前の、少なくとも18世紀末頃までの移民たち、及びその2世ではないかと思う。
 時代認識が、甘かったです。

4.飛鳥の都とは異なる(統一王国の首都ではなかった)
 なお、「タラの丘」は、アイリッシュ系によって理想化されていて、日本史で言えば、飛鳥の都のような扱いになっていますが、Royal Taraとか、タラ王朝などというほどの統一的王権は、アイルランドでは成立したためしがないはずです。

5.ジョン・フォード監督が描いたアイリッシュ気質の意味
 Gentlemanという英語は、「静かで穏やかな男」という意味ですね。英国の貴族階級を気取るには、あまり強く自己主張せず、静かに周囲の意見に耳を傾ける、こっそり周囲を観察して、鋭く状況を見据える・・・そういうイメージがあるはずです。他方で、ケルト系で血の気の多い、荒々しさを重視するアイリッシュの文化では、静かな男は、英国系文化に染まった人間として嫌われるようです。

 こういう、アイリッシュ系の偏見というか、英国系への敵意というか、それを描いた映画に『静かな男=The Quiet Man』があります。ジョン・フォード監督で、ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ主演のこの映画は、アイルランド西部のCongという小村(メーヨ県とゴールズウェー県の境界に位置し、付近にAshford castleという立派なお城がある)を舞台とした映画です。ジョン・フォード監督は西部劇を多く撮影し、黒澤明監督にも大きな影響力を及ぼした人です。
 静かな男に関するWiki 記事:
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%99%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%82%8B%E7%94%B7

 映画そのものは1952年製作ですが、小生はアイルランド在勤時(1990年頃)に再放送をテレビで見たような気がします。Cong村のパブでの場面などが美しく撮られています。この村には、映画撮影に使用されたパブなど、関連の観光施設が豊富で、未だにこの映画の「聖地巡礼」客の需要を当てにしているようでした(とはいえ、小生が現地を訪れたのは、1990年代初頭のこと)。

 上記wiki記事を参照いただければ、だいたいのストーリーは分ると思いますが、小生の視点は少し異なるかも:小生に言わせれば、米国ですでに経済的成功を収めた「アイリッシュ系2世」らしいジョン・ウェインは、すでに北米のアングロ・サクソン的な、静かな男(Gentleman)の文化に染まっている感じで、メアリー・ケイトの兄レッド・ウイルの気に入りません。

 妹と結婚したいのなら、腕ずくでも持参金をせしめる勇気と強引さが必要と考えるレッド・ウイルは、喧嘩を挑発するのですが、ジョンはなかなか応じません。これに激怒したのはメアリー・ケイトです。持参金を兄から分捕ってくれないと、正式の結婚として自分の実家からは認可されていないことになるから、プライドが許さないのです。

 結局ジョンとレッドの荒々しい喧嘩で、ようやくジョン・ウェインも「お前もきちんとアイリッシュだ」とレッドから認定され、持参金を確保して、結婚が認められます。

 何とも田舎っぽい伝統ですし、素手で殴り合うという、荒っぽい喧嘩が大好きという風に見えて、我々からすれば、アイリッシュをこういう風な荒くれに描くのはどうかな?と言う感じもするけれど、アイルランド移民のジョン・フォード監督の同族への思いとか、故郷への思い入れは、「英国風の静かな文化など糞くらえ、男は喧嘩して勝つべきだ」、ということなのでしょう。西部劇という米国のマッチョ文化を唱道したジョン・フォード監督の視点、嗜好がかなり入っているのかも、という気もします。実際のアイルランド人は、小生の感じでは、必ずしもマッチョでも、一方的な自己主張ばかりの人間でもない、穏やかな側面もあると思う。 
   

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