ブルガリア研究室

アクセスカウンタ

zoom RSS FRBの「利上げ」のみで、中露両国の台頭を挫いてみせたオバマ政権

<<   作成日時 : 2016/01/18 18:07   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 4

 最近小生が注目した産経紙の経済記事を、以下にご紹介したい。
  その意味するところは、実は極めて大きいものであるのかもしれない。
 
 1990年、台頭しすぎた日本経済を挫くために、米国は商業銀行の貸し出し額に対する「準備比率(貸し倒れ引き当て・準備金の比率)を引き上げる」という、商銀に関する世界基準を突如変更する、と言う搦め手の金融ルール変更で、日本経済のバブルを崩壊させました。

  経済的に台頭しすぎた日本国経済に対し、銀行融資面での規制強化(貸倒引当金の比率を引き上げる)を強要するという、ほんの少しのルール変更のみで(注:とは言え、その一方で、「護送船団方式」と言う大蔵省による金融機関保護政策の廃棄(すなわち、金融規制緩和とも言える政策)もセットで強要したので、実質は大きな金融政策の変更を意味した)、一挙に日本経済に対し、バブル崩壊を仕掛けて、日本経済の沈没と引き換えに、米国経済を一挙に救済し、他方で、世界に冠たる米国の軍事的覇権をも補強し、冷戦の終結とほぼ同時期に、経済面での自国の復活さえも、演出するという、鮮やかに政経連携した政策で、世界で唯一の覇権国家として、自国を再生させたのです。(注:冷戦で米国に対抗したソ連を潰すと同時に、冷戦下の米国市場、世界市場で大儲けしすぎた日本経済も、ほぼ同時に退治する・・・・しかも日本の政治経済関係者たちが、何が起きたか理解できず、茫然自失しているうちに、バブルを崩壊させて日本経済を一挙に潰した、ということ。)

  同様に、今回は、「世界の警察官の役割を放棄し、ロシア、中国、などの新興国の台頭を許容してしまった、弱気でダメなオバマ政権とのふり」をしつつ、実は、再度金融政策で、ロシア、中国、その他の新興勢力としての台頭を、一刀両断的に、挫いて見せた、と言うのが、最近の世界情勢の「裏読み」的真実ではないか?と小生には見えてきました。

  下記の産経紙の田村秀男編集委員の論文を読むと、QEと突然の政策変更としてのFRBによる金利「利上げ」をチラつかせることで、世界に大量流通させた(だぶつかせた)ドルを急激に自国へと還流させ、更には、米国内のシェール石油・ガス開発で、原油市場、エネルギー市場をだぶつかせて、ロシアのエネルギー資源に依存する財政を破壊したばかりではなく、中国政府の代弁として、中東、アフリカ、中南米などの石油資源に過剰投資したペトロチャイナをも倒産の瀬戸際に追い込んでいます。

  要するに、一見弱気で頼りなく見えるオバマ政権ですが、今やるべき政策として、きっちりとロシア、中国の双方を同時に破滅の淵へと追い込んでいる、と言うことではなかろうか。

  そういう目で見てみると、下記の産経紙の名物経済編集委員(元来は日経紙から、産経紙に転籍した経歴があるらしい)田村秀男氏の論評は、かねてから小生が注視してきた、米国による、台頭する新興勢力潰しの、冷酷な戦略が、既に効力を発揮している、と言うことではないか、と思われます。ロシア、中国程度の頭脳では、米国の洗練された国際戦略には、当面対抗不可能、と言うことではないでしょうか。
   (小生注:下記の小生ブログ記事も参照:
http://79909040.at.webry.info/201511/article_3.htmlhttp://79909040.at.webry.info/201508/article_4.html
。)

★追い込まれるプーチン、習近平:今年の世界情勢、鍵は米金利と石油
   (注:筆者:産経紙編集委員・田村秀男、2016.1.10付産経紙、【日曜経済講座】欄
http://www.sankei.com/world/news/160110/wor1601100003-n1.html
。なお、小見出しは小生が付けました。)

1.米国の金利政策のみで、ロシアも中国も破滅寸前
  2016年、世界の政治経済情勢を左右する鍵は、米金利と石油価格だとみる。米連邦準備制度理事会(FRB)による市場の利上げ期待は原油価格をさらに押し下げ、エネルギー収入が政府予算の5割近くを占めるロシアを苦しめる。中国の対外膨張を担う国有企業は人民元安で債務負担増と株暴落の泥沼に沈む。

  グラフ(注:省略しました、上記URLの産経記事でご覧ください)はFRBのドル資金発行残高と原油相場と中国最大の国有石油資本「ペトロチャイナ」の株価の変動を重ね合わせている。FRBは08年9月のリーマンショックのあと3度にわたって資金(米ドル)を大量増発する量的緩和(QE)を実施し、14年10月に打ち切った。QEと原油相場は見事に連動している。QEの終了観測が出始めた14年半ばから、余剰ドルは市場から引き揚げ、原油価格は下落し始めた。利上げの動きの表面化とともに下落傾向は加速している。

2.レーガン政策の再現でロシアを追い込んだ 
  ロシア経済は旧ソ連時代のエネルギー依存体質を受け継いだ。1980年代、当時の米レーガン政権は高金利政策によって石油相場を押し下げた。資金難のモスクワはワシントンが仕掛ける軍拡に対抗できなくなった。結末が91年のソ連崩壊である。

  ロシア帝国復興をもくろむプーチン政権に対し、ワシントンはレーガン時代の戦略を参考にしているかのようだ。FRB首脳陣は、2015年12月中旬に景気への衝撃を憂慮する内外の根強い慎重論を押し切って利上げに踏み切ったが、今年も段階的に追加利上げする姿勢だ。利上げの数日後には米議会が米国産石油輸出解禁に踏み切り、石油市場急落に弾みをつけた

  ワシントンに振り回されるプーチン政権としては、エネルギー市場の支配権を確保したい。14年3月のクリミア編入、15年9月のシリアへの軍事介入には石油や天然ガスのパイプライン戦略がからんでいる。ロシア産天然ガスの大半は親米のウクライナを経由して欧州に供給されている。パイプライン・ルートのクリミア半島はロシアにとって地政学的要衝である。(小生注:パイプラインは、ウクライナ本土を経由して、ルーマニア、ハンガリーなどへと通じており、クリミア半島を抑えただけで、ウクライナを通過するパイプライン全体を支配できるわけではないが、にらみを強化できるとは言える。)

  シリアはイラクやイランなど中東の欧州向け石油パイプライン計画の中心である。シリア政権が親米欧派に代わってパイプライン計画を実現すれば、欧州はロシアへのエネルギー依存度を大きく下げられる。ロシアが反米のアサド政権を見放すはずがない。

3.ペトロチャイナも巨大損失に泣いている
  ペトロチャイナは国有エネルギー企業の中核として、石油相場が上昇を続けているとき、イランなど中近東、ベネズエラなど中南米、スーダン、ナイジェリアなどアフリカの産油国への進出を担ってきた。FRBのQEが終了するとともに、原油相場が落ち込むと、海外プロジェクトの多くは巨大損失しか生まなくなり、相次いで撤収に追い込まれている。ワシントンはFRBの政策転換によって、反米産油国に浸透する北京の戦略を頓挫させつつある。

4.中国主導のAIIBに勝ち目はない
  ロシアと中国は今後、結束を強めるだろうか。1月中旬に初の総会が開かれるアジアインフラ投資銀行(AIIB)は中露間の石油・ガスのパイプライン建設資金提供の母体となるが、ドルが立ちはだかる。AIIBには世界最大の資金の出し手である日本とドル金融の本家米国が加盟していない。このため、AIIBが外貨調達のために発行する債券は米格付け機関から格付けを得られていない。得られたとしても、信用度は低く、金利が高くなる。米利上げも足かせになる。

 本紙を除くわが国の主要メディアの大半が、昨年のAIIB設立時には「バスに乗り遅れるな」という論調を掲げ、中国共産党が仕切る習近平国家主席のためのこの多国間融資機関への参加を安倍晋三政権に迫った。AIIBが中国膨張の一環であるという現実を無視した甘い考えだ。不参加はまさに正解だった。

 AIIBは人民元建ての資金を活用するしかない。元は16年10月から国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)構成通貨入りする予定だが、元や株式の相場は暴落不安がつきまとうし、金融市場は閉鎖的だ。貴重なエネルギー資源の代金を使い勝手が悪い通貨で受け取るのはばかげている。プーチン大統領としても元建ての取引には慎重になるだろう。

    (小生注:ちなみに、最近のドル独歩勝ち、米国経済最強的動きの中で、韓国経済、中国経済共に沈みつつあり、最近の報道によれば、@13年9月に通貨スワップ協定を更新しなかった中国、A15年2月に同じく通貨スワップ協定が失効した韓国の双方が、日本に対して、通貨スワップ協定の再開を要望しているという。
   散々日本を嘲る「反日」「侮日教育」を国内で行うばかりか、国際社会、米国の中にまで、反日の「歴史戦」を展開している両国に対して、日本政府は、アジア経済安定のためと称して、通貨交換協定(実質的には、日銀による韓国、中国経済への支援でしかない、なぜなら、日本がこれら両国に支援を乞うことは、円の価値が安定している日本として、ほぼあり得ないことだから)を検討しているという。
   アジア通貨危機の時に、中国、韓国を助けたにもかかわらず、恩知らずにも反日歴史戦を強化、展開したこれら両国に対し、日本が何故通貨スワップ協定で再度救済してやらねばならないのか?日本政府は、安倍政権は、もっとドライに、国益から見て、中韓両国経済を救済するような愚策は、採らない方がよいではないか・・・と小生は思う。再度日本が、円、或はドルによって中韓両国、或はどちらかの経済を支援してやるなど、正気の沙汰とは思えないのだが??!!


5.ロシア、中国双方ともに、経済苦境から簡単には逃れられない
 ワシントンの金融政策によって追い込まれるプーチン政権はウクライナ、中東でこれまで以上に武力にものを言わせようとするのか。習政権は米利上げというデフレ圧力によって膨れ上がる巨大企業債務(小生注:http://79909040.at.webry.info/201509/article_1.htmlを参照)の重圧の中で、破れかぶれのダンピング輸出攻勢をかけるのか。あるいは、対米協調に転じてワシントンの警戒を解こうとするのだろうか。
   

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。

 今年の初記事ですね。再び室長さんの記事が読めて嬉しい。今年もよろしくお願い致します。

 最近はガソリンや灯油が下がっており、庶民としては有難いですが、この背景にはやはりアメリカの戦略がありましたか。改めて米国の国力の底力を見た思いです。金融政策で中露二大国を挫く戦略はスゴイ。
 そして田村秀男氏は日経紙から、産経紙に転籍した経歴があるのですか??日経紙といえば昨年のAIIB設立時、盛んに「バスに乗り遅れるな」と煽った主要メディアのひとつでしたね。ネット掲示板では、アジア・イカサマインチキ銀行とも嘲笑されていました。お遊び掲示板にも「バスに乗り遅れると、日本はアジアから孤立する」等の書込みがよく見られましたが、書込み主の素性が知れますね。

 尤も室長さんが懸念している通り、日本政府が中韓との通貨スワップ協定の再開を検討しているのは不愉快でなりません。これも米国の圧力がある、と勘ぐる向きもあります。米国にも中国シンパは多いし、「中国を刺激するな!」「隣国と仲良くしなさい」と説教する米国政府高官もいますから。
mugi
2016/01/19 21:53
 今晩は、この記事は、福島の実情に関する社会学者の論文に続く、今年2番目の記事です。
 ロシアが、エネ価格の下落で財政危機を深め、喘いでいるほか、中国も成長期の過剰投資癖が治せず、生産力過剰、賃金高騰、輸出市場における需要減退、などから、これまでの経済モデルによる儲けが出ないという、新たな経済段階に入り込み、多数の企業が倒産し、工場閉鎖が拡大しています。結局は、米国が金利を引き上げる、との観測が広がった段階で、QEでだぶついて新興国に流れ込んでいたドル資金が還流して、米国市場に戻り始めた・・・・ドル資金が新興諸国から引き揚げて、米国に戻って行ったから、BRICSのほぼすべての諸国(インドのみは例外)が不景気のどん底に喘ぐこととなった。
  要するに、レーガン政権が高金利でドル高にしたら、世界の金融市場からドル資金が消えて、米国に還流し、原油・資源価格が暴落して、ソ連が崩壊したのと同じ流れとなったということです。どこまでオバマ政権自身が狙って実行した政策なのか?または、FRBの世界通貨としての「ドル覇権死守」という、ドルの価値を守ろうとしたその本能が、偶々中露両国を一刀両断する効果を持ったのか??
  小生は、米国から、中露双方を叩き潰したという「勝どき」の声が聞こえてこないのが不思議ですが、未だに効果は不十分だし、最終勝利の段階ではないのでしょう。今年一年を通じ、プーチン、習近平双方は、ますます苦しい政権運営を強いられることでしょう。
室長
2016/01/20 01:14
FRB の利上げ自体は、リーマンショック対策の(全世界が行ったが日本の民主党だけがしなかったから超円高になった)金融緩和政策からの出口戦略で最初から予定されていたことです。
各国へも十分根回ししていたので市場も折り込み済みだったのですが、中国経済が(表向きの)予想以上に減速してしまったので、予定より遅くなりました。(さすがにハードクラッシュされると日米欧も死ぬので。)
AIIB や TPP をみるにアメリカが中国を経済面で抑え込むつもりになったのは確かでしょうが、アメリカが嵌めたというより中国の自滅でどうしようもないと思います。

原油安は意外でした。円安・原発停止中の日本は助かりましたが、アメリカのシェールガスにも大打撃ですからね。ロシアを潰すほうを優先したのでしょうか。
ただ、サウジアラビアを制御できていないようなのが心配です。(サウジの30才の新副皇太子は要注目人物です。)

なお、首相のブレーンの一人である谷口さんは、まさにこういった国際戦略の分析で名を売った人ですので、日本の対応は大丈夫と信じます。

motton
2016/01/20 13:15
こんにちはmottonさん、
 新聞などをフォローしている限り、全てが自然の流れのように見えても、米国が裏で戦略を駆使している、ということは、レーガン時代のソ連潰し、日本経済潰しの金融作戦、などの事例からも明らかです。

 昨年8月このブログで紹介した「ネットアセスメント」という手法を頭の隅に置いておくべきでしょう。
 シェール石油・ガスの開発で石油価格下落を仕込んだし、バレル当たり50ドルを切ったら、シェール開発企業は生き残れないはずですが、ウォール街は、米国産原油採掘企業に融資を続け、シェール企業を生かしています。ロシア経済を破壊するためとみてよいでしょう。同時に、資源投資を過剰に行ったり、第2パナマ運河、など大規模投資に走っていた中国の経済も潰れそうになっています。

 FRBが完全に政府から独立して、自立的に動いていると見るよりも、裏で大きな戦略が仕掛けられていると見る方が、全体の構図は納得がいきます。・・・あるTV番組の台詞を借りれば、「信じるか、信じないかは、あなた次第」ということですが。
  小生には、ブルガリアの内政にすら、細かく指導を入れようとする米国外交の動きなど、細かいことを知っているので、やはり、全体的な戦略構想があって、米国のそれぞれの動きが出てくる・・・前線で働く当事者も、全体的な戦略を知らされているとは思えないけど、ワシントンとウォール街の奥の院では、全てを知りつつ、微調整していると思う。そこにこそ、米国の底力があるということです。
室長
2016/01/22 12:13

コメントする help

ニックネーム
本 文
FRBの「利上げ」のみで、中露両国の台頭を挫いてみせたオバマ政権 ブルガリア研究室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる