ブルガリア研究室

アクセスカウンタ

zoom RSS 「先端技術への過信」が金融危機の原因

<<   作成日時 : 2008/10/17 18:49   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4


  今回は、金融工学という、コンピュータ技術が産んだ一つの徒花技術と、昔レーガン大統領がSDI(戦略ミサイルを迎撃するミサイルを開発するという政策)という詐術で、ソ連を騙し、ソ連崩壊を導いたこととの関連を、考察してみた。同じくコンピュータ技術という先端技術での優位を、過大に米国が主張して、全世界を騙すことに成功した、という点では似ているのだが、前者が米国自身の破滅を導き、後者が、共産主義の破滅を導いたというように、その結末は、全く異なっている。結局、レーガンの話術は、正しい目的で使われたのに対し、金融工学詐術は、目的が不正義だったのであろう。


1.金融技術への過信
  米国発の金融危機は、米国が生み出した「金融工学」(注:レヴァレッジ手法によって、元手資金を10倍にも、百倍にも膨らませて投機すること、危険の大きい投資物件についても資産を小分けにして(証券化)リスクを分散したり、投資保険でリスクを減らしたフリをするなど、何重にも偽装を施して、結局実体として何に投資しているかを、投資家自身にもわかりにくくした上で、そういった証券化債権について、格付け屋達に高い格付けを付与させて<一種の談合があった模様>厚化粧し、世界中に「新種の証券」を売りまくること)が、遂にその化けの皮をはがされて、住宅投資・不動産投資も、ヘッジファンドによる投資も、全てがバブル(上昇気分)に便乗しただけの危険な投機であったことが暴露されたと言うことだと思う。

2.バブル崩壊による損失額(暫定値)は、戦費と奇妙に一致
  バブルがはじけてみれば、実体経済としての米国経済は、イラク戦争、アフガン戦争に巨額の資金を浪費したので財政赤字の累積が膨大となり、バブルに浮かれて消費、輸入ばかりしていたので、貿易赤字も拡大したりで、結局国の債務ばかりが膨大となってドルの価値基盤が揺るぐほど、自国経済の根幹は弱体化してしまっていると言える。昨夜の日本のTVでは、アフガン、イラク戦費の累計7000億ドルと、今回の金融安定化法案で組んだ資金7000億ドルは、見事に同じ金額だと分析していた。

3.先端兵器への過信が発端 
  考えてみれば、アフガン、イラク戦争も「イデオロギー(テロとの戦いという名目)で名分は作って」はあるが、実質的には、中東から更にはロシア、中国の裏庭である中央アジアまでを、米軍のパトロールできる、要するに米帝国の覇権範囲内に取り込もうという、拡張主義という冒険をやってみたが、見事これに失敗して、今金融危機という形で金銭的な付けが回ってきたという風に考えると、良く理解できると思う。(米国の先輩である英国は、「アフガニスタンには深入りしてはいけない」、という地政学上の知恵を有していたはずだが、最近の米国人は、古く良き英国の知恵を無視している。)
  思い出してみると、最初に、アフガンのタリバーン政権を潰すために、最新の米軍兵器(スマート爆弾によるピンポイント空爆)が予想を極めて上回るほど成功を収めたことが、間違いの元だった。すなわち、極めて効率的で、安価な戦争で国際問題を決着できるという「宣伝文句」が、一部の米国野心家政治家達(チェイニー米副大統領が筆頭、いわゆるネオコン=neo conservatives)によりばらまかれ、ブッシュ大統領が、あっという間の短期間にタリバーン政権を追放できたように、イラクでも、安価な戦争は可能だというネオコン理論に乗っかってフセイン政権に戦争を仕掛け、冒険した結果が、泥沼のテロ戦争に足を引っ張られて、底なし沼のように巨額の戦費を投入しなければ、イラクでの治安を回復できないという状況に追い込まれたのだ。
  戦争、或いは戦後の治安維持のための巨大兵力配置には、コスト、リスクが高すぎるという、中東専門家、軍事専門家達の忠告を全て無視し、冒険した結果の国家経済の破綻というのが、今回の金融危機に関する、正しい解釈であろう。その意味では、かつてのベトナム戦争、ソ連が失敗したアフガン紛争の双方と、今回のアフガン、イラクにおける「対テロ戦争(注:名分としての対テロ戦争で、本音は「中東の油田権益の確保、天然ガス資源の豊富な中央アジアへの覇権樹立」が目的であった可能性が高い。)」には、戦略を見誤った先見性の欠如による自滅、という要素が共通すると小生は思う。

4.コンピュータ技術への過信
  金融工学も、先端兵器も、突き詰めればコンピュータ技術に依存した最先端の技術であり、こういう技術面で最先端を走っているから、より遅れている諸国から「貿易黒字をはき出させて、金をぶんどってやろう」とか、「兵器面での先進性を利用して、侵略的手法で、油田や天然ガス資源を押さえよう」という、小狡いことを考えた米国政府の野心家連中が、国家破綻を導き出した、ということが言えるかもしれない。親米家の小生としては、ここまで米国を悪く見たくはないのだが、現在の小生の頭脳では、この程度の結論に至ってしまうのが悲しい。
  少なくとも、ブッシュ政権は、クズだったように思えてならない。今更そういうのも気が引けるのだ。実は小生は、クリントン政権が「日本を過度に敵視し、中国を優遇する政策で、我々をいじめ抜き、シャブリ尽くした」という風に感じていたので、それに比してブッシュ政権は、「日本に寛大で紳士的に扱ってくれる」と、高く評価していたのだ。一国主義で、自前の金で冒険しているように見えても、結局は世界の金融システムを使って、タダで刷れるドル札を乱発し、「金融工学」でボロ儲けを図りつつ、軍事面でも冒険主義に走ったという、超過激・傲慢政権がブッシュ政権だったのかもしれない。

  最近読み始めた新書に、櫻田 淳著の『漢書に学ぶ「正しい戦争」』(朝日新書、2008年9月)というのがあり、それによれば、古代の中国の知恵では、戦争には5種類あり、「貧兵(たんぺい)」というのが「他人の土地、貨幣、財宝を利用する目的で始める戦争」というものであり、良くない種類の戦争である由。米国は元来、道徳、倫理面での正しい戦争(櫻田著では、正義の戦争は、「義兵」、「応兵」の二つ)、という視点を重視していたように思うのだが、冷戦を勝ち抜いた驕りから、「貧兵」という、やってはならない戦争に走ってしまったのではないか。そうであるならば、なるべく早くそういう状況から脱出すべきであり、正義ではない戦争という無駄な冒険を反省して、国内経済・国民生活の立て直しに国家の方針を向け直すべきであろう。

5.レーガンの宣伝にブレジネフ、ゴルバチョフらは欺され、自滅した
  そういえば、レーガン政権が主張したSDI(戦略防衛イニシャチブ、大陸弾道ミサイルを防げると称する防御ミサイルの開発政策)方針が、全くの見せかけ、偽技術だったのに、ソ連側が、コンピュータ技術面での決定的な立ち後れに鑑み、米国の技術ならば可能かもしれないと誤解し、あわてふためいて(レーガンに欺されて)、クレムリンが共産政権にとってタブーであるグラースノスチ(情報、議論の公開)、ペレストロイカ(経済体制の再編、実質的には資本主義への部分的譲歩)という路線で墓穴を掘ったことが想起される。SDIも一種のコンピュータ技術への過信から来る間違いだったが、今でも我が防衛省までが乗せられている。すなわち、SDIが「ミサイル防衛」と名前を変えて、無駄金が浪費されようとしている。困ったことだ。

  ある科学者が述べていた言葉が小生には正しいと思う:拳銃弾を拳銃弾で打ち落とすということは不可能、同様に、ミサイルをミサイルで撃ち落とすなどと言うのは、実際問題として不可能。要するに、迎撃ミサイル技術などは、所詮金の無駄遣いだというのだ。米軍の、或いは、イスラエルなどが主張する迎撃ミサイルの「実験成功」は、迎撃ミサイルを撃つ際に、囮となる攻撃ミサイルの性能とか、弾道とか、全ての条件値を予め知っているから成功することもある、という程度の技術でしかない。迎撃ミサイルの成功率は、実は、せいぜい数%であり、大金を使うに値しないのだ。チャフ散布などの、簡単な技術で、迎撃ミサイルの目標を狂わせることは簡単らしいので、そういう不可能な技術に大金を使うよりは、やはり「目には目を」が兵器の原則であり、こちらも攻撃ミサイルとか、巡航ミサイルなどの、攻撃兵器に投資すべきなのだ(憲法上の制約で、出来ないと言うことらしいが、そういう下らない、自縄自縛の議論しかしていないのでは、国防は不可能だ)。

6.SDI詐欺と、金融工学詐欺の違いは?
  SDI詐欺の結末は、市民の自由を剥奪する、人権無視の共産体制をソ連、東欧で崩壊せしめたし、形式上共産体制を残す中国、ベトナムでも、人権侵害の程度が減少するという、良き結果をもたらした。
 他方で、今回の「金融工学」崩壊は、欧州、中東、ロシア、中国などの強欲投資家達が、米国の金融詐欺師らに欺されて、大金を失った、という結末なら、それはそれで面白いのだが、事実はどうも違うのかもしれない。

  米国人の一部強欲な金持ちとか、モノ作りを捨て投資によるボロ儲けに奔走した一部投機家とか、そういった自業自得の人のみならず、年金基金などの、普通の市民のファンドとか、自治体の資金などまでが、金融商品に投資されていたほどで、ある意味大半の米国市民が、大きな損失を被るという、哀れな結末であるようだ。
  もちろん欧州、中東、ロシア、中国などの資本家で、米国のハイリスク、ハイリターンに投資して失敗した人々も多く、全世界に被害が及ぶだろうが、直接的な損失の多くが、実は米国の投資銀行(5つの主要投資銀行は、既に破綻した。一部が「商業銀行」として、生き残りを図っている)、商業銀行、生保、不動産企業、ヘッジファンド、などでも出ており、結局「勝ち続けうる、と信じて、投機にのめり込んだ米国の金融機関、市民、自治体、諸企業」などが、総崩れとなっているように見える。

7.なぜ日本までが沈没する?
  89年12月のバブル崩壊で、「失われた10年を経験した日本の場合、怪我はより少ない」という説が強いが、その割には、株価の暴落という面では、日本の被害も甚大であり、この辺の理由が小生には分かりにくい。現在の日本経済が、輸出依存度が高く、要するに世界不況により、輸出産業が不振となって、日本経済も後退が激しくなる、という予想のようだが、10年に及ぶ不景気、デフレを経験して、質素倹約に慣れた日本人なら、年金生活者の活躍による食糧生産の自給率の向上など、地道に乗り越える努力を出来るはずだ。
  それにしても、金融工学詐欺に、さほど荷担も、乗船もしなかったはずの日本経済が、どうしてこうも意気阻喪しているのか?それほど日本は、今でも米国におんぶにだっこの情けない国なのか?世の中の賢人諸君、小生に教えていただきたい! 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。初めまして。
mugiさんの所から来ました。

経済に関するブログがありますが、それによると日本は内需主導型で輸出はさほど寄与していないとの事です。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#GaijuIzon(2006年のデータが元ですが、今でも大幅に変わってないと思います)。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/3336604.html
日本が悲観的になっているのは、悲観論が好きな性格があるかもしれません。ちなみにシナ人は土地バブルが崩壊しようが、公害で土地がおかしくなろうが、自国経済に対して非常に楽観的で、すぐ経済が立ち直ると思っています。
あの楽観的な性格は不思議です。
スポンジ頭
2009/02/01 23:12
スポンジ頭様、
コメントありがとうございます。日本ほど経済規模が大きくなれば、輸出の占める比率が相対的には小さくなります。輸出のもたらしている国内経済への恩恵、国富への寄与は、数字は別として、必ずしも小さくないのではないでしょうか。輸出の意味は、新たな国富への積み増し、という意味で、やはり重要であると思う次第です。それに、中国とか、新興国からの需要は、鉄鋼とか、化学品など、既に衰退期に入ったと思われていた日本の「固定装置産業」を復活させたし、古めの産業を当面再興し、景気全体を底上げしてくれているという効果も無視できません。数字のみの大小では、見えない部分もありそうに思う。
他方、悲観論すぎるから、経済が更に低迷する、という貴兄の理論にも、肯定すべきところがあります。ただし、小生は日本人の謙虚さとか、慎重さとかの美徳の大部分は、結構悲観論というか、韓国人に言わせれば「縮み思考」というか、そういう根暗部分とも重なる性癖という風に考えるので、楽観論の「いけいけ主義」に性格を変えれば良いとも思えない。
室長
2009/02/02 12:05
>>数字のみの大小では、見えない部分もありそうに思う。
シナへの輸出に関してですが、あれはシナが日本へ物を輸出して日本へ戻ってくると言う形になってます。かなり大雑把に言えば結局日本で生産・消費するのと同じじゃないでしょうか。もちろん、製造業が国内でも金を稼げるように新しい産業を創出する必要があると思います。

>>楽観論の「いけいけ主義」に性格を変えれば良いとも思えない。
一週間ほど前、ヤフーのニュースサイトを見ていたら、今回の金融危機で一番悲観的な意見を持っているのが日本人でした。相対的に日本の損傷は少ないのであまりにも意識がおかしいと思うのです。別に楽観論にしたらいいとは思いませんが、自分の置かれている状況と能力を測る思考が自分への過小評価に向く傾向があると思います。国家の存亡を掛けて戦った経験が絶対的に少ないので、何か困難に出会うと諦めてしまうからか、とも感じます。

きちんと論理立てて書けず申し訳ありません。
スポンジ頭
2009/02/02 20:59
またコメントありがとうございます。製造業が、国内で金を稼げるようになる・・というのは、そう願いたいですが、それでも新興国との競争上、社員の給与は抑制される、ということが頭の痛いところ。賃金格差が大すぎて、付加価値の低い製造業は、新興国に移転されてしまう。
楽観論で今の不況時を乗り切るべきとの、貴兄の視点には小生も同意。長期的に見て、悲観論、慎重論を忘れるなという趣旨です。
室長
2009/02/05 09:22

コメントする help

ニックネーム
本 文
「先端技術への過信」が金融危機の原因 ブルガリア研究室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる