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<<   作成日時 : 2012/02/28 11:11   >>

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  日本におけるバレンタインデー・チョコと少し似たような習慣が、ブルガリアにはある。3月1日に、ブル人が相互に贈答し合う、マルテニツァという、赤、白の糸で編んで作った小人形だ。
  この人形についても、最近中国からの侵略があるという?!

1.春を迎える異教(キリスト教以前の)的宗教行事
 3月1日にブルガリアで伝統行事として広く行われているのがマルテニツァ=martenitsaという、小さな人形(赤と白の糸で形作られている内職仕事の産品)を愛する人、親戚、友人、職場の同僚などの間で、相互に贈与し合う(健康と幸運を祈って)習慣だ。
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2.相互に贈り合う、バレンタインデーの欧米の習慣に近い概念
 ある意味では、バレンタインデーにチョコレートを贈与し合う習慣に近い概念、と思えば分かりやすい。日本では、女性から男性に愛を告白する手段としてのチョコとか、義理チョコを配るとか、そう言うやり方が最近まで優勢だったが、元来の西欧では、男女双方ともが花などを「愛する人、親しい人」などに贈り合う習慣だった。

3.人から貰うもの
 赤と白の糸で作られた3cmほどの小さな人形が、街角のあちこちのスタンドで売られているのが、2月下旬のブルの風景であり、3月1日になると、人々は、一斉に買い貯めたマルテニツァを配偶者、親戚、友人、同僚に配るのだ。自分のために買う、ということはしないこととなっている。
 この風習は、現在ブルガリアと、北部ギリシャ、或いはギリシャ南部のペロポンネソス半島の一部でも行われている*ほか、少し異なるやり方ながら、ルーマニア、モルドバにも、martisorという似た習慣があるという。
    (*注:中世にブル人は、ビザンツ帝国に侵攻する形で、広くバルカン半島に散らばり、ギリシャでは、北部に広く植民したほか、一部はペロポンネソス半島にまで到達したことが、ブル人学者の古い地名研究で明らかとされている。すなわち、基本的には、ブル人の習慣として、ギリシャ各地にまで広まっていった可能性が大である。)

4.緯度が高いので、3月となったらしい
 日本の節分が、2月3日であるのに比し、首都ソフィアが札幌と緯度がほぼ同じという、寒いブルガリアの風土から言って3月1日を春の訪れを待つ日として定めた、バルカン半島に古来(トラキア時代、古代ギリシャ、古代ローマ帝国などで、この習慣があったらしいとも言われている)から継続してきた異教的(キリスト教以前の)風習の一つという。
 先般このブログで紹介したトリフォン・ザレザンの日が、2月14日(バレンタインデーの日と同じ)で、概念的には同じように、春の到来を祝う日ではあるものの、この日は未だにブドウ畑も通常雪に埋もれているので実感が伴わない。3月1日頃になると、さすがに、より春めいてくるのが普通だ。

 3月1日はBaba Marta(Grandmother March)の日ともいわれ、この気むずかしく、愚痴ばかりこぼしている、気まぐれの老女(マルタ婆さん)を追い払い、健康な体で、陽気な春を迎えたいという、人々の気持ちを表すのが、赤(血液、情熱、生のシンボル)と白(清浄、純潔のシンボル)の糸で作られた小人形ということになる。この小人形を胸の心臓付近にクリップで留めて、春到来のシンボルであるコウノトリを見たり、或いは木々の新芽が出る3月下旬まで身につけ続けるのだ。

5.外国人は、貰うだけだった
ともかく、我々外国人が、ブルガリアに来て、3月1日になると驚くのが、知人のブル人達が、この「義理マルテニツァ」(1個50円〜百円ほど)をこぞって贈ってくれることだ。社会主義時代のブルガリアでも、このマルテニツァを内職仕事で製造し、2月下旬に街角で売るという老人達の私的商売は、取り締まりの対象ではなかったのも、記憶に新しい。

6.この伝統の商品までが中国製の侵略を受けている
 ちなみに、最近のNovinite.com紙では、実はこの、昔から貧しい老人達の内職仕事(小さい稼ぎの種)として定着してきたマルテニツァを、中国製の(やはり手仕事ではあるらしいが)輸入品が侵略してきている、と嘆いている( http://www.novinite.com/view_news.php?id=137033)。
 いくらなんでも、このブル伝統の商品までを中国製が浸食するのでは、ブル人としては少し興ざめ、ということと、更には、赤糸の代わりに黄色の糸という「変種」までが登場している由で、その意味でも「伝統文化の破壊行為」として、この記事では批判している。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 ブルのマルテニツァ人形の伝統行事は面白いですね。キリスト教以前からの伝統らしく、ブル以外のバルカンでもこの風習が見られるのは興味深い。西欧ではこの人形の風習はありませんよね?画像を見ると、赤い人形はどう見ても女性らしく、白はやはり男性でペアになっているのでしょうか。3cmほどとは、思いの外小さいですね。

 しかし、この伝統の商品までも最近は中国製が押し寄せてきているとは…これでは「黄禍論」が再び浮上しそうです。既になっている?
mugi
2012/03/02 21:57
こんばんは、
 必ずきちんと人形の形になっていたのかどうか、記憶にはないのですが、この写真の例のように、赤、白とペアの房人形(も少し雑な細工もあるように思う)になっています。それぞれ、男性と女性のペアと言うことだと思う。たしか、3--4cm程度の小型が多いです。もちろん、もう少し大きめもあったように思うけど、沢山の人からもらうのが普通だから、余り大きいとかえって邪魔です。
 まあ、日本の節分が、豆で鬼を追い払うように、陰気で気まぐれなマルタ婆さんを追い払う豆の役を、この赤白ペアの人形がやってくれるし、バレンタインの贈り物のように、自分に優しい気持ちを持ってくれる人も、相互に確認できる、という役目も担います。よって、節分+バレンタイン、と思うと、分かり易いかも。
 でも、西欧とか、他の国で、同様の習慣を聞いたことがないです。wikiによると、ギリシャ北部とか、元ブル人が居たペロポンネソス半島でもある。或いは、ルーマニア、モルドバ(この両国にも、実は、オスマン時代から、かなりのブル人が居たけど)では、少し異なるようだけど似たような風習があるという(どういうものか、知らないのですが)。
室長
2012/03/02 22:22
mugiさん、こんばんは、
 少し他の記事をあさっていたら、豪州Brisbane市で、Martenitsa Projectと言う運動をしていて、このブルの「3月1日に、健康と幸福を祈る小人形」の行事を各国にも広めようという運動があるようです。
 この運動では、市の並木などに、赤と白のかなり大きな人形(単純な、日本で言えばテルテルボウズにそっくりな赤と白の人形)を吊す、というやり方で、この習慣を宣伝しているようです。
 下記二つのサイトを参照下さい。
http://www.novinite.com/view_news.php?id=137132
http://www.martenitza.org/content/photo-contest-project-martenitza-2012
  マルテニツァに関連する伝説とかも、記されています。
室長
2012/03/03 00:10

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