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zoom RSS 日本財政は破綻していない?

<<   作成日時 : 2009/10/31 00:21   >>

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 さて、小生は最近の週刊ポスト誌に掲載されたある記事に大いにとまどいを感じている。これが真実とすると、我々は財政に関し、少なくとも今の段階では、それほど心配せずとも良いこととなる。しかし、そんな議論はこれまで聞いたことがないぞ?
 以下に、本件記事の概要、小生の論点を記す。

1.10月9日号『週刊ポスト』掲載書評
 これは、森永卓郎(エコノミスト)氏による、菊池英博著『消費税は0%に出来る』(ダイヤモンド社)に関する書評という形で、短い紹介文だったが、次のような驚くべき指摘をしていた:日本政府は巨額の借金を抱えているが、他方で金融資産も持っているから純債務は289兆円に過ぎず(07年末)、これはGDP比5割台というOECD諸国の中でも普通の水準である。更に、07年度の一般会計における国債発行額は25.4兆円で大きな財政赤字だと言うが、他方で特別会計には42.6兆円もの剰余金があるので、一般会計+特別会計では「実際には黒字である」!!!

2.10月30日号の『週刊ポスト』記事
 上記記事に引き続き、今回は、菊池英博(日本金融財政研究所所長)氏自身が、鳩山内閣の予算見直しを論評する形で、日本の財政に関して、「財務官僚に騙されるな!」として、次のようにより具体的に細かい数値を指摘している。(注:若干数字が合わないので、この点を出来る限り計算して、小生の注で補ってみた。)

(1)増税の必要すらない、消費税ゼロすら可能
 日本政府の金融資産=特別会計剰余金+年金積立金=549兆円:政府がこれだけの金融資産を持っている国は、世界的に見ても他にはない!

(2)「財政危機」は財務省の演出?
  日本政府の債務残高(07年末)=838兆円:先進国でも飛び抜けて借金が多いので、国債発行額を減らすべき、と財務省は主張!

 しかし菊池氏は、日本政府は、特別会計備蓄金=約70兆円、年金・健康保険など社会補償基金=222兆円、外貨準備=116兆円(以上3つの合計は408兆円)、など07年末で合計549兆円の金融資産を保有する、と反論する(注:549兆円と408兆円の「差額141兆円」は、どういう種類の金融資産なのか、記事には詳しい言及がない。結構巨額の金額が、詳しく説明されていないのだが、上記のダイヤモンド社著書では明白にされていることだろうと推測する)。
 また、国際基準では、一国の債務は借金から金融資産を引いた「純債務」で見るものであり、日本の純債務は289兆円に過ぎず、GDP比で欧米並み(すなわち5割程度)の水準だ、という。

(3)役人は、母屋で粥をすすり、離れではすき焼きを食べている(塩川正十郎元財務相の言葉)
 「母屋(一般会計)」では、税収が51兆円で、歳出は約82兆円(07年度決算による)と31兆円の赤字(注:上記1.で国債発行額は25.4兆円というから、5.6兆円分は、どうやって補填されているのか?)。もっとも、一般会計からの支出分は教育費、公共事業、公務員人件費などの34兆円のみで、残り48兆円は特別会計に加算される由。

 「離れ(特別会計)」では、歳入=209兆円(注:上記一般会計からの加算分48兆円をこの中に含むらしい、これを除けば161兆円となるはず)。

 歳出は:@国債償還・利払いなどの借金返済=77兆円、医療・年金・介護などの社会保障=50兆円、地方交付税=15兆円、これらの合計は142兆円。Aその他24兆円(注:この24兆円は、記事で言及されていないが、計算上は、下記剰余金額から見て209兆円ー142兆円=67兆円、67兆円ー43兆円=24兆円となるので、小生としては数字をきちんとしたかったから、「その他」として記す)。@+A=166兆円=特会支払い額。B剰余金=43兆円(注:上記1.によれば、より詳しくは42.6兆円らしい)。歳出合計=@+A+B=209兆円。
 つまり、離れの特会では、約43兆円もの黒字があり、すき焼きが食える状態らしい!!

(4)消費税率
 菊池氏によれば、英、伊、独、スウェーデンなどの消費税率は、17--25%と高いが、国税収入に占める消費税の割合で見れば、欧米も日本もほぼ同じ。なぜそうなるかというと、@欧米では生活必需品など非課税品目が多く、多少日本は、ほとんどの商品・サービスに例外なく課税するから。更には、A日本では、欧米に比べて、法人税、所得税収入が低すぎるから、という。
 (注:ちなみに、小生が記憶するところでは、ブルガリアという新興国では、IMFの指導下に厳しい財政規律が強制されていて、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)は、一律20%で一切例外は無いという高率だった。また、政府歳出は、赤字がほぼゼロという厳しい財政規律が、IMFの指導下で厳密に守られ、この故に、各省庁は、予算の執行を例えば「節約率5%」とかで各期毎に執行するので(日本の官公庁も、執行段階で、各部・各課に節約率が課されている場合が多かったように記憶する)、年末には若干の余剰金が出て、これで公務員とか、年金生活者向けに「年末ボーナス」が加算・支給されていた!!なお、西欧では、小生が在住したアイルランドの例では、確かVAT税が18%だったような、しかし食品、学用品は非課税だったような気がする。それに、市民は給与の4〜6割ほどが所得税+社会保障税として取られるほど過酷な重税に喘いでいたと記憶する。)

3.小生の論点
(1)分かりやすい予算形式とすべき
 一般会計から特会に48兆円もが回されているらしく、しかも特会の方が一般会計に比べて2倍〜4倍も巨額が動くとなると、日本政府の予算形態は、諸外国の常識を越える不可思議なものだ!!その特別会計に関しては、新聞報道も稀だし、要するに国民の監視がほとんど無いという、官僚裁量の巣窟らしい。そうならば、マスコミは、より詳しく切り込むべきだし、与党となった民主党も、野党時代には「特別会計が野党には詳しく情報開示されない」と怒っていたのだから、情報をより詳しく開示して、財政の実態をより明瞭にすべきだ。特別会計も合算して、詳しく国家債務の状況を検証して、借金体質から抜け出せるように、本格的な議論をすべきであろう。

(2)年金基金はなぜこれほど頼りないものとなったのか?
 特に我々年金世代は、過去において「年金基金の積立金」をさんざん取られていたはずなのに、最近は、「若い世代から年金資金が支給されている。年寄りが多すぎるから、青年達は貧しくなる」などと言いがかりをかけられ、肩身の狭い思いをしている。そもそもは、我々こそ、「未来のために積み立ててくれ」、といわれていて、少ない収入の中から、割り増し的に多めの金額を、年金掛け金(積み立て金用を含む)として長年支払ってきたはずなのだ!その貴重な年金基金が、旧厚生省官僚による「レクリエーション施設(実体はホテル、温泉の類)」などのハコモノ(赤字垂れ流しだが、天下り官僚の温床)に無駄遣いされたり、不適切な金融商品への投資で利益どころか、マイナス(損失計上)となったり、現役及び天下り厚生官僚によって勝手に無駄遣いされたあげくに、「年寄りの年金受領者が多すぎて、年金を賄うには基金(積立金)だけでは不十分だから、今の年金は現役世代=青年達の年金掛け金からも、相当加算されている」と、肩身の狭い言い方をされるのでは、「誰の責任か!」と怒鳴りたい気分だ。
 しかし、上記によれば、年金・健康保健など社会補償基金が222兆円あるらしい。それなら、まだ年金基金部分には、余裕があるようでもあるから、現役世代からの納付金がどの程度現行の年金支給金にも既に回されているのか、確かな数字を示して欲しいものだ。

(3)余剰金で借金をすぐにでも減らせないのか? 
更には、この特会余剰金議論に関しても、財務官僚達からは、特会資金は弾力性が無く、借金返済にそのまま使えるモノではない、この余剰金がなければ国債発行が全く不可能となるし、国債金利はべらぼうに高くなる、などと説明されるのがオチのような気がする。 ともかく、菊池氏の論点を、誰か更に詳しく批評・解説して欲しいものだ。そんなに日本の財政には、大きな問題がない、などとは、とても小生には、信じられないのだ!!他方で、これまでさんざん輸出で世界一稼いだ日本が、大きな外貨準備金も持っている日本が、対外債務がほぼゼロ(実際には、対外債権の方が大)の日本が、これまで言われていたような世界的規模の大借金国である、というのも、やはり納得がいかないではないか。

(4)財務省のHPは分かりにくいぞ!
 財務相のHPで特別会計の部分を少し覗いてみたが、数字はある程度並んでいるが、この菊池氏の言うような、分かりやすい形での表(国家財政全体のバランス)は見あたらないので、結局小生には、菊池氏の論点が正しいのかどうかすら、検証できなかった。もっと分かりやすい国家予算の大福帳は無いものか?大新聞も、専門の経済学者を使って、より分かりやすく国家財政を国民に解説して欲しいものだ。我々がこれまで聞かされてきた、中央政府、地方政府を合算すると、GDPの130%分?に達する債務があるとか、そういう議論は、どうなるのか?相当部分が金融資産で相殺されているから、さほど心配はなく、財政の健全性はそれなりに今でも保たれているのか??
  

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
高校生でもわかる日本経済のすごさ 三橋 貴明 著 彩図社 ¥ 1,500
を読むか、著者のブログを一度見てみてください。
国家財政全体のバランスシートが作成してあります。

論点(3)でおっしゃっているように、現時点では日本全体では黒字(日本政府の借金=国債を持っているのは日本の銀行)だから大丈夫というのが、破綻しない派。
将来的にその黒字が減って赤字国家になると心配しているのが、破綻する派。
という風に私は理解しています。(時間軸が違うからどちらも矛盾している訳では無い)

2009/11/19 04:43
石様、貴重な情報をありがとうございます。経理、バランスシートなどに関しては、素人故よく分からないのですが、お教えいただいたブログから、次のブログページにいたって、国家全体のバランスシートというのがあることが分かりました。
  http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#JPGDP2008
 よく整理された数字が並んでいます。読者の皆様も参考としてください。
 ただし、心配するにしても、かなり先の「将来」の話であるとするならば、不況時の昨年末からは、もっと思い切って景気対策すれば良かったし、ある程度世界的に落ち着いてきた今となっては、ばらまきは止めて、健全財政を来年度から指向すべきようにも思える。
  藤井財務相の言う路線が、正しいように思えてきました!!
室長
2009/11/19 09:42

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