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<<   作成日時 : 2009/06/25 02:50   >>

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 昨晩(06/24)のTV東京夜のWBSニュースでは、レガシー・コスト(legacy cost)問題を取りあげて論じていた。「過去に成功した成功体験の温存に基づく、不経済な出費」或いは、「過去に形成された、今となっては不条理な制度の温存に伴う、経済理性に反した出費」というのがレガシー・コストの意味らしいが、興味深い内容だ。ある会社、或いは国家が、特定の制度を対策無しに放置すれば、破産するという意味で、政治家にとっては今後益々重要性を増す課題とも思えるので、少し小生としても論じてみたい。

1.GM破綻の教訓
(1)上記ニュース番組で図式化していた問題点は、次の通り:
  GMの場合               日本国の年金制度の場合
「退職者」の増加、                 「高齢者」の増加、
少数の現役「従業員」が多数の      少数の現役「世代」が多数の高齢者の
退職者の年金、医療保険を支える       年金、医療保険を支える
↓                  ↓
  破綻                   破綻??

(2)粉飾決算の弊害
 GMの破綻を導いた主な理由は、「少数の現役従業員(9万人)が、その5倍にも上る多数の退職者の年金と医療保険を支える」という 、異常なほどのレガシー・コストを抱え、普通の計算をすれば、企業破綻が相当前から明白だったにもかかわらず、肥大化し、官僚化したGM本社の会社官僚(「民僚」という言葉を使うらしい)達は、将来の年金基金運用益を過大に予測したり、会社収益、給与の伸び率を過大評価して、基金への納入金を過大に見積もったりという粉飾決算を繰り返しつつ、事態を先送りしてきたという。要するに、レガシー・コストを抑制して、会社の収益体質を抜本改善する「改革」を回避して、不況時の「破綻」を確実なものとしてしまったという。

(3)日本も社会福祉費の抑制失敗で破滅する?
  同じことは、日本の年金会計でも行われていて、非現実的な納付率(80%)とか、基金運用利回りをやはり非現実的に高い4.1%に設定するなどの数字のマジックを使って、現役時の平均給与の51%の給付率を「可能と強弁して」維持しているという。要するに粉飾決算で将来を楽観視しつつ、このような無謀な給付水準を無理矢理維持しており、このままでは、後20年後には、現在存在する年金基金の貯金部分資金が枯渇し、制度は破綻するという。これを回避するには、政治的決断で、収入の程度に見合った現実的な給付率への引き下げという「改革」を断行するしかないという。
 とはいえ、国政選挙を戦うため、与党は民意に反するような年金給付金の低額化、医療保険掛け金の高額化などの社会福祉切り捨て政策は難しく、不況対策という経済政策を名目に、真逆の政策=国債発行増大に基づく赤字財政拡大覚悟の大盤振る舞い予算を今次国会で通している。すなわち、日本国もGM同様に「福祉」関連のレガシー・コストの増大を適切に抑制することに失敗して、国家全体の破綻、破産を来す可能性が大なのだ。

(4)小泉改革は一時的に成功したはずだが
 根本的には、民意迎合、大衆迎合に陥りやすい民主主義制度の欠陥とも言える。元来が厚生族だった小泉元総理が、厚労省官僚の悪知恵を総動員して、「改革」の美名の下国民を欺いていつの間にか成立させていた「医療費の上限枠設定」などの社会福祉予算の低減化政策が、今回の麻生弱体内閣の「総選挙対策、民意迎合、予算水増し作戦」で、全て後退して、赤字拡大路線に復帰したのだから、将来的には危険この上ない政策でもある。

2.不況時の一時的政策が恒久化して、レガシー・コスト問題が深刻化する
(1)民主党政権?
  鳩山民主党代表は、今回の麻生水増し予算の可決を容認したほか、「財源論議抜きの福祉拡大論」を展開しており、総選挙勝利=政権奪取に成功すれば、結局は赤字垂れ流しの無責任な予算を編成する可能性が大だ。

(2)自民政権継続?
  他方で、麻生自民党側が、何とか衆議院での多数議席を確保して万一政権維持に成功したとしても、益々弱体化した自民党政権では、今後も将来の国家財政破綻を懸念して、理性的な行動を取ることは、もはや難しいのではないだろうか?それに、議席の甚大な喪失の責任を取らされて、ほぼ確実に麻生総理は退陣し、後継総裁選挙が実施されるはずだ。
何れにせよ、後継の自民政権は麻生政権に比べて衆院議席も激減した、超弱体内閣だから、赤字垂れ流し財政を継続してしまう可能性が大だ。

(3)既に異常な日本国の赤字規模を無視するマスコミの報道ぶり
  最近のマスコミ報道を見ていても、元来助けることが難しい病人の命ですら、どれだけ高額の医療費をかけてでも、助けるのが国家であると言うような方向で、幼児のための臓器移植問題などが議論されている。
  自然災害についても、もっともっと公的負担の増大による被害者救済制度を充実すべきと言うような、国家の負担に関して、上限がある、国民の税負担には限度があるという、冷厳な現実無視の感情論が横行する傾向がある。

(4)自滅の道筋?
  こういう議論が先行するようでは、国家として理性的に財政規律を守るべきと言うような正論は、通りにくくなるのが民主主義の弊害なのだ。麻生総理の唯一の良識は、「将来の消費税増額」を断言していることだ(最近の発言ぶりは、やけっぱちに聞こえるが)。
  そして、国民が十分理解できなかった不思議な人物「小泉純一郎」という、ある意味レガシー・コスト削減に唯一邁進した「近年の大政治家」の教訓は、忘れられ、「世界一の借金王」を自認した小渕総理の路線が、再度繰り返されて、日本国家はレガシー・コストの重みの中に沈没していく可能性が高くなっている。まさにGMの悪夢が、日本国家そのものという形で生じるのである。

3.今後の政界への期待
(1)東国原英夫知事?
  昨日辺りから、東国原宮崎県知事の国政への転向問題がニュースの中で大きく取りあげられている。小生も先日、「地方政界のエネルギーが国政の停滞を救う」可能性というような観測をしてしまったのだが、本当はもう少し先の時点で、しかも小生の期待値の高い政治家は橋下徹の方なので、若干引いてしまっている。

(2)桝添大臣に期待する
  そうはいっても、病院における医師不足、看護師不足、年金制度改革、など、国民を苛立たせている数々の厚労省の失政を挽回するには、今現在十分に指導性を発揮していないように見える桝添大臣が、早い将来に総理となって、今回の厚労相経験・知識を生かして、正しい施策を推進してくれるのに期待するとかしか、地方政界からの転向組に代替する、新しい政策への期待を担いでくれそうな政治家が、見あたらない。小生自身は、桝添氏に早く総理になって貰って、厚労省の政策軌道を抜本改革して欲しいものだ。 

(3)自民党は、思い切った改革をせよ
  ともかく、現今の自民党政治家の中で、国民的人気が高い人物は、ほとんど誰も見あたらないのが、一番の問題だ。昨年夏の総裁選で、麻生氏ではなく、小池百合子を選ぶというような、斬新な方向を打ち出せるような感覚が自民党には皆無らしいのが、今の事態に繋がっているのだ。
  今回の総選挙で惨敗して、その後の総裁選で、桝添氏とか、東国原氏とか、或いは橋下氏とかを選出しないようでは、自民党の将来はないと思う。尤も、責任感の強そうな橋下徹氏は、大阪府の改革をやり遂げてから国政に転出するであろうから、今年秋の総裁選には間に合わないだろう。

(4)古賀氏の情勢判断
  ともかく、小生は大嫌いな政治家だが、古賀自民党選対委員長は、東国原英夫氏を口説くという、ほぼ誰も思いつかないような奇策を思いついたという意味で、国民目線を知っている政治家ではある。麻生政権の人気がこれほど崩壊し、かつ怪しげな鳩山民主党が不可思議なほど人気上昇している今、ともかく何か思いきったことをする、明治維新が主として薩摩の兵力・財力で実現したように、もう一度九州から政界大変動の波を起こすということを古賀氏が考えたとしても、不思議ではないのかもしれない。
  麻生氏も九州の財閥出身ではあるが、庶民出身の東国原氏が何らかの方法で旋風を巻き起こして、既存の自民党の古狸達を一掃してくれるということは、庶民目線、国民目線から見れば正しい大改革の匂いがするのだ。
  もっとも、伝統主義国家の日本では、大勢の嫉妬者が現れ、成り上がりの東国原知事の台頭を阻止してしまうという、面白くない展開、結末が目に見えるようだ。少しは国民に期待とか、希望を抱かせるような、斬新な政治を目指さないならば、自民党が消滅する可能性が、またもや浮上しているというべきだ。
  

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 昨年からマスコミの政治報道は、解散選挙中心のように思えます。ここ最近、特に酷くなってきたような。大衆迎合に拍車がかかるのは民主主義国家の欠点ですが、内閣支持率何%のニュースが頻繁に取り上げられる。何時から内閣支持率がトップニュースになってきたのでしょう?支持率だけが重視されるなら、政治家は大したことをやれない。

「椿事件」をご存知でしょうか?細川政権誕生時、マスコミによる野党偏重報道により、誕生した内閣だったことをネットで初めて知りました。味をしめたマスコミがまた扇動報道をしているようです。選挙となれば、広告費も入りますしね。
mugi
2009/06/28 11:50
 民主化後のブルガリアでは、世論調査機関による支持率は、選挙結果と照らし合わせると、極めて当たっていることが注目に値します。統計学的に裏付けを受けた手法というものが、世論調査機関では採用されており、実際の民意動向を反映できるからです。例えば、NHKがやる世論調査でも、コンピュータで全く任意に、2000ほどの電話番号を抽出して、アルバイトなどに個人宅に電話をかけさせて、1400近くまで結果(回答)が得られた段階で、電話調査を終了します。1.3億人の人口、8千万人ほどの有権者(?)としても、1千強の任意抽出有権者の意見で、だいたい選挙動向が把握できる、というのが世論調査に関する統計学的な立場です。
 人口750万人ほどのブルガリアでも、約1千名弱にアンケートしているので、日本におけるサンプル数は粗いといえますが、統計学上は意味のある手法らしいです。この意味で小生は、世論調査を無意味とは思わない。
 
室長
2009/06/28 17:11
(続き)椿事件も記憶しているが、今のマスコミでそこまで露骨なことが行われているとは思わない。マスコミ社長らも、民主党政権を本気で望んでいるとは思えないし、社長といえども大方針は示しても、現場の局長、部長レベルの個々の取材方針には普通介入しないらしい。椿も「局長」だったかな?ともかく、全てのマスコミが共同歩調をとることはあり得ないので、「偏向」は世代的な意見の偏りによるとか、または日本人の大勢迎合主義的なものと思う。
 小泉政権以来、マスコミは、劇場型の政治を好む傾向がありますが、他方で、冷戦構造が崩壊してロシアが正気を取り戻したり、米国の金融詐術が破綻して米国経済の衰退という正体が暴露されたり、中国、インドが経済・軍事両面で台頭したりと、世界情勢が激変しているのに、自民党にまともなリーダーが登場しないという国内政治の危機もある。国人は、歯がゆいのでしょう。オバマほどではなくとも、国民があっと驚く新リーダーの誕生に期待している、ということ。それが実現しうるかどうかは、分かりませんが。
室長
2009/06/28 17:20

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