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zoom RSS 国会院内勢力図の激変など

<<   作成日時 : 2013/12/13 15:42   >>

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 さて、最近のブル情勢に関し、若干補足説明を必要とする事態が出現しているので、下記にご紹介する。
一つは、GERB党からとうとう裏切者が2名出現して、国会院内で漁夫の利を得ようという動きが出てきたこと。
二つ目は、2名もの議員がG党を裏切ってバランサーとして登場し、よってAtaka党の地位が低下しようとしているさなかに、Siderov・Ataka党首と取り巻きの議員らが、キューバに外遊して、豪遊していたらしいことがばれたこと。
三つ目は、いよいよブルの経済省が、原発に関して、東芝=WH(ウェスティング・ハウス)社の最新型原子炉を採用し、コズロドゥイ原発第7号炉を建設する方向で動き出したこと。

1.無所属議員が2名も誕生して、院内会派間の勢力関係が激変した
(1)Markov議員のGERB党離党
  12月3日(火)に、G党議員Georgi Markovが、党籍を離脱し、国会議長に無所属議員となる旨届け出た。
  8日(日)Nova TVに出演したMarkov議員は、無所属議員となることを強調し、「祖父、父の双方が、資産を共産党政権に没収された経験から、自分がBSPに所属することは考えられない」と述べた。他方で、「左翼系の意見には賛成だが、左翼の人々は嫌いだ。自分はすでに百万長者のくせに、社会福祉を語っているのだ…整合性がない」とBSP議員らを批判した。

小生注:
  Георги Цветанов Марков=Georgi Tsvetanov Markovは、Veliko Tqrnovo県選挙区(8議席)のうち、G党から当選した3名の一人、名簿順位は3番目。この選挙区からはBSP3名、DPS1名、Ataka1名も当選しており、全国的に見て、ほぼ平均値的な票の配分と言える。Markovとしては、G党の衰退傾向を予測して、早目に無所属となり、国会内でバランサーとして漁夫の利をむさぼるつもりらしい。


(2)TanchevもG党から離党
  12月3日にGeorgi Markovが離党したのに引き続き、8日には、Svetlin Tanchev議員もG党から離党し、無所属議員となることが明白となった。
  これで、G党会派は、95名の議員数となる。
  2名もの無所属議員の出現は、院内の会派勢力図を激変させ、政権側が法案ごとに、多数派議席を固めるに際しての自由度を上げると言える。要するに、Atakaがバランサーとしての力を失うことを意味している。左派系のBSP主導政権が、リベラルのDPSと連立する以外に、極右のAtakaと「裏連立する」という不自然な状況を解消できるとも言える。すなわち、BSPにとっては、政権基盤をより強化できるということ。

  よって、この2名の「裏切り」は、現政権にとっては、「買収」金額の低下も意味しうるし、Atakaによる横車を抑える(Atakaの要求で、政策を阻害されることが少なくなる)とか、Atakaへの「依存」を断ち切ることも可能となる。AtakaのSiderov党首にとっては、前回の国会で、途中からG党によって「裏連立」の地位を追われたのと同じ屈辱の始まり、と言える。


  注:Светлин Димитров Танчев=Svetlin Dimitrov Tanchevは、ソフィア県選挙区(8議席)のG党議員としては第1番目の名簿順位(1番目の順位ということは、ソフィア県におけるG党員の中ではほぼ一番目に偉いということ)。この選挙区ではBSP3名、G党3名、他にDPS1名、Ataka1名という、上記のVT県選挙区と同じような構成。

(3)新たに出現した院内会派勢力図
  5月12日の総選挙結果を反映して、最近までは次の情勢だった:今次第42期普通国会(42.ONS) の議席配分は次の通り:GERB=97議席、BSP=84議席、DPS=36議席、Ataka=23議席。結局第1党のG党との連立に賛成した他の政党は無く、BSP+DPS=120議席という、240議席のちょうど半数が、表向きの現政権与党。しかし、極右のAtakaが、裏連立していて、実質的には120+23=143議席の「新3党連立政権」が誕生していた。

  しかし、G党から2名が裏切ったおかげで、国会院内のゲーム法則は完全に変わってくる。与党側は、BSPの84議席、DPSの36議席で、合計は120議席と、過半数(121議席)に1議席不足していて、この不足分を「裏連立相手のAtaka」に依存してきた。しかし、実際には、Atakaのように23議席も保有する政党の支持を得るために、高額の「褒賞金=裏金」を支払うよりは、せいぜい1--2名の無所属議員を、その都度「買収」する方が安くつくのだ。逆に、これで仮想的な対抗軸としてのG党97名+Ataka23名=120名という、与党連合の120名に匹敵する人数は崩れ、G党+Ataka=95+23=118名となってしまった。要するに、G党も、Atakaも、すでに与党側と対抗軸を組む可能性はほぼゼロとなったのだ。

  前回のG党政権は、初めから121議席には、数議席不足していたが、最初はAtakaから議員を「借用」して不足分を充足したほか、その後にはAtakaと喧嘩別れしたものの、代わりにRZS党という小政党から議員を「買収」したり、或は、無所属議員(Ataka離党組など)を必要に応じて「買収」するという方法で、多数派議席を確保することにあまり苦労しなかった(G党は過半数を握れない、単なる最大政党ということで組閣し、政権を組み、その後は法案可決に必要な議席を、その都度買収で補い政権維持できた)。
  結局は、政権を握る側が、各種の政治資金とか、裏金(政治献金)がより豊富で、「買収資金」にも困らない。G党は、ボリーソフの金力、及びマフィア的な支配力から、6月以降今日まで何とか「裏切り者」を出さなかったが、いよいよBorisov・G党党首の統制能力、金力も不足して、目ざとい議員たちが、「買収資金」の魅力から、戦列を離れつつある、ということであろう。

2.Siderov・Ataka党首らが、国会審議を欠席して外遊・豪遊
  12月10日付のPIKニュース社報道は、国会で来年度国家予算法を審議・採択するという重要審議の最中に、最近Siderov党首、及び取り巻きの数名の同党議員らが、キューバのハバナの海岸で海水浴を楽しみ、Varaderoビーチで保養する写真を流し、大スキャンダルとなった。
  同党議員で、自らもキューバ外遊に参加していたIlyan Todorov議員は11日(水)bTVテレビで、自分らは植民地主義につき学ぶためにキューバへの旅行を計画したのだ。今後は、中国、ロシア、ベネズエラ、シリアにも視察旅行を計画している。旅費は各議員が自前で支払っている、と反論したが、さほど説得力はない。

  ちなみに、Siderovと同党議員らは、10月初旬にも、ブラッセルに出張旅行し、そのときにも市内の高級レストランで酔っぱらって騒ぎを起こし、店外に追い出されるというスキャンダルを引き起こした前科がある。
  (注:どうせ与党連合に「貸し出す」議員数は、数名あれば足りるので、バカ殿様は油断して南国キューバの海水浴場で、側近数名と豪遊している写真を、ばっちりとられたらしい。愚かな党首だ!)

3.BSP主導政権が、コズロドゥイ原発7号炉を東芝−WH社の先進技術で建設するとの意向を固めた模様(交渉開始を宣言した)
  11月22日付報道で、Dragomir Stoynev経済相が、米国Pittsburgに所在するWH社本社を往訪し、同社製の最新型原子炉AP1000につき、詳しく説明を受けたことが判明。

  更に、11月30日(土)、Stoynev経済相はDarikラジオで次のように述べた:「WH社のAP1000型原子炉が、唯一事故発生後10日後には自動的に冷却を完了できる安全、最先端の原発技術である。5号炉、6号炉が、例え『延命工事を施しても』20年以内には操業を停止するので、早急にどれかの原子炉の建設を決断する必要性があるのだ」。
 (何故入札しないのか?との記者の質問に答えて)「入札を行うのは、受注者を選ぶ場合で、技術そのものを選ぶときには、入札などあり得ない」。
   (注:要するに、ス経済相としては、WH社(東芝がオーナー)の技術的先進性に惚れ込んで、この技術を導入する決意だから、入札などはしない。問題は、東芝=WH社が、このコズロドゥイ原発7号炉の建設に関して、どういう金融措置で、ブル側の財政負担を軽減しつつ建設を支援してくれるかだ、ということらしい。)

  また、12月11日付報道では、ブル政府閣議は、Stoynev経済相の報告を了承し、BEH(ブル・エネ・ホールディング)社に、WH社と、コ原発7号炉建設につき、交渉開始する権限を付与した、と報道されている。

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更なる国会勢力図の変化
  さて、年末にブル国会議席配分に異動が生じたことをご報告した(http://79909040.at.webry.info/201312/article_2.html)が、この2月中旬以来、更に離党、その他の国会議員の動きが顕著となっている。特に、離党組の中にBSP離党組が一人生じたこと、更には、離党組合計4名のうち3名までが、元Nova TV記者で、新党「検閲無きブルガリア」を立ち上げたNikolay Barekovの陣営に鞍替えしそうな様相だ。  関連報道を下記に取りまとめる。 ... ...続きを見る
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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 日本以上にブルの政界は複雑怪奇のようですね。極右政党Atakaは党首らが、国会審議を欠席し外遊・豪遊していたというのも笑えます。植民地主義につき学ぶためにキューバへの旅行を計画した等、冗談にしても出来が悪すぎ。それでも、岡崎トミ子のように反日デモに外遊した議員よりはマトモかもしれませんが。日本人としては、東芝=WH(ウェスティング・ハウス)社の最新型原子炉の建設に関心があります。

 ところで、拙ブログでの原発議論はヒートアップしましたね。のらくろさんの質問、「御令嬢に対して、「原子炉内作業員として働け」と言えるのか」は多少不躾でしたが、彼はサヨクどころか、私と同じく中韓嫌いの「ネットウヨク」です。のらくろさんのリンクしたサイトは、確かにお涙頂戴の煽動記事でしたが、この種の話はインパクトがあります。

 必ずしも左派とは思えない人でも、原発に懐疑的な見方をすることもあります。地震災害の他にも原発はテロのターゲットにされる。今更電気のない生活は不可能だし、放射能は怖い。「ご都合主義」ですが…
mugi
2013/12/15 21:29
mugiさん、こんにちは、
 ブル1国の政治でも、結構ドラマに満ちています。こういう小国が、何とか安いエネルギーを確保したいと、新原発の建設を企図して苦労しています。ブルも地震国ですが、震度3--4でも大騒ぎとなるほどで、普段の地震は震度から言うと2以下がおおいような。とはいえ、小生も昔震度4--5程度の地震(ルーマニアが震源地)をソフィア市で経験、この時は、建物(16階建てほどの高層アパート)が大きく揺れたし、壁や天井には亀裂が入ってしまいました。
 コズロドゥイ原発の地域も、同じようなもので、地震がゼロではない。とはいえ、長年一度も大きな被害、放射能災害が起きていないから、国民は原発を安い電力の優良児扱いです。まだ使える44万kwの3--4号炉を、ギリシャのEU加盟支持への代価として、廃炉約束させられた恨みがある。
室長
2013/12/16 08:55
コメントありがとうございます。ブルガリアの話を一度お伺いしたいと思います。
木村正人のロンドンでつぶやいたろう
2013/12/27 18:59
木村様、
 小生の拙いコメントに対し、わざわざこのブログに来訪ありがとうございます。
 また、何か気づきましたら、コメントさせていただくこともあるかと思いますが、お互いの立場にさほど差はないので、否定的コメントをするつもりはございません。
室長
2013/12/30 18:44

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