ブルガリア研究室

アクセスカウンタ

zoom RSS 米国が再度中東に関与:リビア軍をブルで訓練

<<   作成日時 : 2013/11/21 18:33   >>

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

 突然、ブルガリアとリビアの間の関係が復活するかのようなニュースが、novinite.com紙に掲載されて驚いた(主として次の記事を参照:http://www.novinite.com/articles/155697/The+Fight+Against+Libyan+Extremists+Goes+Through...+Bulgaria%3F)。

 同時にGoogle検索してみると、読売、時事などの記事は、米国防総省報道官からの情報で、リビア国軍兵士5--8千名を米軍が訓練する、とのみ書かれており、ブルガリア国内の軍事基地で訓練されるという、肝心の要素が抜けているようだ。
 そこで、若干小生としても、このニュースに付言しておきたい要素がある:

@アジア太平洋軽視に逆戻り
  米国は、クリントン外相時には、アジア太平洋重視政策を表明し、中国勢力の拡大に対抗し、包囲網を築き、東南アジアのシーレーンの開放、安全通行を断固維持すると言っていたが、ケリー外相に交替後は、ユダヤ系のケリー外相の関心事である中東、アフリカへと再び外交、防衛の重点が戻っている感がある。

A油とガスの出るリビアには、やはり執着
  今回、カダフィ大佐の政権を打倒した後、無政府状態に近い混乱が継続するリビアに関しては、やはりケリー流の中東重視策の故に、リビア軍に対する訓練支援という形で、関与を再開しようとしているように見える。とはいえ、リビア軍の訓練が、ブルガリア領内の軍事基地を使用すること、米軍教官たちも直接リビアに行くのではなく、ブル国内の基地という安全圏で教育するというように、やはりオバマ政権の特徴である、なるべく費用を節約しつつ、かつ米軍軍人の生命を危険にさらさない、という風に、腰の引けた支援形態をとるようだ。

B腰が引けているオバマ政権
  要するに、リビア軍部隊の訓練で、しかもブル領内という安全圏にいての支援と、全く腰の引けた対応ぶりで、米国は世界の警察官の役割からますます遠ざかっている、という感じだ。

C米国外交は、油重視から抜けられない
  とはいえ、腰が引けているにしても、米国が再び中東に、何らかの形で戻ってテコ入れしようとしている…という点にも着目すべきかもしれない。そしてこのことは、同時に、我々アジア太平洋圏の目からすれば、やはり米国は油の出る地域を優先して行動するということで、米国の主眼が、なかなか中国包囲策に集中しないということを嘆くべきかもしれない。

 以上前置きが長くなったが、ブルのネット新聞の記事を下記に要約する。

1.William McRaven海軍大将が、カリフォルニア州での講演で、ブルガリアの基地でリビア軍兵士の基礎訓練を行うと発表
 ペンタゴンが、ブルガリアの基地に米軍を派遣して、リビア軍兵士たちを訓練するという計画が、恐らく来年初めころから開始されることが、米国特殊作戦司令部司令のマクレイヴン海軍大将により確認された。11月16日(土)、カリフォルニア州Simi渓谷に所在するレーガン名称国防フォーラムで、同大将が、この訓練計画を発表したから。
 なお、ブル国防相のAngel Naydenovが9月時点で、既に、米国はブル国内でリビア部隊を最大8年間にわたり、訓練する計画だと述べていた。

2.対テロ特殊部隊の養成ではない
  通常の軍部隊を養成する、普通の訓練であり、5--7千名の普通部隊ということだ。その他に、若干数の軍人らを対テロ特殊作戦用に特別訓練する、という補助的努力も行うかもしれない、ということ。
  もちろん、我々が訓練する兵士たちの全てが、きれいな過去経歴の持ち主ではない、というリスクも存在するが、今のところ彼らが、自らの問題を自らの手で処理できるように訓練することが、最善の解決策だ、と言うしかない。

  
3.武装勢力の割拠で治安が安定しないリビア内政
  リビアでは、カダフィ大佐死亡後も、国内各地に武装勢力が割拠し、国内治安が回復されていない。2012年9月11日には、ベンガジ所在の米大使J.Chris Steven氏を含む4名が殺害される事件が発生したし、最近も武装民兵の攻撃で数十名の一般市民が殺害された。

  ペンタゴンの説明では、リビア政府からの要請は、治安部隊5—8千名を訓練してほしいということ。場合によっては、少数の対テロ作戦要員を訓練する場合もあり得るが、基本的な訓練は、兵士らに基礎的な技術:すなわち兵器の扱い方とか、パトロールの仕方とか・・・を教えるということで、このための教官らを米軍が提供するということ。(注:しかも、訓練の場所はブル領内と、リビア国内ではないので、米軍人にとっては安全だ。)

4.ブルガリアの基地を利用するわけ
  ブルガリアは04年にNATO加盟国となり、06年には、一時期に最大2500名の米軍人がブル領内に存在することにつき同意した。また、昨年(12年)には、米軍がブル領内に常駐するよう要請したという報道もある。
  本件リビア軍兵士の訓練は、従来米軍が定期的にバルカン諸国の軍隊と共同訓練してきたNovo Selo基地注:ブル国東部のほぼ中央部にあるSliven県北部Kotel郡内の相当広大な陸軍訓練基地)にて実施される予定だ。ペンタゴンによれば、ブル軍側は、この基地の使用につき、「開放的」(受容の用意があるとの意味らしい)であるという。

  Ali Zeidanリビア首相が、今年6月のG8サミットにおいて、米軍、及び他のNATO加盟国に対して、自国軍隊を訓練してくれるようにと、要請した経緯がある。
  リビア軍兵士の一部には、人道的な過去歴の問題があり得るとのリスクはあるとはいうものの、他方で、米軍人を大規模に北アフリカに展開しなくて済むというメリットの方が大きい。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 米国が関わるブルとリビアの軍事関係は興味深いですね。カダフィ大佐時代、確かブルの看護婦が拘束された事件がありましたよね?それが今ではブルの基地でリビア軍人の訓練が行われるようになったとは。

 やはり米国は中東優先外交に逆戻りしたようで、我々から見れば複雑な思いになります。キッシンジャーの時代にはユダヤ人はイスラエルの手先と見られ、肩身の狭い思いをしたそうですが、今では米国とイスラエルの二重国籍の者が、堂々と閣僚になるようになりました。
 同じく日本も当分韓国を立てる外交方針に変化はないのでしょうね。ユダヤ系が米国政財界を牛耳るように、日本の場合は隣国系が支配している。

 共和党支持者を中心に米国内にもオバマ外交を弱腰と非難する向きもあるようですが、全般的に内向きになっているのは否めない。これではアジア太平洋圏での中国の軍事覇権は止まりません。
mugi
2013/11/23 21:14
こんにちは、
 対韓国では、安倍政権は当面「安重根記念碑」(ハルビンに建設予定)に関しても、官房長官などが、伊藤博文殺害犯人、テロ犯人として、重罪処分された人であり、記念碑建立は遺憾であると淡々と述べているけど、基本的には朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の動きを極力無視しようとの方針だと思う。欧州に行っても日本の悪口を必ずいう姫の行動は、国際社会から「外交礼儀」無視の、不可思議な行動と見られているようです。韓国系パチンコ業界が、東京に設立されると噂される「特区」でのギャンブル業進出を画策している模様で、これには小生も反対です。
 
 米国が、シリアへの軍事介入を嫌ったことは、小生はそれなりに正しいと思う。油がほとんど出ない国だし、スンニ派政権になったとして、対イスラエル強硬策に移るなら、米国にとっての利益は少ない。

 米国とイスラエルの国益は、実はITなどのハイテク分野で更に深く連携していると見ます。最近も、どこかの報道で、米国がイスラエルのハイテク企業から多くの人材を引き抜き、IT先端分野での開発部隊を強化している(シリコン・バレー)との記事を読みました。米国のモノづくり産業は、結局IT関連となるし、ソフト、ハード両面で、イスラエル企業の技術にますます依存するようです。
 
室長
2013/11/24 09:10

コメントする help

ニックネーム
本 文
米国が再度中東に関与:リビア軍をブルで訓練 ブルガリア研究室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる