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zoom RSS アングロサクソンとの正しいつきあい方(その二)

<<   作成日時 : 2012/08/28 14:56   >>

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前回の続きで、
アングロサクソンとの正しいつきあい方(その2)です。

7.一国一文明 (室長、2012-08-25)
こんにちは、
 mottonさん、mugiさん、
中西輝政の『国民の文明史』によれば、352ページ頃から、東アジアの特異性を述べています。

 欧州が、文字といえばラテン文字かキリル文字の二つしかない(小生に言わせれば、ギリシャ文字もあるけど)し、キリスト教という宗教だし、国境もよく入れ替わって、一つの文明圏なのに対して、アジアでは、中国、インドが、国境線がよく入れ替わるものの、他の諸国は、ほとんど国境線が、過去1千年ほど動かない、一国一文明の国家が多いという。

 もちろん、島国で、ずっと一国一文明を2千年以上続けている日本は、東アジアでももっとも顕著な例ですが、朝鮮、ベトナム、カンボジア、タイ、ビルマなども、一国一文明として、長らく独自の国家を形成してきた、という意味で欧州とは対極にあるという。つまり、アジアは一つではないという。言語も、文字も、全く異なるので、相互に全く理解不可能という。

 そして、一つの文明には、その文明独自の生態、特徴があり、宗教、文化、神話などで、独自の国民形成をしているというのが、中西理論のようです。

  幕末、明治のエリートである薩長の武士、或いは薩長平民出身者達が、元老として国家指導した明治期は、日本としても例外的に、国家にしっかりしたエリート層が居て、一貫した国政指導をしましたが、「大正デモクラシー」という欧米化が進みすぎ、大衆文化化した頃から、日本はダメになったと中西氏は言う。

  恐らく英国式の、紳士層、エリート層による国家指導の巧みさを学んだ中西氏には、大正文化人の愚かさ、昭和軍人達の愚かさが、とても許せない感じだと思う。天皇のみは日本国の宗教、精神基盤の要とはいえ、残念ながら、天皇を支えるしっかりした「支配階級」などは存在しないのが日本です。
  本当は、頼朝と鎌倉武士階級が、天皇崇拝、日本式仏教(神仏混淆)、などの国の根幹を作った、というのも、中西氏の理論らしい。しかし、明治の四民平等政策で、武士階級もいなくなり(これに抵抗したのが西郷隆盛)、元老も質が低下し、天皇を支える知恵袋がいなくなった、ということ。

  やはり、エリートを上手に生み出すには、英米式の、ケンブリッジ、ハーバードなどの大学が必要なのかも。とはいえ、凡人が足を引っ張り合いつつ、1年限りの首相、政権という・・・・これこそ民主主義という説もあるけど・・・・・これが日本的なのでしょうが、困ったものです。東大、京大をもっと盛り立てて、立派にするか、或いは、筑波大などをもっと育成すべきなのか??

8.mugiさんの返事
RE:一国一文明 (mugi、2012-08-25)
>こんばんは、室長さん。

 中西氏による東や東南アジア諸国への一国一文明論も面白いですね。カンボジア、タイ、ビルマは仏教国ですが、言語や文字もそれぞれ異なる。これでは同じ仏教徒という意識は芽生えにくいはず。同様に回教国のマレーシアやインドネシアも違っている。インドや中国は国境線が入れ替わらなくとも、国は広いし様々な言語がありました。これで「アジアはひとつ」とは完全な幻想と妄言でしょう。

 ジョージ・フィールズという人物をご存知でしょうか?彼は生前、頼朝を「革命家」と呼んだことがあり、外国人の目にはそう見えていたのは驚きました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA

 ただし、この“革命家”が天皇制を廃止、若しくは自ら天皇にならなかったのが日本的でした。聖俗分離で双方の指導者が両立する体制を確立したのが頼朝でしたが。

 階級社会の方が返って優れたエリートを輩出しやすいのかもしれませんね。今の日本ではエリート育成も難しくなっているような。人間は誰しも嫉妬心を持っていて、平等化が進むほどエリート層を許せなくなるのでは?
 学歴社会や拝金主義を批判する者はネットでもおりますが、殆どはルサンチマンの僻みにしか見えない。そのくせ「カネは問題ではない」と言っているから、金に不自由していないことは確か。大衆文化が極まると、足の引っ張り合いが蔓延るのかもしれません。


9.「革命家」頼朝 (室長、2012-08-26)
こんにちは、
 ジョージ・フィールズという人に関しては、小生日本にいない期間が長かったからか、全く知らない人物です。

 中西氏によると、神皇正統記を書いた公家の北畠親房が、頼朝、泰時による鎌倉幕府を「正統な政権」として評価していた、という。北畠は、足利氏による室町幕府を徹底して批判したと言うけど、東国武士を束ねて新たな政権を築いた(確かに革命政権と言える)頼朝、北条氏による政権を、正しい政治をしたと見ていた由。

 中西氏は、鎌倉幕府が、鎌倉仏教、或いは伊勢神道を確立することに力添えしたことも、高く評価しています(p177)。要するに、日本国家の根幹と言える宗教の分野で、伊勢神道と、日本精神と和合した仏教である鎌倉仏教を成立させたこと、モンゴルの侵略に対抗し断固防衛して国を守り抜いたこと、など、鎌倉政権の功績を称えます。他方で、鎌倉幕府内部における凄惨な粛正人事(有力御家人家族の皆殺し)、厳しい処罰などの「暗い権力政治、抗争」についても言及はしている。

 足利義満が、日本国王を名乗り、一時的とはいえ、貿易の利益を狙って、明に「臣従」した事実は、聖徳太子以来の対シナ独立路線に背反することとして非難している。また、京都に幕府を置くことで、天皇家に介入し、天皇家の皇統を二分したこと、京都を焼け野原としたこと、など室町幕府への評価は低い。室町文化への評価も、低い。

 ともかく、中西理論は、英米への造詣の深い中西氏の政治、文明観が基本で描かれた壮大な議論なので、面白いけど、革新的史観ともいえ、消化が苦しく、小生もなかなかきちんと理解できない側面がある。他方で、占領軍による指導で、本来の日本精神から乖離した方向に、歴史家、文化人、などの思想が誘導された戦後史のゆがみにも鋭くツッコミを入れています(特に戦後はびこった法学者の宮沢俊義、我妻栄、横田喜三郎の3人=大正期に大学で学んだ世代=が、占領軍側の思想に傾斜して、日本文化、文明の根幹を劣化させたと非難する、p278)。

 中西氏は、基本的には、米中が今後対決していくその中で、日本はきちんと米国と同盟していくべきで、かつ自立した防衛軍を強化すべき、との「基本的な国家戦略」部分では、小生と同じ立場です。朝鮮半島、これと連動する台湾情勢、これらにおいて、中国に負ければ、東南アジア、太平洋の海域も中国優勢となって、日本国滅亡への道筋となります。

 戦後政治家達への評価も、なかなか面白い。吉田茂に関しては、その統治における「経済再生」専念路線を批判している。吉田崇拝の池田、佐藤政権にも批判的だし、もちろん田中角栄にもダメ出ししている。
 岸信介、安倍晋三路線に期待しているのが、中西氏です(この著書は03年頃の執筆)。
 なお、中西氏が1947年生まれと、小生より2歳若いと気付きました。たいした学者だと益々尊敬し始めています。

10.mugiさんの返事
RE:革命家頼朝 (mugi) 2012-08-27 00:13:31
>こんはんは、室長さん。

 神皇正統記は未見ですが、北畠親房が鎌倉幕府を「正統な政権」として評価していたとは知りませんでした。足利氏による室町幕府を徹底批判したのは立場上当然ですが、その前の鎌倉幕府は高く評価していたとは意外でした。もちろん鎌倉幕府は実質的には北条一族による一族支配だったし、ライバルの豪族を次々に潰していきました。やはり革命政権には粛清がつきもののようですね。
 また足利義満の「臣従」政策に関しては、戦前から日本国内で批判があったようで、『父が子に語る世界歴史』(ネルー著)の中にも触れられていました。

 米中の関係が今後どうなるのか、専門家でも見方は様々だし、まして私のような素人が分かるはずもありません。しかし、東南アジア諸国さえ中共支配よりも、“米帝”支配を望むのではないでしょうか?日本以上にこれら地域では華僑への不信感が根強いはず。戦前のインドが日本より大英帝国を選んだのは、今では当然の選択だったと思います。
     (小生コメント:残念ながら、あの対中嫌悪の激しいベトナムでさえ、中国との貿易量が、格段に大きいし、東南アジア諸国の何れでも、中国とは「元」で取引するほどに、中国貿易の自国経済に占める比率が高い。決して、「嫌いな相手だから、徹底的に敵対していく」と腹をくくれるものでもないところに、中国問題のややこしさがある。
    米国自身も、アップルの商品のほとんどが、中国に所在する台湾系企業で組み立て生産されているほどで、中国経済への依存度が結構高い。もちろん日本もそうです。経済利害を「分かちつつも」、長期的には相手を潰していかねばならない・・・・米国には得意な領域だが、アジア諸国にとっては、日本にとっても、韓国にとっても、東南アジアにとっても、結構難しい課題です
。)

 中西氏の戦後政治家への批評も興味深いですね。氏は1947年生まれでしたか。先日拙ブログに動画をリンクした英国のギタリストも同じ年だし、方々にアラシをしていたブロガーも同じ年頃。還暦過ぎも様々です。
   (了)



国民の文明史
扶桑社
中西 輝政

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