少し冷静になろう

 今日は、少し時事的な話題につき、書きたくなった。
 新興諸国の経済的勃興に押しまくられ、日本企業は海外展開を急ぐ以外に生き残れなくなっているが、若者は昔に比べ冒険心が無くなり、海外留学すら避けて通る。政治家達は、総理になることには熱心でも、なった後にどうすれば日本国をよりよい道に導くことが出来るのかという、舵取りの「構想力がゼロ」という人ばかりだ。しかも、あろうことか、党内抗争などで引きずり下ろされそうになると、勇気心も、闘争意欲もないから、あっという間に自ら辞任していく。国民が名前を覚える前に、あっという間に消えていく・・・。
 要するに、余りにも国家として「マイナス材料が増えすぎて、皆が意気消沈している」し、閉塞感ばかりが漂っている。
 このような世の中で、どういう風に精神の平衡感覚を保つべきか、人間として、個人としての気概をどう維持すべきか、少し国民皆が、自分自身で考えてみるべき時なのだろう。

1.津本陽氏の嘆きの声 
 『週刊ポスト』(9月3日号)に掲載されたこの作家の「言わずに死ねるか!憂国リレーオピニオン:志無き政治家に、腑抜けな若者・・・40年前、三島由紀夫が抱いた危機感が現実となった」という論文は、上記に少し書いた、小生も感じないではおられない日本国の閉塞感、全てにおいて成功し、上昇していた時代は既に終わったという、衰退、或いは滅亡への悲観的な予感を代表しているように思う。

 1929年和歌山市生まれ、東北大法学部卒の津本氏は、小生より16歳年上だ。津本氏の論文は、1頁のみで、長くはない。要旨は次の通り:
(1)日本人の国民性は、勤勉で頭がよいこと。明治維新後、産業革命を自ら成し遂げ、日清、日露、第一次大戦と全て戦勝国となり列強=五大国にまで成り上がった。太平洋戦争で大敗北した後も、立ち直って、世界第2位の経済大国にのし上がった。
(2)しかし、20年前のバブル崩壊以降、日本人は自分自身のことしか考えなくなり、偏った戦後教育(日教組の左傾教育のことであろう)故に、国家意識が希薄となり、何れそう遠くない将来日本は独立国としての形態すら維持することが危ぶまれるに至った。
(3)天才三島由紀夫は、1970年という早い段階で、未来が見えたので、市ヶ谷の自衛隊駐屯地で自決し、警鐘を鳴らしたが、誰もまじめに危機感を共有しなかった。
(4)ここ10年の間に、日本は、驚くほど劣化した。地方都市は不況の波をかむり衰退しているし、若者達は東京に出てくるが、低賃金でこき使われ、結婚しても共稼ぎしないと生活が成り立たない。子供を作る余裕もない。
(5)国際化の進展で、人件費、地価、税金が安い他国との競争に晒されていることが一番の原因だ。恒常的円高で、日本企業も海外進出しないと生き残れないのだ。
(6)国家衰退をもたらした原因のもう一つは、政治家が国益を考えず、選挙のこと、自分のことしか考えず、対外交渉力、外交力などを欠いているからだ。
(7)若者も、消極的で、用心深くなり、自分さえ食べて行ければよいと考えている。国民は、夢も希望もなく、不安だけを抱えて、漂流する『澱み』の時代を生きている。

2.実は、今も日本国は、世界一幸福感に浸るべき時のはず、シルバー移住などは考えない方が賢明
 表面的に見れば、外国人とか、小生のようにダメな外国をいっぱい見てきた人間の目から見れば、全てが秩序だって調和が取れた、ほぼ理想的な日本社会では、近くのショッピングセンターとかスーパーで簡単に買える食べ物が、ほぼ全て美味しいし、世界の珍味と言えるほどすばらしい味付けのレストランが林立しているし、治安面でも世界一安全で豊かな国家である。病院での治療も医療保険が発達していて、安価で良質な医療が期待できる。そもそも、どこにマイナスの側面があるのかよく分からないほどすばらしい。だから、中国人観光客も、わんさか押し寄せてくれる。まだ、日本の家電製品も買い占めていってくれている!津本氏のように、全てに悲観的に見たり、若者世代のふがいなさを嘆いても始まらないと思う。国民の数は、1億人以上いるのだから、何時か英雄が登場するだろう。今でも、既にすばらしい若者達が多く活躍しているはずだし。自国民を信用しましょう!

 小生に言わせれば、物価が安いからと、「少額の年金でも優雅に暮らせる」というので、タイとかマレーシアとかに移住したり、もう少し金のある人は、ニュージーランドとか豪州に移住して、余生をより豊かに暮らすという、老人世代の「智恵」というのも、海外生活が長い我々にすれば、行政機関、郵便局、商業銀行などの下っ端従業員が、デタラメな仕事ぶりで顧客に平気で「迷惑」をばらまいても、決して頸にもならないし、責任も取らないとか、海外生活における「思いがけないリスク」の数々に、さんざん苦労したから、老後を外国で、豊かに安全に暮らす、ということが、いかに難しいか知っており、そういうリスクはごめんだ。

特に強調したいのは、医療面で日本ほど安心できる国はない、と言うこと。通常の医療保険(国民保険)に加入しているだけで、或いは、医療保険無しですら、日本における医療費は、欧米諸国に比べると、本当に安い。
 欧米では、ちょっとした手術のみでも、すぐに数十万円の請求書が届いて、びっくりさせられるし、しかも請求書が届くのが2ヶ月後、などという、とんでもなく遅い場合もある。小生も、日本国に出す医療費請求書を出し終わって2週間後に、新しい請求書が届いて(麻酔医だけは、病院と別立て請求だった。病院側からの請求書にも麻酔費項目があって、まさか別途麻酔医本人からも2ヶ月後に請求書が届くとは予想していなかった)、結局日本の保険会社への請求を「追加」する手続きの困難さを予想して、請求を断念したことがある。これで、数万円分の麻酔費が、自腹となった!日本では、薬代にも保険が利くから(ブルガリアでは、薬代には医療保険が利かない)、薬代も本当に安い。その上最近はジェネリック医薬品も出てきたので、小生も大いに活用している。皆が後発医薬品(ジェネリック)を使えば、国民保険会計も助かるのだ!
 医療で、強調したいことは、まず価格の安さだが、もう一つの日本の病院の利点は、サービスが素早いと言うこと。大学病院は、確かに、欧米並みに、長い待ち時間などを覚悟する必要性もあるが、近所の私立病院だと、到着から診察までの待ち時間が長くても20分以内という、本当に迅速なサービスが受けられるし、薬局も普通病院の近くに存在するから、処方箋を持ってすぐ下の薬局で薬を買って帰る、と言う風で、実に効率よく全てが配置されている。もちろん、日本の病院では、日本語で医師と会話でき、細かい病状説明が可能だし、医師の言葉が分からない、と言う苦労もしなくてもすむ。更に、薬については、欧米基準の用量は、小柄な日本人には多すぎて、特に米国で体重の少ない日本人女性は、時として「強すぎる薬」にやられて、死にかける事故すら聞いている。つまり、日本人の体質にあった、日本製の薬(時には漢方薬)が処方される方が、ずっと安心なのだ。


 他方で、若者までもが、海外生活におけるあらゆる困難、リスクを怖れて、留学すらしない、というのでは、何のために航空賃が安くなったのか、若者に情熱、野心はないのか、とやはり少し心配にはなる。

 そもそもの勘違いは、日本国は行政も、警察も、消防署も、それなりに発達し、誠実な対応をしてくれる、良い国だと言うことを、国際的な視野に欠ける国民が、知らないと言うことかもしれない。新聞が、大げさに書くから、役人も、警官も信用ならないとか、そういう風に思いこんでしまう。小生の専門であるブルガリアでは、自由化後は、警察官も、検察官も、裁判官もマフィアによって買収されていることが多く、法律の公正な適用とか、法治国家としての治安とか、法の下の人間の平等とか、そういう状態は望むべくもない。日本国では、悪徳警官とか、ヤクザに買収される検察官、裁判官、などは、普通にあり得る現象では決してない。

 ましてや、日々の生活で重要な、スーパー職員の計算の速さ、正確さ、銀行口座における正しい預金管理(入金、出金情報の正確な記録)が期待できること、市役所での医療保険納入事務の容易さ(銀行口座振替制度などが発達。ブルガリアでは、保険金支払いのために、延々と行列に並ばされる)、年金が定期的にきちんと口座振り込みされること・・・など、窓口業務、お役所業務の正確さ、万一の疑問に対する対応のスマートさ・・・・など行政サービスも安心できるのだ。左翼への傾斜で、偏向教育される虞が少しあるが、学校の先生方も、一応は良心的だ。

 ともかく、諸外国では、上記に書いたような、こまごました事柄で、普通の役所の窓口で、或いは銀行の窓口、スーパーの支払いカウンターですら、実に不愉快な、不真面目な仕事ぶりに呆れることが多い(銀行で換金したユーロ札に偽札が混入していて、迷惑したり、スーパー職員が商品価格入力を間違ったり)現実に比べれば、日本国がいかに日常生活面で安全な国家であるかは、外国暮らしの長いものにしか分かるまい。
 要するに、諸外国の市民なら、未だに豊かで、快適な市民生活が大部分保証された日本国を、羨ましく思いこそすれ、国民が悲観論に覆われ、衰退を懸念して、閉塞感にさいなまれている、とは想像すら出来ないだろう。まだまだ悲観論には、時期尚早ですよといいたい。若者達だって、よく働くし、頑張り精神もある。今後に期待しよう。

3.円高は、海外投資の追い風
 日本が、高度成長路線を歩んだのが60--70年代として、80年代末にはバブル景気となり、これが89年に潰れて、90年代から低成長期に入ったが、それでも普通、経済の繁栄期は、30年ほどは持続するものだ。だから、日本企業の生産部門がどしどし、中国とかタイ(最近、タイ国が、アジアの成長センターとして、生産センターとして、たくましく成長している姿をNHKが特集していた。FTAの進展で、免税という意味で中国よりタイなどの東南アジアが生産基地として優位になってきたという)、ベトナム、インドネシアに移転しているからといって、すぐに国民皆が貧しくなることはないだろう。あと10年ほどは、回転寿司でも食べながら、栄華の最後を楽しめばよいのだ。(小生の経済概念では、60年から89年までの約30年が上り坂、90年から2020年までの30年間が、少し下がり気味とはいえ繁栄期、2020年から30年間が下り坂という風に見ています。まだまだ日本国は豊かです。)

 特に、円高だから空洞化が起き困ると考えるのも、既に手遅れであるらしい。経済学者達によれば、日本企業の多くが、既に海外に生産移転して、出ていったので(本社など一部は国内に残存)、円安に誘導しても、もはや日本国内での生産が増えて、輸出が増えると言うことでもないという。むしろ、円高を利用して、海外企業を買収したり、タイとかインドネシアの工業団地の工場というように、将来性のある物件を、より多く買い占めるのが、正解らしい。

 国民が、或いは財界が、民主党政権に対し、円売り、ドル買い介入などを求めたり、景気対策のための、さらなる「補助金」、公共工事費投入を求めたりするのも、財政赤字を悪化させるだけで、効果はないのだという。
 だから、民主党は、バラマキ財政を反省して、財務省の言いなりになって節約し、小さな政府路線で行くべきなのだ!国民の目からすれば、きちんとした政策もないのに、きょろきょろするあなた方政治家より、役人の方が今は信用できる!!ましてや、当初の「公約通りにもっと金をバラマケ!」と言う小沢一郎の主張などは、国益を見据えない、とんでもない暴論なのだ!

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